高齢者の大腿骨頚部骨折等の治療を支援する高精度手術支援システム開発研究

文献情報

文献番号
200713010A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の大腿骨頚部骨折等の治療を支援する高精度手術支援システム開発研究
課題番号
H17-フィジ-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 土肥 健純(東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻)
  • 佐久間一郎(東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻)
  • 光石 衛(東京大学大学院工学系研究科 工学部産業機械工学)
  • 大西五三男(東京大学医学部付属病院 整形外科・脊椎外科)
  • 菅野 伸彦(大阪大学医学部付属病院 整形外科・脊椎外科)
  • 中島 義和(東京大学インテリジェントモデリングラボラトリー)
  • 米延 策雄(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 脊椎外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(身体機能解析・補助・代替機器開発研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
49,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大腿骨頚部骨折などの下肢骨折の整復固定を画像誘導下に術前計画通りに低侵襲かつ正確に行うことができる高精度の骨折整復・骨接合術支援システムを開発する。
研究方法
研究の到達目標は、術中画像誘導下に最小侵襲で安全・正確に骨折を整復・固定する高精度治療支援システムの開発である。このシステムは、本研究期間終了後には速やかに臨床試験に使用できるレベルの動作安定性・安全性を有するプロトタイプの完成を目標とした。開発するシステムは術前コンピュータシミュレーションシステム、3次元画像撮像機器との統合システム、ナビゲーション及びロボティクスによる高精度骨折整復システム、ナビゲーション連動骨接合手術支援システムから構成される。
結果と考察
反対側形状による照合と骨折線による照合を組み合わせれば、誤差の少ない整復計画を半自動で立案できた。
ステレオ撮影による骨の位置・姿勢の同定方法を開発した。また骨片の位置・姿勢から整復経路を作成した。
骨片に刺入したピンと創外固定器を把持し、高精度整復を行う支援装置の開発を行った。フェイルセイフ機構が装着されており安全性を保つ。整復装置を制御するパワーアシストを実装し、正確性を確認した。自動整復モードは、骨折モデルを用いた整復実験でその有効性・正確性を確認した。
インプラントの最適位置を術前計画し、骨接合術支援システムに利用する手法を開発した。骨強度を高精度で予測する有限要素法解析モデルを応用した。インプラントが実際にスライドする機能を導入し、接触条件による骨・インプラント界面の有限要素解析モデルを作成した。
高精度かつ低侵襲な直達骨折整復および骨接合を行う創外固定型の骨接合術支援装置を開発した。位置計測装置により空気圧駆動把持アームと患者の骨位置を計測し、計画どおりに本器を設置し、計画通りの整復・固定ができることを検証した。
結論
大腿骨頸部骨折などの下肢骨折の骨接合手術を最小侵襲、安全・正確に、少人数の医療チームでも行える高精度骨折整復および骨接合術支援システムの開発研究を行なった。システム全体の試作が完了し、機能検証・安全性確認を行った。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200713010B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の大腿骨頚部骨折等の治療を支援する高精度手術支援システム開発研究
課題番号
H17-フィジ-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 土肥 健純(東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻)
  • 佐久 間一郎(東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻)
  • 光石 衛(東京大学大学院工学系研究科工学部産業機械工学専攻)
  • 大西 五三男(東京大学医学部付属病院 整形外科・脊椎外科)
  • 菅野 伸彦(大阪大学医学部付属病院 整形外科・脊椎外科)
  • 中島 義和(東京大学 インテリジェントモデリングラボラトリー)
