文献情報
文献番号
200400107A
報告書区分
総括
研究課題名
家族構造や就労形態等の変化に対応した社会保障のあり方に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
- 白波瀬 佐和子(筑波大学社会工学系)
- 大石 亜希子(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、家族構造や就労形態等の変化が社会保障を通じて所得分配に及ぼしている影響を把握し、社会経済的格差が生じる要因を分析することを通じて、効果的な社会保障のあり方を展望することにある。具体的には、(1)家族構造・就労形態等の変化が所得分配に及ぼす影響、(2)生涯を通じた社会保障の所得分配に及ぼす影響、(3)人々の不平等感と(1)、(2)から把握される不平等度との関係――の3つのテーマについて研究する。
研究方法
平成16年度は、昨年度までの研究成果の精緻化を図るとともに、海外から社会保障と所得分配の専門家を招聘し、ワークショップを開催した。
結果と考察
第1に、ミクロシミュレーションモデルの結果では、今後、新卒者の就職者比率が低下すると、パラサイト・シングルの増加、婚姻率の低下、出生率の低下、超高齢社会の到来、独居老人の大量発生という現象が連続して発生することが予測される。こうした世態構造の変化は社会保障制度のあり方にも大きな影響をもたらすとみられる。
第2に、母子世帯の経済的困窮は必ずしも母子世帯になった直後の一時的なものとはいえず、支給期間に制限を設ける措置の導入は現状では望ましくない。
第3に、高学歴化・女性の就業増加・雇用形態の多様化を反映して、家計の所得分配は今後変化していくことも考えられる。将来的には、共働きの増加、女性の高学歴化が家計の年金給付の分配にも影響を与える可能性がある。
第4に、1990年代における格差拡大のかなりの部分は高齢化によって説明可能であるが、その一方で、若年層においては年齢内で格差がかなり拡大していることは注目される。
第5に、高齢化社会に向けた税制のありかたとしては、今後、所得税増税が避けられないと考えられる中で、所得控除の見直しが必要であると考えられる。
第2に、母子世帯の経済的困窮は必ずしも母子世帯になった直後の一時的なものとはいえず、支給期間に制限を設ける措置の導入は現状では望ましくない。
第3に、高学歴化・女性の就業増加・雇用形態の多様化を反映して、家計の所得分配は今後変化していくことも考えられる。将来的には、共働きの増加、女性の高学歴化が家計の年金給付の分配にも影響を与える可能性がある。
第4に、1990年代における格差拡大のかなりの部分は高齢化によって説明可能であるが、その一方で、若年層においては年齢内で格差がかなり拡大していることは注目される。
第5に、高齢化社会に向けた税制のありかたとしては、今後、所得税増税が避けられないと考えられる中で、所得控除の見直しが必要であると考えられる。
結論
第1に、所得分配を把握する上では、世帯構造や親子の同別居状況が世帯所得に与える影響に留意する必要がある。
第2に、年齢階層間の所得再分配は生涯所得ベースで見るとかなり相殺されてしまう。とりわけ格差が拡大しつつある高齢層を中心に、同一年齢階層内における再分配政策のあり方を再検討する必要がある。
第3に、マイクロ・シミュレーションは政策分析の有効なツールのひとつである。日本においても、今後、さらなる研究の発展が期待される。
第2に、年齢階層間の所得再分配は生涯所得ベースで見るとかなり相殺されてしまう。とりわけ格差が拡大しつつある高齢層を中心に、同一年齢階層内における再分配政策のあり方を再検討する必要がある。
第3に、マイクロ・シミュレーションは政策分析の有効なツールのひとつである。日本においても、今後、さらなる研究の発展が期待される。
公開日・更新日
公開日
2005-04-15
更新日
-