文献情報
文献番号
199900071A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる栄養補助食品等の流通実態と食品衛生に関する研究(総括研究報告書)
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
田中 平三(東京医科歯科大学・難治疾患研究所)
研究分担者(所属機関)
- 江指隆年(国立健康・栄養研究所)
- 山田隆(国立医薬品食品衛生研究所)
- 伊達ちぐさ(大阪市立大学)
- 斎藤衛郎(国立健康・栄養研究所)
- 萩原清和(国立健康・栄養研究所)
- 梅垣敬三(国立健康・栄養研究所)
- 山田和彦(国立健康・栄養研究所)
- 松村康弘(国立健康・栄養研究所)
- 吉池信男(国立健康・栄養研究所)
- 岩谷昌子(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生活習慣病予防の目的や健康ブームに乗って、いわゆる栄養補助食・健康食品等が広く利用されている状況であるが、中には過剰摂取による健康障害事例も報告されている。そこで、いわゆる栄養補助食品等の流通実態を把握するために、①摂取状況に関する実態調査、②製造・輸入状況に関する調査、③販売状況に関する調査を行った。
研究方法
各調査においてそれぞれの質問票を作成し、郵送法や留め置き法を併用して行った。対象は①地域における住民13000人、②製造・輸入を行っていると考えられた企業約3400社、③チェーンドラッグストア、薬局・薬店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店など約5800社である。
結果と考察
①2000年2月上旬から中旬にかけて、各都道府県栄養士会の協力により調査票を対象者に配布し、2000年3月下旬までに回収を行った。最終的に回収された調査票は11808名分(男性2415名、女性9141名、性別不明228名)(年齢12~94歳)であり、回収率は87.5%であった。地域別にみると、南九州ブロックと関東Ⅰブロックの回収率が低めであったが、他の地域では回収率が85%を越えていた。
栄養補助食品・健康食品を摂ったことのある者は男性38.7%、女性42.3%、全体:41.6%であった。年齢階級別には、男性では10歳代が低い(28.3%)が20歳代以降は38~41.3%であった。女性では、10歳代から年とともに摂取率が高くなり、30歳代でピーク(52.1%)となり、それ以降は若干低下傾向がみられるが、70歳以上でまた上昇(47.9%)していた。地域別には男女とも東北ブロック、東海ブロック、北九州ブロックで摂取率が高く、近畿Ⅱブロック、四国ブロックで低く、地域差が認められた。これらの摂取率には摂取を中止した者も含まれているので、摂取を中止した者を除いた摂取継続者率は、男性:20.5%、女性:18.5%、全体:18.9%であった。摂取継続者率は男性の20歳代を除くと、年齢とともに高い傾向が認められた。
摂取している栄養補助食品・健康食品の種類数に関して、1種類のみの者の割合は47.7%(男性:52.9%、女性:46.4%)であり、半数以上が2種類以上の栄養補助食品・健康食品を摂っていた。
摂っていた種類は、ビタミン類が最も多く、カルシウム、鉄、食物繊維なども多かった。回答された商品名の中には、医薬品・医薬部外品として販売されているものが多くあった。すなわち、いわゆる栄養素補給のための医薬品が単に栄養補助食品として捉えられていることが示唆された。
栄養補助食品・健康食品の摂取頻度は、種類によって、その摂取頻度が異なっていた。 各食品の摂取量に関する表示に対する遵守状況は、全体としては、表示通りに摂取する者の割合は平均的には72.2%であるが、その種類によって大きくばらついていた。
