新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究

文献情報

文献番号
200732012A
報告書区分
総括
研究課題名
新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究
課題番号
H17-医療-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福井 次矢(財団法人聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野 栄二(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 青木 誠(国立病院機構東埼玉病院)
  • 川南 勝彦(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度から必修化された新医師臨床研修制度が研修医の臨床能力獲得にどのような影響をもたらしたのかを検証する。本年度は、新制度第3期生の研修医が獲得した臨床能力を知るためのアンケート調査を行い、同時に、これまでの調査で回収されたアンケートのデータを解析する。
研究方法
1.第3回目となるアンケート調査の項目について、班員による検討を行い、調査票を作成した。
2.平成20年2月から3月に、第3回目のアンケート調査を実施した。
3.前年に引き続き、第1回(平成18年3月)および第2回(平成19年3月)のアンケート調査で得られたデータの解析を行った。
4.解析データをもとに、学術論文(英文、邦文)を作成し、学術雑誌に投稿するとともに、日本医学教育学会にて発表した。
結果と考察
1.平成20年2月から3月に行ったアンケート調査については、現在、回答を収集中である。
2.平成19年2月から3月に行った第2回目のアンケート調査の結果は、回収率は病院77.9%、1年次研修医55.5%、2年次研修医56.4%であった。
3.①尿沈査の鏡検で赤血球、白血球、円柱を区別できる。②直腸診で前立腺の異常を判定できる。③妊娠の初期兆候を把握できる。④医療費や社会福祉サービスに関する患者、家族の相談に応じ、解決法を指導できる。の4項目については、「確実にできる」あるいは「ほぼできる」と答えた研修医の割合が初年度の結果に比較して、やや低かった。その他の項目については、前年度の2年次研修医との差はなかった。
4.研修中に学術活動を行った研修医の割合は、大学病院69.3%、研修病院78.9%で、研修病院の研修医に有意に多かった。
5.将来どのような診療分野の仕事がしたいのかを尋ねたところ、幅広い病気の治療に関わる診療(ジェネラル群)が11.2%、幅広い病気に関わりながら専門性を持って診療(中間群)が44.4%、特定の診療科で幅広い診療(専門科群)が35.5%、特定の診療科で専門性を持って診療(専門性群)が8.8%であった。大学病院と研修病院の間で、ジェネラル志向群(ジェネラル群+中間群)と専門志向群(専門科群+専門性群)に差はなかったが、女性よりも男性に、300床未満の病院で研修をした者にジェネラル志向の割合が高かった。

結論
基本的臨床能力の獲得状況は、第1期生と第2期生の間で大きな変化はなかった。学術活動の促進や将来のジェネラリスト養成については、今後の検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200732012B
報告書区分
総合
研究課題名
新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究
課題番号
H17-医療-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福井 次矢(財団法人聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野 栄二(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 青木 誠(国立病院機構東埼玉病院)
  • 川南 勝彦(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度から必修化された新医師臨床研修制度が研修医の臨床能力獲得にどのような影響をもたらしたのかを検証する。具体的には、旧制度下の2年次研修医に比べて新制度下の2年次研修医が、より幅広い臨床能力を獲得できたかどうかを検証し、わが国の臨床研修制度のさらなる改善に供することを目的とする。
研究方法
1.平成18年3月に2年間の研修を修了する、新制度下での第1期生となる研修医、平成19年3月の第2期生研修医、そして平成20年3月の第3期生研修医を対象に、基本的臨床能力の獲得状況、経験症例数、医療文書作成数などに関するアンケート調査を行った。
2.基本的臨床能力は、基礎的な臨床知識・技能14項目、やや専門化した臨床知識・技能6項目、行動科学・社会医学的側面を持った臨床知識・技能12項目、臨床研究のための知識・技能3項目などについて自己評価してもらった。
3.経験症例数は、82の症状・病態・疾患について尋ね、文書の作成は死亡診断書、CPCレポートなど4種類について尋ねた。
4.調査結果は、すでにわれわれが平成15年3月に行っていた、旧制度下の2年次研修医の回答結果と比較した。
結果と考察
1.臨床技能が「確実にできる」あるいは「ほぼできる」と回答した研修医の割合について、平成18年3月の第1期生(大学病院の研修医487名、研修病院の研修医679名)と平成15年3月の旧制度下の2年次研修医(大学病院の研修医1、762名、研修病院の研修医712名)を比較した。
2.すべての項目について、新制度下の研修医では、臨床能力の獲得状況が著しく向上し、以前認められていたような大学病院の研修医と研修病院の研修医との差もほとんど認められなくなった。
3. 82症状・病態・疾患と4種類の医療文書作成すべてについて、新制度下の研修医では経験数が有意に増加した。
結論
基本的臨床能力の獲得状況についての自己評価だけでなく、経験症例数および医療文書作成数の増加などからも、新医師臨床研修制度が研修医の臨床能力向上に寄与した可能性が高い。
 

公開日・更新日

公開日
2008-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732012C