SPECT検査の精度向上と施設間誤差のない標準的画像診断法の確立

文献情報

文献番号
200817004A
報告書区分
総括
研究課題名
SPECT検査の精度向上と施設間誤差のない標準的画像診断法の確立
課題番号
H19-トランス・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所 放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 野口 輝夫(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病センター 脳神経外科)
  • 石田 良雄(国立循環器病センター 放射線診療部)
  • 横田 千晶(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
  • 森脇 博(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
  • 中川原 譲二(医療法人医仁会中村記念病院 脳神経外科)
  • 丸野 廣大(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 放射線科)
  • 橋川 一雄(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター臨床研究部)
  • 鈴木 倫保(山口大学 医学部)
  • 松田 博史(埼玉医科大学 医学部)
  • 山田 章吾(東北大学病院 放射線治療科)
  • 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 臨床研究部)
  • 畑澤 順(大阪大学大学院 医学研究科)
  • 渡部 浩司(国立循環器病センター研究所 放射線医学部)
  • 銭谷 勉(国立循環器病センター研究所 放射線医学部)
  • 福島 和人(国立循環器病センター 放射線診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
74,054,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、既存のSPECT装置を使った診断においてその画像精度の大幅な向上を実現し、PETに匹敵する定量評価診断法の確立を目指す。特に、施設間誤差をなくする一貫した撮像・解析体系を構築することを目的とする。
研究方法
 すでに開発したSPECT定量解析理論とプログラムパッケージ(QSPECT)に基づき、一般の臨床機関で利用されている既存データを入力し解析するための環境を整備する。画像精度を確認するために円筒プールファントムを撮像し、画像の一様性および画質の計測を行い、各施設におけるクオリティコントロール(QC)と種々の補正法の標準化を図る。組織血流量および血管反応性、神経受容体の機能画像の定量評価を行うために、トレーサの動態を解析するプログラムの整備を行う。PETで観察されてきた動脈硬化の危険因子に基づく心筋血流量および血管反応性の低下について、定量SPECTでも観察できることを検証する。

結果と考察
 各施設のQCと種々の補正法の標準化について、円筒プールファントムの画像一様性は必ずしも良好ではなく、QCの不整備を指摘された施設があった。これらの施設において均一補正データの調整を行い、かつ設定を確認した後にはすべての施設で画像は改善し、ほぼ同程度(±9%)の範囲で一致した定量値(Bq/mL)を示した。つまり標準化された画像再構成画像により画像の均一性・画質の比較が可能となり、QCの向上に貢献したと考えられる。DTARG理論は[(123)I]IMPの二回投与法によく適用され、安静時および血管拡張時の局所脳血流量の定量評価がなされた。6例の症例ではPETと一致し、異なる日に計測した全脳平均の脳血流量値は安静時および血管拡張時で±10%程度で一致した。また、複数回検査を受診した患者の中で症状に変化が認められなかった症例について検討したところ、同一施設内での安静時および血管拡張時の脳血流量値の再現性、多施設間での再現性は良好であった。このことから当該ソフトを使うことで定量SPECTは、他施設評価臨床研究においてPET以上に有用な診断手法であることが示唆された。

結論
 本定量SPECT画像再構成パッケージによって既存の臨床装置で得た画像の施設間再現性が確保され、多施設臨床研究での貢献が期待された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-