②健康産業名鑑に収載されていた企業約3400社(内食品関連会社1104社)に調査票を郵送し、回収されたものは311社分であった。これらの企業の内、輸入をしている企業は15.2%であり、製造および輸入をしている企業は9.2%であった。製造している栄養補助食品・健康食品の種類数は、1種類:29.7%、2種類:15.3%、3種類:14.4%、4種類以上:41.6%であった。一方、輸入している栄養補助食品・健康食品の種類数は、1種類:54.3%、2種類:28.6%、3種類:11.4%、4種類以上:2.9%であった。製造品1308品目、輸入製品73品目に関する情報が得られた。製品の内訳は、特定保健用食品5.6%、栄養調整食品10.8%、特定栄養補助食品4.5%、いわゆる健康食品79.0%であった。当該製品を製造するに至った経緯は、自社開発55.3%、学術調査の結果23.6%、他社製品を参考14.1%、その他7.0%であった。製品の安全性確認については、安全性試験を実施35.3%、文献等により安全性を確認55.3%、安全性確認は不必要9.3%、その他7.7%であった。
これらの製品について、その商品名、内容量、原材料、成分値、副原料および添加剤・滑たく剤、副原料の使用目的等をデータベース化した。
③回収された質問票は1909社分であった。この内、栄養補助食品・健康食品を販売していたのは87.8%であった。販売する栄養補助食品・健康食品を採用する際考慮する事項は、安全性が十分にあるもの71.7%、最近話題になっているもの60.1%、効能通りの効果があると思われるもの55.9%、商品パッケージの表示が適切なもの42.5%、テレビで放映しているもの31.1%、シーズンのもの31.1%、利幅の大きいもの19.2%、価格の安く設定できるもの17.0%であり、利潤優先というよりは、まずは安全性、効果のあるものを販売する傾向であった。これらの食品の消費者の需要が増加すると回答した販売店は64.8%であった。栄養補助食品・健康食品のラベルやパンフレットに記されている機能や説明の表示については、肯定的回答が否定的回答より多かった項目は、成分表示はわかりやすい(肯定39.9%、否定29.9%)、機能について、医薬品・医薬部外品とまぎらわしい表示がある(肯定42.6%、否定29.7%)であり、否定的回答が肯定的回答より多かった項目は、機能に関する表示はわかりやすい(肯定22.1%、否定44.1%)、機能に関する表示内容は十分である(肯定16.8%、否定48.7%)、過剰摂取などに関する注意喚起の内容表示は十分である(肯定12.0%、否定65.6%)、性・年齢別の摂取量に関する表示は十分である(肯定9.2%、否定74.2%)、安全性に関する記述は十分である(肯定12.0%、否定56.3%)、薬効とまちがえる表示がある(肯定29.3%、否定39.1%)であった。また、栄養補助食品・健康食品に関して、厚生省から出してほしい情報は、機能に関する正確な情報65.4%、過剰摂取などの注意事項56.9%、種類別の規格基準52.2%であった。
栄養補助食品・健康食品を摂ったことのある者は男性38.7%、女性42.3%、全体:41.6%であった。年齢階級別には、男性では10歳代が低い(28.3%)が20歳代以降は38~41.3%であった。女性では、10歳代から年とともに摂取率が高くなり、30歳代でピーク(52.1%)となり、それ以降は若干低下傾向がみられるが、70歳以上でまた上昇(47.9%)していた。地域別には男女とも東北ブロック、東海ブロック、北九州ブロックで摂取率が高く、近畿Ⅱブロック、四国ブロックで低く、地域差が認められた。これらの摂取率には摂取を中止した者も含まれているので、摂取を中止した者を除いた摂取継続者率は、男性:20.5%、女性:18.5%、全体:18.9%であった。摂取継続者率は男性の20歳代を除くと、年齢とともに高い傾向が認められた。
摂取している栄養補助食品・健康食品の種類数に関して、1種類のみの者の割合は47.7%(男性:52.9%、女性:46.4%)であり、半数以上が2種類以上の栄養補助食品・健康食品を摂っていた。
摂っていた種類は、ビタミン類が最も多く、カルシウム、鉄、食物繊維なども多かった。回答された商品名の中には、医薬品・医薬部外品として販売されているものが多くあった。すなわち、いわゆる栄養素補給のための医薬品が単に栄養補助食品として捉えられていることが示唆された。
栄養補助食品・健康食品の摂取頻度は、種類によって、その摂取頻度が異なっていた。 各食品の摂取量に関する表示に対する遵守状況は、全体としては、表示通りに摂取する者の割合は平均的には72.2%であるが、その種類によって大きくばらついていた。
