文献情報
文献番号
200400209A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコプロテオミクス:ABCトランスポーターの遺伝子発現と薬物相互作用の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石川 智久(東京工業大学大学院生命理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 油谷 浩幸(東京大学国際・産学共同研究センター )
- 中田 琴子(国立医薬品食品衛生研究所 化学物質情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
36,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬物の副作用をひきおこす1つの原因として薬物トランスポーターでの薬物相互作用の寄与は大きいと考えられ、迅速に予測する方法が早急に求められている。また、薬の長期投与の場合、薬物トランスポーター発現レベルの変動が、薬物体内動態の変化を促し、副作用の原因となる可能性がある。本研究の目的は、既存の医薬品の薬物相互作用に関与する薬物トランスポーターを同定し、その薬物トランスポーターの基質特異性に基づいて副作用を予測する技術を開発することである。
研究方法
(1) ヒトABCトランスポーター cDNAをクローニングし、バキュロウイルス発現系を用いて、それぞれ昆虫細胞に発現させる。発現したSf9細胞の形質膜を用いて、基質特異性スクリーニングを行う。そのデータに基づいて構造活性相関を解析する。(2) DNAアレイを用いてトランスポーター遺伝子や代謝酵素などの薬物動態関連遺伝子の発現について解析する。さらに遺伝子発現解析による毒性予測プログラムを開発する。(3) 薬物相互作用についてデータ収集・整理して、統合的な薬物相互作用データベースを開発する。
結果と考察
(1)既存の医薬品約40種類でABCG2の阻害を測定し、構造活性相関解析により薬物相互作用に重要な分子構造をつきとめた。一方、ヒトABCB11のスクリーニング系を構築して、薬物による胆汁鬱滞を予測するin vitro方法を確立した。(2)日本人由来EBV不死化リンパ球34株の発現プロファイルによりABCトランスポーター遺伝子の発現の個人差について検討したところ、一部の遺伝子に発現の個人差が認められた。(3)トキシコゲノミクスの手法として注目されているマイクロアレイ解析について決定木を用いたマイニング手法について検討した。薬物を投与したラット肝遺伝子発現プロファイルの時系列データについて、遺伝子セットを説明変数とする決定木の手法により、より高い正答率が得られた。
結論
本研究プロジェクトは、薬物トランスポーターの観点から薬物の副作用を予測する技術とスクリーニング系を開発することに目標をおき、当初の目標をほぼ達成した。また、ヒトABCトランスポーターの遺伝子発現に個人差が認められ、この事実はプロモーター領域にある遺伝子多型を示唆する。今後、薬剤応答性/薬剤体内動態における個人差を解析する上で重要な手がかりとなるであろう。
公開日・更新日
公開日
2005-04-13
更新日
-