老年症候群に関与する脳波質下虚血病変の危険因子解明に関する縦断研究

文献情報

文献番号
200400301A
報告書区分
総括
研究課題名
老年症候群に関与する脳波質下虚血病変の危険因子解明に関する縦断研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(杏林大学医学部高齢医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森本茂人(金沢医科大学健康生態医学分野)
  • 葛谷雅文(名古屋大学大学院医学系研究科発育・加齢医学講座)
  • 西永正典(高知医科大学老年病・循環器・神経内科学・老年病科)
  • 岩本俊彦(東京医科大学 老年病学)
  • 秋下雅弘(杏林大学医学部高齢医学教室)
  • 長野宏一朗(東京大学医学部付属病院医療社会福祉部)
  • 勝谷友宏(大阪大学大学院医学系研究科・加齢医学)
  • 武地 一(京都大学医学部医学研究科・加齢医学)
  • 横手幸太郎(千葉大学医学部・第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
21,602,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
30歳ころから加齢により増加し、後期高齢者では70%以上の高頻度で出現する脳皮質下虚血病変は、老年症候群との関連が指摘されているが、危険因子や、遺伝的負荷素因は殆ど解明されていない。 本研究は危険因子を解明し、遺伝子多型に関しては、慢性疾患の老年症候群合併予防に有効な薬剤選択に指針を与え、液性危険因子の解明は、薬物療法、栄養療法や運動療法による介入によって改善可能な戦略の開発を意図し、ひいては、医療費削減、介護保険費用の増大に歯止めをかけ、国民福祉に貢献せんとするものである。
研究方法
研究年度計画外来及び地域1154名(登録症例)において、MRIによる脳皮質下虚血病変(外来、入院のみ)と老年症候群、ADLや認知機能などの生活関連機能評価を横断調査(平成15年度)及び縦断的に記録し(平成16,17年度年目)、これらを従属変数として、老化関連因子である高血圧・動脈硬化・酸化ストレス・痴呆関連の遺伝子多型や、液性因子の関与を解析する。
結果と考察
PVHをJunqu_の重症度分類で評価すると痴呆の重症度と有意な負の相関を示した(r=-0.39, p<0.01)。 DWMHをde Grootの重症度分類で評価すると痴呆の重症度(MMSE)と有意な負の相関を示した(r=-0.32, p<0.01)。多変量解析では、年齢と並んで、PVH、DWMHが独立した認知機能低下の危険因子であることが判明した。
PVHに関して幻覚、妄想、めまい、麻痺、歩行障害、つまづき、転倒、尿失禁、頻尿、体重減少、無気力、嚥下障害、振戦、筋固縮の有無で、老年症候群あり群にPVHが有意に強かった。 DWMHに関しては、幻覚、妄想、歩行障害、尿失禁、頻尿、便秘、食欲低下、嚥下障害の老年症候群において、ありの群でDWNHが有意に強かった。遺伝子多形との関連では、従来の動脈硬化や高血圧の危険因子とされている遺伝多形の一部に関連する可能性は残るものの、逆の結果も得られており、全く別の機序の可能性もある。 
結論
PVHとDHMHは、認知機能(MMSE)悪化の独立した危険因子であることが明らかになった。
DWMHでは、パーキンソン症状は呈さず、非特異的な自律神経症状で、加齢に伴い高頻度に合併する消化器症状が多く合併するという結果を得た。 

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-