文献情報
文献番号
202006051A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症流行前後における親子の栄養・食生活の変化及びその要因の解明のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2053
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 村山 伸子(新潟県立大学 人間生活学部)
- 半谷 まゆみ(国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、①家庭調査(住民基本台帳に基づき抽出した集団における郵送による質問紙調査およびWEB調査)により、コロナが流行する前後の親と子どもの家庭での食事を含めた生活実態を把握し、家庭背景(社会経済的状況(緊急事態宣言時の食生活支援状況含む)、保護者の就労状況、栄養に関する知識など)による食事状況の違いや変化を明らかにし、②自治体調査において、学校給食の提供状況および簡易給食の栄養素等提供状況の実態を明らかにすることを通して、コロナ流行前後における子どもの栄養・食生活の状況の変化および要因を明らかにすることを目的とした。
研究方法
本研究では、①家庭調査にて、コロナ流行前後の親と子どもの家庭での食物摂取状況等および生活状況を調査、②自治体調査にて、給食提供状況およびその変化による栄養素等提供内容の変化を調査した。
家庭調査は、新型コロナウイルスの感染流行第3波、感染者数増加傾向が著明となった2020年11月から12月にかけてWEB調査を、そして2020年12月に住民基本台帳を用いた郵送調査(全国から層化無作為抽出された小5、中2の児童を対象)を行った。
自治体調査では、住民基本台帳調査を行った50自治体を対象に、給食に関する郵送調査を行い、簡易給食を実施している学校からの給食献立表を収集し栄養計算することで行った。
家庭調査は、新型コロナウイルスの感染流行第3波、感染者数増加傾向が著明となった2020年11月から12月にかけてWEB調査を、そして2020年12月に住民基本台帳を用いた郵送調査(全国から層化無作為抽出された小5、中2の児童を対象)を行った。
自治体調査では、住民基本台帳調査を行った50自治体を対象に、給食に関する郵送調査を行い、簡易給食を実施している学校からの給食献立表を収集し栄養計算することで行った。
結果と考察
全国の住民基本台帳から二層化無作為抽出した小5・中2への郵送調査の結果からは、2020年度4-5月に実施された緊急事態宣言下ではその前後と比べて、肉・魚・卵、野菜、果物、乳製品のいずれの食品群おいても、1日2回以上摂取している者の割合が減少していたことが分かった。また、1日2回以上摂取している者の割合は、緊急事態宣言前、緊急事態宣言下、緊急事態宣言後とも一貫して、所得が低いほど、そして保護者の食事準備に対する知識・態度・スキルが低いほど、有意に低いことがわかった。そして、こどもと保護者を対象とした無記名アンケート形式のインターネット調査からは、コロナ前と比べて間食の機会や量が増えた子どもや、コロナ前と比べて食事をつくる心の余裕が少なくなった、食材や食事を選んで買う経済的余裕が少なくなったという保護者が多くいることがわかった。また、全国205校から回答を得た学校給食の実施状況に関する調査からは、全体の26.8%の学校で簡易給食が実施されていたこと、また簡易給食の実施が短期間の学校の献立では単品の提供が多く,長期間の献立では,主食・主菜・副菜を組み合わせた献立が提供されていたこと、ことが分かった。
結論
本調査から、コロナ流行により子どもの栄養摂取状況に影響があった可能性が示唆された。本調査結果は子どもの適切な栄養状態の確保と栄養格差の是正に向けた施策に資することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-09-30
更新日
-