ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201911043A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-050
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学)
  • 広畑 俊成(北里大学 医学部膠原病・感染内科学)
  • 中村晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 後藤 浩(東京医科大学 眼科学)
  • 久松 理一(杏林大学 医学部第3内科学消化器内科学)
  • 岳野 光洋(日本医科大学 アレルギー膠原病内科学)
  • 井上 詠(慶應義塾大学病院 予防医療センター消化器内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部衛生学)
  • 蕪城 俊克(自治医科大学 医学部総合医学第2講座 教授)
  • 菊地 弘敏(帝京大学 医学部内科学講座膠原病学)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部第一内科学講座膠原病学)
  • 南場 研一(北海道大学病院 眼科)
  • 桐野 洋平(横浜市立大学 大学院医学研究科幹細胞免疫制御内科学)
  • 山口 賢一(聖路加国際病院 リウマチ膠原病センター小児膠原病学)
  • 土橋 浩章(香川大学 医学部内科学血液免疫呼吸器内科学)
  • 竹内 正樹(横浜市立大学 大学院医学研究科視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,839,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 蕪城 俊克 所属機関名 東京大学 大学院医学系研究科眼科学(平成29年4月1日~令和元年7月31日)→ 所属機関名 自治医科大学医学部総合医学第2講座(令和元年8月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
ベーチェット病は、再発性口腔内アフタ、ぶどう膜炎、皮膚病変、陰部潰瘍の4主症状をはじめとして全身の諸臓器に炎症を引き起こす原因不明の炎症性疾患である。その臨床的特徴から診療科はリウマチ内科、眼科、皮膚科、消化器内科、神経内科、血管外科など多岐にわたる。そのためベーチェット病では体系的な疾患概念、診断、治療法やその効果などを共有することが診療の均てん化に極めて重要となる。そこでベーチェット病に関する調査研究班では、臨床実態調査及び文献的な科学的根拠の検索を行い、エビデンスに基づいた診療ガイドラインの作成を行った。
研究方法
ベーチェット病の炎症は全身の諸臓器に及ぶため実臨床では一人の患者に複数の診療科が関わることが多く、担当医は専門領域外の病変の病態、治療についても熟知することが望ましい。これまで病変ごとにガイドラインが策定されてきたため、専門外の病領域まで十分な知識を得るのは困難であった。そこで、本ガイドラインの作成にあたっては、ベーチェット病に携わるすべての医療従事者が診療で必要となる実用的な情報を統括したAll in oneの診療ガイドラインを策定することをコンセプトとする。診療ガイドラインの作成に際しては、「Minds診療ガイドライン作成の手引き 2014」に準拠した。ベーチェット病診療で臨床上重要度の高い事項についてクリニカルクエスチョン(CQ)を作成し、臨床実態調査及び文献的な科学的根拠の検索をおこないエビデンスレベルを決定する。しかし、希少疾患であるベーチェット病では患者数や炎症による組織障害の不可逆性などの観点から、ランダム化比較試験や前向きコホート研究などの臨床試験が困難であり、エビデンスレベルの高い科学的根拠が十分得られているとは言えない。そこで本ガイドラインでは各CQの推奨に対する同意度をベーチェット病の専門医師のvotingによって求め、エビデンスレベルを補うこととし、科学的根拠であるエビデンスレベルと実臨床に則した同意度の両者から最終的な推奨度を決定する。推奨度を決定した後に、本研究班HP、日本ベーチェット病学会HPでの公開public commentsを求める。また、関連する学術学会にも同様にpublic commentsを求め、得られたコメントに対応し、必要に応じてガイドラインを修正した。最終的に日本リウマチ学会、日本眼科学会、日本皮膚科学会、日本血管外科学会、日本小児リウマチ学会にガイドラインからガイドラインの内容について承認を得る。
結果と考察