  • 米延 策雄(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 脊椎外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(身体機能解析・補助・代替機器開発研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者が自立を失う重要な原因疾患である大腿骨頸部骨折などの下肢骨折の骨接合手術を最小侵襲、安全・正確に、少人数の医療チームでも行える高精度骨折整復および骨接合術支援システムの開発研究を行なった。骨折部位の三次元画像を術前に取得し、解析モデルを作成、シミュレーションによる手術プログラミング、両端の骨皮質を直達創外固定または介達固定してプログラム通りの操作により自動整復するナビゲーション連動骨折整復システムおよび高精度骨接合術支援システムにより術前計画どおり最小侵襲で骨接合手術を行い、かつ医療現場の作業効率および環境安全性を高める統合システムの開発研究を行なった。
研究方法
大腿骨近位部骨折などの下肢の骨折は、低侵襲で安全・正確に治療することが求められる。下肢骨折の治療において、低侵襲に骨接合材料で正確かつ強固に固定できれば早期離床が可能で、合併症を防ぎ自立性を維持できる。しかしながら、固定材料も骨折整復が不完全であれば決して固定力は十分でなく、三次元的に正確な骨折部の整復を行うことが治療の基本である。また術前計画どおりに骨折を有効に固定できかつ術後に固定材料の緩みの発生が少ない位置・範囲に固定材料を設置し、高精度骨接合術支援システムにより精確な固定を行うことによって、さらに固定性を向上することができる。この目的を達成するために、開発したシステムは、1、 術前コンピュータシミュレーションシステム、2、3次元画像撮像機器との統合システム、3、骨折整復支援システム、4、骨接合手術支援システムから構成され、個別に開発したが、常に個々の開発グループは連携し、臨床医学、情報工学の共同で開発研究を進め、機器が最終的に統合されるように共同開発を行なった。
結果と考察
研究推進としては、17 年度に、上記4つのシステムの仕様分析および整復支援装置の1次試作を行なった。18 年度には4つのシステムの評価、整復支援装置の2次試作を行った。本19 年度にシステムを統合しプロトタイプを完成した。同時に治療機器としての動作安定性のほか安全性と正確性を確認した。安全性の面での機構的な検討、および制御方式の検討を行い、安全性の必要レベルを明確化し安全機構の開発と整備を行なった。
結論
開発したシステムは、今後速やかに臨床試験に供することができる機能、精度及び安全性を有することが確認された。   

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200713010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
骨折整復計画法が完成した。整復位置の正確性は十分実用的なレベルに達した。骨折整復支援装置のプロトタイプが完成した。ナビゲーションと連動して作動し、術前計画通りに整復できることが骨モデルでの模擬実験で検証された。整復装置の自動制御も実用的なレベルに達した。骨接合術の最適計画システムを完成し、手術の最適計画を立てる方法が完成した。骨接合術支援システムの試作が完了した。手術デバイスや骨接合材料を最適位置に保持し、その位置や方向を正確に指示し手術支援を行えることが骨モデルで検証された。
臨床的観点からの成果
開発した装置のなかで、介達式整復支援装置および低侵襲骨接合機器については臨床試験を開始し、臨床データを収集することができた。整復支援装置により、正確な大腿骨頚部骨折の整復を行うことができた。低侵襲骨接合機器の臨床応用においては、機器の制服機能が十分に正確であること、患者の後療法において、十分な骨の固定機能を持つことが検証できた。整復計画システム、直達式整復支援装置、および装置の制御については、今後速やかに臨床試験を開始できるレベルの、機能、正確性、安全性を持つことが確認された。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
平成19年において日経産業新聞において開発研究の内容が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
21件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
29件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
森 泰元、大西五三男、中村耕三、他
脚の牽引回旋に対する力・トルク計測‐大腿骨骨折整復ロボティック手術における脚荷重からの骨位置姿勢推定にむけて
第14回日本コンピュータ外科学会大会 第15回コンピュータ支援画像診断学会大会合同論文集 , 151-152  (2005)
原著論文2
S.Onogi,Y.Momoi,et al.
Development of the Needle Insection Robot for Percutaneous Vertebroplasty
Medical ImageComputing and Computer-Assisted Intervention - MICCAI 2005 , 105-113  (2005)
原著論文3
Mamoru Mitsuishi, Kazuo Yonenobu, Ichiro Sakuma, et al.
