シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究

文献情報

文献番号
200840008A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究
課題番号
H18-健危・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂部 貢(北里大学 薬学部)
  • 木村 穣(東海大学 医学部)
  • 熊野 宏昭(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉野 博(東北大学 大学院工学研究科)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院)
  • 森 千里(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 石川 均(北里大学 医療衛生学部)
  • 加藤 貴彦(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群について、患者や一般医療機関での理解度が十分でなく適切な診療を受けにくいとの指摘があることから、診断・治療法及び具体的対応策に関する検討を行った。
研究方法
1)シックハウス症候群の概念整理・診断基準の作成、2)医療機関で利用しうるシックハウス症候群の診断・治療対応マニュアルの作成、3)機序未解明なシックハウス症候群の診断法の開発、病態解明、の3点で研究を行った。
結果と考察
1)シックハウス症候群の定義(狭義)を秋山班との合同会議で同意に至った。診断基準を下記4項目とした。1.発症のきっかけが、転居、建物の新築・増改築・改修、新しい備品、日用品の使用等である。2.特定の部屋、建物内で症状が出現する。3.問題になった場所から離れると症状が改善する。4.室内空気汚染が認められれば強い根拠となる。2)診断・治療対応マニュアルは、シックハウス症候群の概念と合意事項(定義、診断基準)、診断の手順(検査法、曝露評価、鑑別疾患)、対応(医学的対応、診断書の対応、行政的対応)、Q&Aの各項目について、一般医療機関向けに解説しネット配信する事とした。3)診断法の開発、病態解明について、微量化学物質曝露時のfMRI画像解析、神経眼科学的検査の有効性評価、VOC曝露と心拍変動のリアルタイムモニタリング、NTE(Neuropathy Target Esterase)遺伝子を用いた遺伝学的相関解析、大型店舗内空気測定調査、慢性有機リン中毒の瞳孔について(動物実験)、真菌からのVOC測定、問題となる住居の継続観察等が行われ成果を得た。
結論
狭義のシックハウス症候群の定義と診断基準を確立したので、今後実態調査と診療に活用することが期待できる。マニュアルを作成しネット配信する事により、軽症シックハウス症候群の診療を一般医療機関で適切に行う事が期待される。また、各個研究として行った研究主題はそれぞれ診断に有用であり、病態解明に少なからず貢献している。また、室内環境の改善により発生の低下や症状の改善などの実績を認めている。今後は全国の医療機関でこの診断基準を用いて診断したシックハウス症候群の実態調査が可能になる。その段階でより適切な診断基準に改訂することも考えられ、事例の集積により診断マニュアルを作成する可能性もある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200840008B
報告書区分
総合
研究課題名
シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究
課題番号
H18-健危・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂部 貢(北里大学 薬学部)
  • 木村 穣(東海大学 医学部)
  • 熊野 宏昭(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉野 博(東北大学 大学院工学研究科)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院)
  • 森 千里(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 石川 均(北里大学 医療衛生学部)
  • 加藤 貴彦(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群について、患者や一般医療機関での理解度が十分でなく適切な診療を受けにくいとの指摘があることから、診断・治療法及び具体的対応策に関する検討を行った。
研究方法
1)シックハウス症候群の概念整理・診断基準の作成、2)医療機関で利用しうるシックハウス症候群の診断・治療対応マニュアルの作成、3)機序未解明なシックハウス症候群の診断法の開発、病態解明、の3点で研究を行った。
結果と考察
1)機序未解明なシックハウス症候群の定義(狭義)を秋山班との合同会議で協議し同意に至った。また、診断基準を下記の4項目とした。1.発症のきっかけが、転居、建物の新築・増改築・改修、新しい備品、日用品の使用等である。2.特定の部屋、建物内で症状が出現する。3.問題になった場所から離れると、症状が改善する。4.室内空気汚染が認められれば、強い根拠となる。2)診断・治療対応マニュアルは、シックハウス症候群の概念と合意事項(定義、診断基準)、診断の手順(検査法、日常曝露評価、鑑別疾患)、対応(医学的対応、診断書の対応、行政的対応)、Q&Aの各項目について、一般医療機関向けにわかりやすく解説し、広く利用して貰うためネット配信する事とした。3)診断法の開発、病態解明について、微量化学物質曝露時のfMRI画像の解析、神経眼科学的検査の有効性評価、VOC曝露と心拍変動のリアルタイムモニタリングが行われ有効性が示唆された。今後は診断基準に沿った症例での検討が必要と思われる。また本症例に対する医学的、環境科学的、心理的対応についても今後検討が必要であると思われる。
結論
狭義のシックハウス症候群の定義と診断基準を確立したので、今後実態調査と診療に活用することが期待できる。マニュアルを作成しネット配信する事により、軽症シックハウス症候群の診療を一般医療機関で適切に行う事が期待される。また、各個研究として行った研究主題はそれぞれ診断に有用であり、病態解明に少なからず貢献している。また、室内環境の改善により発生の低下や症状の改善などの実績を認めている。今後は全国の医療機関でこの診断基準を用いて診断したシックハウス症候群の実態調査が可能になる。その段階でより適切な診断基準に改訂することも考えられ、事例の集積により診断マニュアルを作成する可能性もある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200840008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
