リアルタイムモニター飛散数と現状の治療によるQOLの関連性の評価研究と花粉症根治療法の開発

文献情報

文献番号
200729001A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムモニター飛散数と現状の治療によるQOLの関連性の評価研究と花粉症根治療法の開発
課題番号
H17-免疫-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保伸夫(関西医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 後藤穣(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 岡野光博(岡山大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
  • 藤枝重治(福井大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 岡本美孝(千葉大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍)
  • 増山敬祐(山梨大学大学院 医学工学総合研究部 耳鼻咽喉科)
  • 湯田厚司(三重大学医学部 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
花粉症は国際的に罹患人口の多い疾患である。スギ花粉症患者のQOLが花粉飛散季節に障害され、鼻や眼以外の症状のも出現し、女性に皮膚の強く痒みの症状が多く認められた。今年度はこのQOL調査と患者情報としてのリアルタイムモニター(RM)の精度の問題、舌下免疫療法(SLIT)を含む新しい治療法の検討を行い、より花粉症の治癒を目指していく。
研究方法
RMの性能の評価をSPMとの関連性から考察し、RMの花粉飛散数とQOLの障害が相関するか検討を行う。医師主導によるSLITの臨床試験として2005年から始まった試験の2006年、2007年の経年的効果について症状スコアとQOLから検討する。またオープン試験や小児での効果検証を行う。新しい治療法としては丸山ワクチンアジュバント免疫療法(MW-IT)を始めた。また小児に対するレーザー手術の効果を検証する。花粉症患者への基礎研究としてメモリーT細胞株を樹立し、季節変動の研究を行う。
結果と考察
RMではSPMの影響は無視できず精度を良くするマトリックス(MTX)を花粉粒子数=(パラメーターA)×(花粉識別判別式による花粉と識別された粒子数)-(誤認識率)×(センサーの測定粒子数)として、花粉数との相関をより高められた。今後の精度上昇につながるであろう。また鼻眼以外のQOLもRMの変動特に減少により良好化することが分り、治療で全身的な症状が改善される。SLITは1年目の結果は良かったが、抗原濃度が減少した2年目の効果は無かった。しかし小児や経年的(抗原濃度を減少させない)方法では効果的であった。SLITの方法論の確立が必要になる。MW-ITは2008年の結果を待ち、今後につなげる必要がある。スギ抗原特異的IL-10産生メモリーT細胞は、シーズン終了後に有意に高値を示したTh2サイトカイン産生メモリーT細胞は患者群にやはり高値で、アレルギー発症への促進因子である。
結論
厚生労働省の研究班として新MTXに基づき正しいRM花粉情報を発信しなければQOL向上に結び付かない。SLIT1年目の効果は二つのRCT試験で検証されたが、2年目の臨床試験のデータは決して良くなかった。またSLIT、レーザー手術とともに小児に対する検証ができ、適応が広げられた。研究全体を通して治癒可能な免疫療法の可能性を追求できた。この免疫療法の治療効果の検証もヒスタミン遊離試験、主要アレルゲン特異的サイトカイン産生、抗原特異的メモリーT 細胞のサイトカイン産生能などを検証し、今後の評価スタンダードとなるように検討を続ける。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200729001B
報告書区分
総合
研究課題名
リアルタイムモニター飛散数と現状の治療によるQOLの関連性の評価研究と花粉症根治療法の開発
課題番号
H17-免疫-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保伸夫(関西医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 後藤穣(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 岡野光博(岡山大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
  • 藤枝重治(福井大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 岡本美孝(千葉大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍)
  • 盛川 宏(独協医科大学 耳鼻咽喉科気管食道科)
  • 増山敬祐(山梨大学大学院医学工学総合研究部 耳鼻咽喉科)
  • 湯田厚司(三重大学医学部 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
花粉症の症状出現やQOL低下がリアルタイムモニター(RM)で分るようになれば、セルフケアが確立する。既存治療によりQOLが改善されるが、すべて対症療法で完全ではない。舌下免疫療法(SLIT)の効果は証明されたが、完全に症状を抑制する事はできなかった。抗原量の、ジュバントとの併用などを検討する必要がある。副作用のない根治的な治療法の開発が急務であり、抗体陽性者の発症を予防する可能性などを考えて研究を始めた。
研究方法
2003年~05年までQOL、06、07年は鼻眼以外の症状の街頭調査を行った。またRMでのデータを解析し、患者QOLとの検討を行った。RMの降雪や黄砂の影響を測定全粒子数と花粉測定数の両値から補正式を確立する。薬物療法、免疫療法(IT)、粘膜凝固療法の治療効果を検討した。新たな治療法として05年のSLITの2重盲検比較試験(RCT)、そして経年的RCTを06、07年に行った。またオープン試験で経年的効果と小児への効果を検証した。また丸山ワクチン免疫療法(MW-IT)の基礎研究をマウスで検討し、ヒトへの臨床試験を開始した。CpG DNAが単核球に与える影響の研究や線維芽細胞での BLySの発現を検討し、アレルギー抑制の検討を行った。スギ花粉症患者のメモリーT細胞を樹立し、季節中の変動を見た。
結果と考察
長期的にQOL、鼻眼症状、鼻や眼以外の症状ともRMは相関する。RMは砂や雪の影響を受け、補正を行った。すべての既存治療の効果が検証された。鼻眼以外症状では「口が渇く」が最も多く、男性に「イビキをかく」、女性には「皮膚がかゆい」が多かった。
SLITの2年目は良くないが、1年目より投与量が減少した事が問題であった。小児SLITが成人と同じプロトコールで安全に高い効果で施行できた。MW-ITを臨床試験として施行し、新しいITの開発の基礎となる事が期待された。IT効果の検証として、ヒスタミン遊離試験、主要アレルゲン特異的サイトカイン産生、抗原特異的メモリーT 細胞のサイトカイン産生能など評価された。今後さらに簡便な方法を開発する事が必要である。新規の治療法BLyS中和抗体で鼻粘膜のアレルギー反応が抑制され、今後の課題である。
結論
精度の高いRM花粉情報を発信しなければならない。QOLとRMは長期的に見ると相関し、重要である。花粉症QOLでは鼻眼以外の症状も重要な因子である。副作用のない根治を目指したSLITは成人、小児にも有効であるが、方法論の確立が必要である。新しいITの開発が行われ始めている。IT以外にも有効な治療法の可能性があり、今後の課題である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729001C