これまでに各分科会で作成したベーチェット病診療ガイドラインの総説、治療アルゴリズム、クリニカルクエスチョンらを統合し、全メンバーで内容や整合性等を確認し、ベーチェット病に関する調査研究班HP及び日本ベーチェット病学会HPに公開しパブリックコメントを求めた。得られたパブリックコメントについて該当する分科会で検討のうえ平成30年度第2回班会議で協議した。関連する日本医学会分科会(日本リウマチ学会、日本眼科学会、日本皮膚科学会、日本血管外科学会、日本血管外科学会)に承認申請を行い承認を得た。本ガイドラインでは、ベーチェット病の疾患概念、病因病態、臨床像、治療アルゴリズム、クリニカルクエスチョン、ベーチェット病患者会情報など診療に関わる多種多様な項目を網羅している。クリニカルクエスチョンは10領域から計150にのぼり、各CQに実践的な推奨文を提示し、エビデンスレベル、専門医の同意度、それらから導き出された推奨度を示している。病変ごとに作成した診断・治療アルゴリズムは明快かつ実践的であり、我国のベーチェット病診療の均填化に大きく貢献するものである。2019年12月に日本ベーチェット病学会監修、難治性疾患政策研究事業ベーチェット病に関する調査研究班ならびに難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班編集のもと「ベーチェット病診療ガイドライン2020」の出版に至った。また、本ガイドラインについて興味を持っている海外の医療者も多く、英文化への要望も強いため、現在、各症状について英文化を進めており、皮膚病変や消化器病変についてはすでに英雑誌に掲載されている。近年は、生物製剤をはじめとして新たな治療薬が登場してきている。研究班では、最新の知見を含めてガイドラインの内容の妥当性について随時検証し、必要があればアップデートを重ねていく必要がある。
結論
令和元年12月に、本研究班の主たる目的であった、「ベーチェット病診療ガイドライン2020」の出版に至った。本ガイドラインはベーチェット病診療の均てん化を目指しており、ベーチェット病に携わるすべての人に有用かつ実践可能なわかりやすい内容となった。今後、本ガイドラインを広めていくために講演や学会でPRをおこなうことで均てん化の実現を目指す。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911043B
報告書区分
総合
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-050
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学)
  • 広畑 俊成(北里大学 医学部膠原病・感染内科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 後藤 浩(東京医科大学 眼科学)
  • 久松 理一(杏林大学 医学部第3内科学消化器内科学)
  • 岳野 光洋(日本医科大学 アレルギー膠原病内科学)
  • 井上 詠(慶應義塾大学病院 予防医療センター消化器内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部衛生学)
  • 蕪城 俊克(自治医科大学医学部総合医学第2講座)
  • 菊地 弘敏(帝京大学 医学部内科学講座膠原病学)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部第一内科学講座膠原病学)
  • 南場 研一(北海道大学病院 眼科)
  • 桐野 洋平(横浜市立大学 大学院医学研究科幹細胞免疫制御内科学)
  • 山口 賢一(聖路加国際病院 リウマチ膠原病センター小児膠原病学)
  • 土橋 浩章(香川大学 医学部内科学血液免疫呼吸器内科学)
  • 河越 龍方(横浜市立大学 大学院医学研究科視覚器病態学)
  • 竹内 正樹(横浜市立大学 大学院医学研究科視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 蕪城 俊克 所属機関名 東京大学 大学院医学系研究科眼科学(平成29年4月1日~令和元年7月31日)→ 所属機関名 自治医科大学医学部総合医学第2講座(令和元年8月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