シックハウス症候群概念整理のための臨床分類、微量化学物質曝露時のfMRI画像解析、質問票診断、神経眼科学的検査の有効性評価、VOC曝露と心拍変動のリアルタイムモニタリング、NTE(Neuropathy Target Esterase)遺伝子を用いた遺伝学的相関解析、大型店舗内空気測定調査、慢性有機リン中毒の瞳孔について(動物実験)、真菌から発生するVOC測定、シックハウスにおける継続観察、ケミレスタウン(化学物質削減住環境)を用いたSHSの対応・治療システムの構築が行われ成果を得た。
臨床的観点からの成果
シックハウス症候群の定義(狭義)を秋山班と協議し同意に至った。定義を「建物内環境における、化学物質の関与が想定される皮膚・粘膜症状や、頭痛・倦怠感等の多彩な非特異的症状群で、明らかな中毒、アレルギーなど、病因や病態が医学的に解明されているものを除く」とし、診断基準を1.発症のきっかけが、転居、建物の新築・増改築・改修、新しい備品、日用品の使用等である。2.特定の部屋、建物内で症状が出現する。3.問題になった場所から離れると、症状が改善する。4.室内空気汚染が認められれば強い根拠となる。とした。
ガイドライン等の開発
シックハウス症候群の概念と上述した合意事項(定義、診断基準)、診断の手順(検査法、日常曝露評価、鑑別疾患)、対応(医学的対応、診断書の対応、行政的対応)、Q&Aの各項目について、一般医療機関向けにわかりやすく解説した「一般医療機関向けマニュアル」を作成(秋山班と合同)し、ネット配信することとした。
その他行政的観点からの成果
住居における化学物質を原因とするシックハウス症候群患者で、自宅に住むことが困難となっている者にとって安心して住むことのできる住宅の確保を行うため、平成20年3月厚生労働省と国土交通省が共同して、「シックハウス症候群患者の公営住宅確保に係る医学的な知見に関するガイドライン」を出した。その中で診断書に記載する「病名」、記載されるべきシックハウス症候群の診断にあたっては、秋山班と共同で提案した診断基準案を参考にすることとされている。
その他のインパクト
特に無し。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
72件
学会発表(国際学会等)
18件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Miyajima E., Kudo Y., Ishibashi M. et al.
Classification with detailed criteria for sick house syndrome which help to determine chemically affected patients.
Kitasato Medical Journal , 39 (1) , 31-43  (2009)
原著論文2
Mori C and Todaka E
Establishment of sustainable health science for future generations : from a hundred years ago to a hundred year in the future.
Environ. Health Prev. Med. , 14 (1) , 1-7  (2009)
原著論文3
北條祥子、熊野宏昭、石川 哲 et a
QEESIを用いた日本の化学物質過敏症のスクリーニング用カットオフ値の設定および常時曝露化学物質の影響の検討
臨床環境医学 , 17 (2) , 118-132  (2008)
原著論文4
真鍋龍冶, 欅田尚樹, 加藤貴彦 et al.
大型店舗内の空気汚染及び個人曝露調査
日本衛生学雑誌 , 63 , 20-28  (2008)
原著論文5
Sachiko Hojo, Satoshi Ishikawa, Hiroaki Kumano et al.
Cliniocal characteristics of physician-diagnosed patients with multiple chemical sensitivity in Japan.
International Journal of Hygiene and Environmental Health , 211 , 682-689  (2008)
原著論文6
Mita M., Satoh M., Shimada A. et al.
Metallothionein is a crucial protective factor against Helicobacter Pylori-induced gastric erosive lesions in a mouse model.
American Journal of Physiological Gastrointest Liver Physiology , 294 (4) , 877-884  (2008)
原著論文7
村上周三、坂部 貢、伊香賀 俊治 et al.
健康維持増進住宅におけるヘルスキャピタル概念の構築
Institute for Building Environment and Energy Conservation , 28 (5) , 71-74  (2008)
原著論文8
Ishibashi M., Tonori H., Miki T. et al.
Classification of patients complaining of sick house syndrome and/or multiple chemical sensitivity.
Tohoku Journal of Experimental Medicine , 211 (3) , 223-233  (2007)
原著論文9
北條祥子、石川 哲、熊野宏昭 et al.
日本の化学物質過敏症患者の臨床的特徴
臨床環境医学 , 16 (2) , 104-116  (2007)
原著論文10
関明彦, 瀧川智子, 岸玲子 et al.
シックハウス症候群に係る医学的知見の整理
日本衛生学雑誌 , 62 (4) , 939-948  (2007)
原著論文11
松坂恭成、青山美子、角田和彦 et al.
シックハウス症候群におけるNeuropathy Target Esterase (NTE)酵素活性と遺伝子多型
臨床環境医学 , 16 (2) , 98-103  (2007)
原著論文12
Ohmichi K, Matsuno Y, Miyaso H, et al.
Pilot study of a dissection table equipped with a photocatalytic device that decomposes formaldehyde for gross anatomy laboratory.
Journal of Occupational Health , 49 , 499-503  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-