電子カルテシステムにより集積したデータの診療情報解析(データマイニング)に関する研究

文献情報

文献番号
200401012A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテシステムにより集積したデータの診療情報解析(データマイニング)に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(国立国際医療センター医療情報システム開発研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 愼一(国立国際医療センターエイズ医療研究開発センター)
  • 島津 章(独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床研究センター)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 大内 憲明(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座腫瘍外科学分野/腫瘍外科、乳腺・内分泌外科癌の分子生物学、癌の疫学)
  • 渋谷 大助((財)宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 吉村 光弘(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター第2内科)
  • 鈴木 明彦(盛岡赤十字病院臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子カルテに集積されたデータを、網羅的かつ自動的に即時提供することを可能にする。さらに、提供可能なEvidenceは、純粋な医学的見地における統計解析のみならず、診療に際して得られた診療報酬情報や単品管理などの物流情報も包括することで、稼働済みのクリティカルパスの妥当性検証ツールやDPC導入などにおける基礎検証ツールとしての応用も可能であり、医療経済改革に対しても大きく貢献すると期待できる。
研究方法
POASの理論で開発した電子カルテシステムからデータを自動的に取り込むために必要なシステム要件を研究・開発し、同システムの後方支援機能付与を併せて行う。また、国立国際医療センターや盛岡赤十字病院の電子カルテに集積されたデータを解析して、リスクマネジメントにおける分析を行った。具体的には、現在発生している注射・点滴に関する事故を電子カルテシステムと運用面から分析し、これらの事故をなくすために、注射・点滴業務の分析と対策を元に、業務全体の安全性を高めることで、より安全かつ効率的な医療を確立することとした。そのために、以下の2点を検討した。1)システムから得られたデータを検討し、インシデントの背景因子を発見。2)医療事故防止を目的とした改善策に結びつけるためのデータの活用方法を検討。安全対策においても、EBMの考え方が重要である。安全・安心な医療を築くためのデータ解析を行うため、2002年7月より蓄積した月当たり40万件、2年間で約1000万件以上の電子カルテにより集積したデータを利用した。これらを網羅的に解析しデータマイニングを行った。
結果と考察
対象としたデータの範囲は、国立国際医療センターと盛岡赤十字病院において使用承認されたデータに限定される。国際医療センターでは毎月約760万行のログ情報が存在する看護実施入力データから、延べ1000万件以上の有意なデータが蓄積しており、グラフのように6時前後に点滴が集中しているが、指示変更は少なく、9時台は点滴の数は6時より少ないが、指示変更や中止が多いことが分かった。一方、アラームは勤務交代前後の9時台、17時台、0時台など、1日3回に多発していた。また、勤務時間が長くなり6時間以上になると、アラームの頻度が高くなった。
結論
従来の手法では発見できなかったリスクの背景因子を明らかにした。さらに解析を進めることで、より安全で効果的かつ高率的な予防、診断、治療等を確立するための根拠を、網羅的かつ自動的に即時提供することが出来るようになった。今後は医療安全のみならず、経営分析に対しても大きく貢献することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200401012B
報告書区分
総合
研究課題名
電子カルテシステムにより集積したデータの診療情報解析(データマイニング)に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(国立国際医療センター医療情報システム開発研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 愼一(国立国際医療センターエイズ医療研究開発センター)
  • 島津 章(独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床研究センター)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 大内 憲明(東北大学大学院医学系研究科病態学講座腫瘍外科学分野教授)
  • 渋谷 大助((財)宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 吉村 光弘(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター第2内科)
  • 鈴木 明彦(盛岡赤十字病院臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子カルテに集積されたデータを、網羅的かつ自動的に即時提供することを可能にする仕組みを開発した。この方法で得られたEvidenceは、純粋な医学的見地における統計解析のみならず、診療に際して得られた診療報酬情報や単品管理などの物流情報も包括することで、稼働済みのクリティカルパスの妥当性検証ツールやDPC導入などにおける基礎検証ツールとしての応用も可能であり、医療経済改革に対しても大きく貢献すると期待できる。
研究方法
POASの理論で開発した電子カルテシステムからデータを自動的に取り込むために必要なシステム要件を研究・開発し、同システムの後方支援機能付与を併せて行った。また、国立国際医療センター等の電子カルテに集積されたデータを解析して、予後予測や経営分析、リスクマネジメントの解析を行った。リスクマネジメントでは、注射・点滴業務の実施データをデータマイニングし、インシデントの背景因子を発見した。
結果と考察
肝癌腫瘍マーカーの絶対値と肝予備機能が肝疾患患者の生存期間に寄与することが確認された。また、経営分析の結果、赤字グループでは救急患者が対象となっていることが特徴であった。小児患者では、赤字になりやすい傾向があることが判明した。小児・救急のグループ以外では、手術の有無が関与しており、手術がない場合は原価回収率が高いことがわかった。解析によってHIV感染症疾患のみならず肝疾患にも有用性が証明されたことから、本解析手法は医学一般に応用できると期待された。また、医療安全につき、国際医療センターでは毎月約760万行のログ情報が存在する看護実施入力データから、延べ1000万件以上の有意なデータが蓄積しており、グラフのように6時前後に点滴が集中しているが、指示変更は少なく、9時台は点滴の数は6時より少ないが、指示変更や中止が多いことが分かった。一方、リスクは勤務交代前後や勤務時間が長くなると高くなることが判明した。
結論
従来の手法では発見できなかった予後や安全・経営に関し、各種背景因子を明らかにした。さらに解析を進めることで、より安全で効果的かつ高率的な予防、診断、治療等を確立するための根拠を、網羅的かつ自動的に即時提供することが出来るようになる。今後は医療安全のみならず、経営分析を総合的に解析し、費用対効果に優れた治療法の開発に対しても大きく貢献することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-