Development of a Computer-Integrated Femoral Head Fracture Reduction System
Proceedings of the 2005 IEEE International Conference on Mechatronics , 834-839  (2005)
原著論文4
中島義和、越智隆弘、田村進一、他
レーザガイダンスの特性解析と三次元位置センター・一体型システムの開発
日本コンピュータ外科学会誌 , 7 (1) , 15-23  (2005)
原著論文5
N.Sugano, Y.Tamura, T.Ochi, et al
Navigation and Robotics for Straight Surgical Tools
The First International Conference on Complex Medical Engineering (CME2005) , 222-225  (2005)
原著論文6
松本卓也, 大西五三男, 中村耕三.他
CT/有限要素法による手術計画への可能性 Lag screw刺入高位による大腿骨頸部の応力・ひずみの検討
日本コンピュータ外科学会誌 , 7 (3) , 525-526  (2005)
原著論文7
別所雅彦、大西五三男、中村耕三、他
欠損を有する大腿骨に対するCT/有限要素法(第2報)
バイオメカニクス学会雑誌 , 18 , 62-62  (2005)
原著論文8
森本顕二郎、大西五三男、佐久間一郎、他
直達式骨折整復支援装置に関する研究―直達式骨折整復術における牽引力・整復経路測定―
第15回日本コンピュータ外科学会大会 第16回コンピュータ支援画像診断学会大会合同論文集 , 211-212  (2006)
原著論文9
倉爪亮, 中村かほり, 長谷川勉、他
2視点からの二次元X線投影像と統計的形状モデルを用いた大腿骨形状の三次元復元.
電子情報通信学会論文誌D: 情報・システム , 90 (3) , 945-955  (2006)
原著論文10
Fumihiko Ino, Shinichi Tamura, Kenichi Hagihara, et al
A parallel implementation of 2-D/3-D image registration for computer-assisted surgery
J. Bioinformatics Research and Applications , 2 (4) , 341-358  (2006)
原著論文11
Bessho M, Ohnishi I, Nakamura K,et al.
Prediction of strength and strain of the proximal femur by a CT-based finite element method
Journal of Biomechanics , 40 (8) , 1745-1753  (2007)
原著論文12
大西五三男, 松本卓也,中村耕三,他
新しい医療技術 創外固定における新しいコンピュータ支援技術
整形・災害外科 , 50 (2) , 157-163  (2007)
原著論文13
Takahiro Ishii, Hideki Yoshikawa, Kazuomi Sugamoto, et al.
Kinematics of the Cervical Spine in Lateral Bending
SPINE , 31 (2) , 155-160  (2006)
原著論文14
M. Bessho; I. Ohnishi; K. Nakanura, et al.
EVALUATION OF THE EFFICACY OF AN OSTEODYNAMIC AGENT BY PREDICTING THE STRENGTH OF THE PROXIMAL FEMUR USING A CT-BASED FINITE ELEMENT METHOD -A PRELIMINARY STUDY-
Transactions of orthopaedic Research Society , 32 , 1269-1269  (2007)
原著論文15
Matsuyama, J; Ohnishi, I; Nakamura, K, et al.
A NEW METHOD FOR EVALUATION OF FRACTURE HEALING BY ECHO TRACKING
Transactions of orthopaedic Research Society , 32 , 941-941  (2007)
原著論文16
Ohashi, S; Ohnishi, I; Nakamura, K, et al.
Analysis of the stress distribution at the Pin-bone interface of external fixation using a patient specific CTCAD- based finite-element method
8th EFORT congress, Transactions , 8 , 1311-  (2007)
原著論文17
Imai K, Ohnishi I, Nakamura K. et al.
In vivo assessment of lumbar vertebral strength in elderly women using computed tomography-based nonlinear finite element model.
Spine , 33 (1) , 27-32  (2008)
原著論文18
Nakajima Y,Ochi T, Matsumoto Y.et al.
Fluoroscopic bone fragment tracking for surgical navigation in femur fracture reduction by incorporating optical tracking of hip joint rotation center.
IEEE Transactions on Biomedical Engineering , 54 (9) , 1703-1706  (2007)
原著論文19
Y. Cheng, S. Nakajima, S. Tamura, et al.
Hip cartilage thickness measurement accuracy improvement
Computerized Medical Imaging and Graphics , 31 (8) , 643-655  (2007)
原著論文20
Maeda Y, Sugano N, Mitsuishi M, et al.
Robot-assisted femoral fracture reduction. Preliminary study in patients and healthy volunteers.
Computer Aided Surgery , 13  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
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