文献情報
文献番号
200400192A
報告書区分
総括
研究課題名
糖鎖担持カルボシランデンドリマー製剤の設計技術開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
照沼 大陽(国立大学法人埼玉大学(工学部))
研究分担者(所属機関)
- 松岡 浩司(国立大学法人埼玉大学(工学部))
- 幡野 健(国立大学法人埼玉大学(工学部))
- 名取 泰博(国立国際医療センター(研究所))
- 西川 喜代孝(国立国際医療センター(研究所))
- 平野 弘之(ジーエスプラッツ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々はカルボシランデンドリマーの表面に糖鎖(グロボ三糖)を担持した、これまでまったく知られていない構造を有する、糖鎖を機能性基とするカルボシランデンドリマーを合成し、そのベロ毒素中和活性を調べた。本研究ではカルボシランデンドリマーの最適構造の探索、ならびに他の機能性糖鎖についてこのコンセプトの有効性を示すことを目的とした。
研究方法
昨年度までに3種類のグループ分けしたカルボシランデンドリマーを系統的に合成し、グロボ三糖を担持した。そのベロ毒素中和活性について評価した。また、他の機能性糖鎖としてインフルエンザウイルスに接着するシアリルラクトースおよびデング熱ウイルスに接着するパラグロボシド糖をカルボシランデンドリマーに担持し、それぞれのウイルス阻害活性について検討した。
結果と考察
グロボ三糖担持カルボシランデンドリマーによるベロ毒素中和剤の開発に関しては、グロボ三糖担持数4以上で高いin vitro活性を示したが、in vivoで強い活性を示した化合物はDumbbell(1)6とDumbbell(2)18のみであった。また、Dumbbell(1)6が接着したベロ毒素は腎臓で解毒・分解されていると推定された。また、従来、ベロ毒素とグロボ三糖の接着にはAB5型であるベロ毒素接着部(Bサブユニット)に存在する3つの結合サイトのうち外側に存在するサイト1,2の重要性が指摘されていた。しかし、本研究により、むしろ、内側に存在するサイト3の役割が重要であることを見いだした。インフルエンザウイルスに接着するシアリルラクトース誘導体の合成と評価、およびデング熱ウイルスに接着するパラグロボシド誘導体の合成と評価を行った。
結論
我々が提案する機能性糖鎖をカルボシランデンドリマーに担持することにより分子の形と担持糖鎖数を厳密に制御した化合物がベロ毒素中和剤として有効であることを示すことができた。また、シアリルラクトースあるいはパラグロボシド糖鎖を機能性糖鎖として用いることにより、それぞれ、インフルエンザウイルスおよびデング熱ウイルスを阻害できることが分かった。
公開日・更新日
公開日
2005-04-13
更新日
-