ジェノミクス技術を用いたウイルス性肝炎に対する新規診断・治療法の開発

文献情報

文献番号
200728023A
報告書区分
総括
研究課題名
ジェノミクス技術を用いたウイルス性肝炎に対する新規診断・治療法の開発
課題番号
H19-肝炎-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
金子 周一(金沢大学大学院医学系研究科 恒常性制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
  • 坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患生活習慣病学)
  • 前川 伸哉(山梨大学大学院医学工学総合研究部肝疾患地域先端医療システム学講座)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学臨床分子情報医学)
  • 花田 賢太郎(国立感染症研究所細胞化学部)
  • 菅 裕明(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 堀本 勝久(産業技術総合研究所生命情報工学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1) 治療効果の正確な予測を行うための分子を用いた診断法の研究開発を目的とする。
(2) 患者毎に最適の治療法を選択するための分子指標を用いた診断法の研究開発を目的とする。
(3) 分子を用いた新たな治療法の研究開発につながる研究を期待する。
研究方法
ウイルス性肝炎における包括的転写産物および蛋白解析、包括的脂質解析、包括的薬物探索、統計的ジェノミクス解析を実施した。解析対象は治療前後のウイルス肝炎肝組織、キメラマウス肝臓、肝細胞がん、血液、および免疫系を用いた。
結果と考察
(1)C型慢性肝炎患者の末梢血を用いて、遺伝子の変動を解析し,多数の遺伝子がウイルス感染および治療と関連して変動することを示した。
(2)C型慢性肝炎におけるインターフェロン治療抵抗性を測定するため、抗phospho-STAT抗体を用いてインターフェロンシグナル伝達の程度を定量化する系を確立した。
(3)SELDI-TOF/MS protein chipを用いてウイルス性慢性患者における血液診断の方法を確立し、肝癌の血液診断法を確立した。
(4)RIG-I/Cardifが引き起こすインターフェロン反応を抑制するC型肝炎ウイルス蛋白、およびC型慢性肝炎ウイルスの複製を制御する脂質を明らかにした。
(5)キメラマウスを用いてB型肝炎ウイルスのgenotypeが及ぼす細胞障害を示した。
(6)C型肝炎ウイルス感染で発現が変動する脂質代謝系遺伝子を解析し、ウイルス複製に関連する脂質を解析する系を作製した。
(7)特殊ペプチド合成法(RaPID)を用いた標的阻害薬の探索法を確立した。
(8)graphical Gaussian modelを用いて肝癌において変動しているネットワークを解析した。
結論
1)C型慢性肝炎患者およびインターフェロン治療患者、肝細胞癌患者の肝組織および血液を用いて、遺伝子、脂質、蛋白の変動を解析し、診断法の開発および治療の標的となる分子の抽出を行った。
2)キメラマウスを用いてB型肝炎ウイルスの複製および細胞障害機序を解析した。
3)標的阻害薬の探索法および変動しているネットワークの解析法を検討した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-01
更新日
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