ベーチェット病は、再発性口腔内アフタ、ぶどう膜炎、皮膚病変、陰部潰瘍の4主症状をはじめとして全身の諸臓器に炎症を引き起こす原因不明の炎症性疾患である。その臨床的特徴から診療科はリウマチ内科、眼科、皮膚科、消化器内科、神経内科、血管外科など多岐にわたる。そのためベーチェット病では体系的な疾患概念、診断、治療法やその効果などを共有することが診療の均てん化に極めて重要となる。そこでベーチェット病に関する調査研究班では、臨床実態調査及び文献的な科学的根拠の検索を行い、エビデンスに基づいた診療ガイドラインの作成を行った。
研究方法
ベーチェット病の炎症は全身の諸臓器に及ぶため実臨床では一人の患者に複数の診療科が関わることが多く、担当医は専門領域外の病変の病態、治療についても熟知することが望ましい。これまで病変ごとにガイドラインが策定されてきたため、専門外の病領域まで十分な知識を得るのは困難であった。そこで、本ガイドラインの作成にあたっては、ベーチェット病に携わるすべての医療従事者が診療で必要となる実用的な情報を統括したAll in oneの診療ガイドラインを策定することをコンセプトとする。診療ガイドラインの作成に際しては、「Minds診療ガイドライン作成の手引き 2014」に準拠した。ベーチェット病診療で臨床上重要度の高い事項についてクリニカルクエスチョン(CQ)を作成し、臨床実態調査及び文献的な科学的根拠の検索をおこないエビデンスレベルを決定する。しかし、希少疾患であるベーチェット病では患者数や炎症による組織障害の不可逆性などの観点から、ランダム化比較試験や前向きコホート研究などの臨床試験が困難であり、エビデンスレベルの高い科学的根拠が十分得られているとは言えない。そこで本ガイドラインでは各CQの推奨に対する同意度をベーチェット病の専門医師のvotingによって求め、エビデンスレベルを補うこととし、科学的根拠であるエビデンスレベルと実臨床に則した同意度の両者から最終的な推奨度を決定する。推奨度を決定した後に、本研究班HP、日本ベーチェット病学会HPでの公開public commentsを求める。また、関連する学術学会にも同様にpublic commentsを求め、得られたコメントに対応し、必要に応じてガイドラインを修正した。最終的に日本リウマチ学会、日本眼科学会、日本皮膚科学会、日本血管外科学会、日本小児リウマチ学会にガイドラインからガイドラインの内容について承認を得る。
結果と考察
本ガイドラインでは、ベーチェット病の疾患概念、病因病態、臨床像、治療アルゴリズム、クリニカルクエスチョン、ベーチェット病患者会情報など診療に関わる多種多様な項目を網羅している。クリニカルクエスチョンは10領域から計150にのぼり、各CQに実践的な推奨文を提示し、エビデンスレベル、専門医の同意度、それらから導き出された推奨度を示している。病変ごとに作成した診断・治療アルゴリズムは明快かつ実践的であり、我国のベーチェット病診療の均填化に大きく貢献するものである。2019年12月に日本ベーチェット病学会監修、難治性疾患政策研究事業ベーチェット病に関する調査研究班ならびに難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班編集のもと「ベーチェット病診療ガイドライン2020」の出版に至った。また、本ガイドラインについて興味を持っている海外の医療者も多く、英文化への要望も強いため、現在、各症状について英文化を進めており、皮膚病変や消化器病変についてはすでに英雑誌に掲載されている。近年は、生物製剤をはじめとして新たな治療薬が登場してきている。研究班では、最新の知見を含めてガイドラインの内容の妥当性について随時検証し、必要があればアップデートを重ねていく必要がある。
結論
令和元年12月に、本研究班の主たる目的であった、「ベーチェット病診療ガイドライン2020」の出版に至った。本ガイドラインはベーチェット病診療の均てん化を目指しており、ベーチェット病に携わるすべての人に有用かつ実践可能なわかりやすい内容となった。今後、本ガイドラインを広めていくために講演や学会でPRをおこなうことで均てん化の実現を目指す。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911043C

収支報告書

文献番号
201911043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,190,000円
(2)補助金確定額
9,986,000円
差引額 [(1)-(2)]
204,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,113,218円
人件費・謝金 0円
旅費 1,300,718円
その他 2,221,139円
間接経費 2,351,000円
合計 9,986,075円

備考

備考
自己資金75円

公開日・更新日

公開日
2021-06-15
更新日
-