ASEANにおける活動的で健康的な高齢期の推進に関する研究

文献情報

文献番号
202105004A
報告書区分
総括
研究課題名
ASEANにおける活動的で健康的な高齢期の推進に関する研究
課題番号
20BA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 )
研究分担者(所属機関)
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 菖蒲川 由郷(新潟大学医歯学系)
  • 中川 雅貴(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
  • 佐々木 由理(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ASEANの一部では日本以上の速さで高齢社会を迎える。平成29年に6分野25項目からなるASEAN日本 Healthy & Active Ageing Indicatorsの開発が行われた。
本研究では、ASEANにおけるエビデンスに基づいた高齢化政策の更なる整備・推進に資するため、 令和2年度にASEANの高齢化対策に関する実態及び国際機関等の動向を検証した。その結果に基づき、令和3年度は、ASEAN各国の行政機関、学術機関及び国際機関等との議論を通じながら、平成29年に開発した指標に基づいて改訂版「健康で活動的な高齢化指標(Healthy & Active Ageing Index: HAAI)」の構成や算定方法を検討すること、現地調査を通じてASEAN各国の現状分析を行うこと、更に、健康で活動的な高齢期を推進するための事例等を収集し、令和4年度に作成予定のASEAN諸国の健康長寿に向けたポリシーガイドへの活用を検討することを目的とした。
研究方法
3つの分担班に分かれて研究を実施した。
1. 令和2年度の調査の結果をもとに、指標の修正、改善、算出方法を明確にし、改訂版HAAIを作成すると同時にその妥当性や各国への適用可能性を評価した。
2. 改訂版HAAIに基づき、令和4年度の作成予定のASEAN諸国の健康長寿のためのポリシーガイドの参考となるような高齢化対策の事例を収集し、分析・整理した。事例収集には、Asia Health and Wellbeing Initiative (AHWIN)及び公益財団法人日本国際交流センター(Japan Center for International Exchange: JCIE)がアジアの健康長寿に関するイノベーションを行っている団体に対して応募型で収集した事例から、2020年と2021年にGrand PrizeおよびSecond Prizeを獲得した事例を主に活用した。
3.ミャンマーでの追加調査に加えて、マレーシアでベースライン調査を実施し(マレーシアは現在調査中)、健康指標をアウトカムとした関連要因を検証し、指標の修正、改善を行った。
結果と考察
1. 6領域45指標の改訂版HAAIを作成した。さらに、日本、インドネシア、タイ、ミャンマーの指標の収集を行った。実際の数値を改訂版HAAIに入力し、値を算出することで、領域別に指標を視覚化した。
日本においてすら数値が得られない指標もあり、今後さらなる指標の精査および取捨選択が必要となるが、指標の所在・定義等を確認する作業自体が高齢者施策の充実につながる可能性もあり、今後は各国毎に検討チームを構成し、指標の収集・吟味を行うことが有用であると考えられた。
2. HAAIの領域1.Policy & Statisticsでは、特に介護システムに関わる事例や、保健医療以外のセクターとの連携に関わる事例、領域 3. Health & Quality of Life (QOL)においては、障がいや(手段的)日常生活活動[(i)ADL]、認知症、介護ケアに関わる事例、領域 4.Social Capitalでは、社会活動への参加に関わる事例、領域 5. Capacity & Enabling Environmentにおいては、ICT(Information and Communication Technology)に関わる事例、生涯教育に関わる事例、領域 6. COVID-19においては、発症時の高齢者に対する対応に関わる事例が特に指標の向上に貢献するのではないかと考えられた。
HAAIの指標によって、事例が多数存在しているものもあれば、全く事例がないものもあり、ばらつきがあった。HAAIの項目の更なる精査が必要であることが示唆された。
3. ミャンマーでは、メールやSNSが制限される中、電話調査ではあったが、対象者から可能な範囲で聞き取りを行うことができた。改訂版HAAIの領域ごとに評価可能な指標(データが存在する)と不可能な指標(データが存在しない)が混在していた。
 今回の解析で全ての領域の指標を評価し得たわけではないため、今後も指標の妥当性を検討する必要がある。また、本調査の途中で軍事クーデターという人々の健康に大きな影響を与えた出来事があり、通常時と異なる機序で人々の行動や健康アウトカムが影響を受けた可能性もあり、さらなる検討と慎重な解釈が必要である。一方で、ミャンマーのみならず他のアジア諸国における指標の妥当性を継続して評価する必要を確認した。
結論
今後は、ミャンマーとマレーシアを含むアジア地域の国毎に検討チームを構成し、改訂版HAAIの指標値の収集・吟味を行うことが有用であると考えられる。また、改訂版HAAIに基づき、指標の改善策の具体例を示したポリシーガイドを作成する予定である。

公開日・更新日

公開日
2022-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202105004Z