②健康産業名鑑に収載されていた企業約3400社(内食品関連会社1104社)に調査票を郵送し、回収されたものは311社分であった。これらの企業の内、輸入をしている企業は15.2%であり、製造および輸入をしている企業は9.2%であった。製造している栄養補助食品・健康食品の種類数は、1種類:29.7%、2種類:15.3%、3種類:14.4%、4種類以上:41.6%であった。一方、輸入している栄養補助食品・健康食品の種類数は、1種類:54.3%、2種類:28.6%、3種類:11.4%、4種類以上:2.9%であった。製造品1308品目、輸入製品73品目に関する情報が得られた。製品の内訳は、特定保健用食品5.6%、栄養調整食品10.8%、特定栄養補助食品4.5%、いわゆる健康食品79.0%であった。当該製品を製造するに至った経緯は、自社開発55.3%、学術調査の結果23.6%、他社製品を参考14.1%、その他7.0%であった。製品の安全性確認については、安全性試験を実施35.3%、文献等により安全性を確認55.3%、安全性確認は不必要9.3%、その他7.7%であった。
これらの製品について、その商品名、内容量、原材料、成分値、副原料および添加剤・滑たく剤、副原料の使用目的等をデータベース化した。
③回収された質問票は1909社分であった。この内、栄養補助食品・健康食品を販売していたのは87.8%であった。販売する栄養補助食品・健康食品を採用する際考慮する事項は、安全性が十分にあるもの71.7%、最近話題になっているもの60.1%、効能通りの効果があると思われるもの55.9%、商品パッケージの表示が適切なもの42.5%、テレビで放映しているもの31.1%、シーズンのもの31.1%、利幅の大きいもの19.2%、価格の安く設定できるもの17.0%であり、利潤優先というよりは、まずは安全性、効果のあるものを販売する傾向であった。これらの食品の消費者の需要が増加すると回答した販売店は64.8%であった。栄養補助食品・健康食品のラベルやパンフレットに記されている機能や説明の表示については、肯定的回答が否定的回答より多かった項目は、成分表示はわかりやすい(肯定39.9%、否定29.9%)、機能について、医薬品・医薬部外品とまぎらわしい表示がある(肯定42.6%、否定29.7%)であり、否定的回答が肯定的回答より多かった項目は、機能に関する表示はわかりやすい(肯定22.1%、否定44.1%)、機能に関する表示内容は十分である(肯定16.8%、否定48.7%)、過剰摂取などに関する注意喚起の内容表示は十分である(肯定12.0%、否定65.6%)、性・年齢別の摂取量に関する表示は十分である(肯定9.2%、否定74.2%)、安全性に関する記述は十分である(肯定12.0%、否定56.3%)、薬効とまちがえる表示がある(肯定29.3%、否定39.1%)であった。また、栄養補助食品・健康食品に関して、厚生省から出してほしい情報は、機能に関する正確な情報65.4%、過剰摂取などの注意事項56.9%、種類別の規格基準52.2%であった。
結論
本研究では、いわゆる栄養補助食品・健康食品の市場実態として、生産者や小売業者の意識や製造・販売実態、さらに消費者の意識や使用実態を明らかにした。
この分野の国内の実態調査については、これまでほとんど把握されておらず、本研究により、規制緩和推進計画、OTO(市場解放問題苦情処理推進会議)決定及びMOSS(市場志向型分類別)等の国際的要請に対して、科学的根拠に基づいて迅速に対応できるとともに、これら食品等の適正な摂取方法について速やかに表示等のあり方が明らかにされ、国民に啓発・教育が可能となることが期待される。
この分野の国内の実態調査については、これまでほとんど把握されておらず、本研究により、規制緩和推進計画、OTO(市場解放問題苦情処理推進会議)決定及びMOSS(市場志向型分類別)等の国際的要請に対して、科学的根拠に基づいて迅速に対応できるとともに、これら食品等の適正な摂取方法について速やかに表示等のあり方が明らかにされ、国民に啓発・教育が可能となることが期待される。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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