小規模水供給システムの安定性及び安全性確保に関する統合的研究

文献情報

文献番号
201826008A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模水供給システムの安定性及び安全性確保に関する統合的研究
課題番号
H29-健危-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 真理(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院 工学研究科)
  • 島崎 大(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
  • 小熊 久美子(東京大学 先端科学技術研究センター)
  • 増田 貴則(鳥取大学大学院 工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,352,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国数千の地域において、水道管路等で構成される水道(上水道、簡易水道)及び飲料水供給施設等(以下、水供給システム)を維持することが困難となりつつある。水供給維持困難地域を含む地域において衛生的な水を持続的に供給可能とするための具体的方策の検討を実施すべく、検討を行った。
研究方法
小規模水供給システムに関する聞き取り、維持管理等に関する知見を集め、手引きのたたき台を作成した。配水管の管理、紫外線消毒、上向式ろ過、錠剤型消毒剤、住民管理の方法等について実験及び文献調査、アンケートを実施した。
結果と考察
簡易水道が大規模水道事業体に繰り入れられた場合の調査やその他小規模水供給施設の取組みについて聞き取り調査を実施し、制度上の課題等について整理を行った。その中で、小規模水供給施設向けに情報共有が必要であることが再確認されたため、小規模水供給システムの手引きのたたき台を作成した。
小規模化が進む水道システムでは、配水管内での滞留時間が増大する傾向にあり、水道水質が劣化することが懸念される。このため配水管内環境の管理を高度化させ、これを制御する必要がある。中部地方H市内、中部地方Y市内、東北地方S市内の飲料水供給施設などの小規模な水道施設を対象とし、それぞれの配水区域において、まずは配水管内に蓄積する重量(g/m2)とその分布を推定した。ついで、浄水シナリオ、縮径シナリオ、洗管シナリオによって、配水管内環境がいかに改善できるかを定量的に示した。
近年、維持管理の容易な緩速ろ過の一つの方法として、上向流式緩速ろ過が導入されている事例が多数あることから、上向流式緩速ろ過の濁度除去特性の検証を行い、条件によりクリプトスポリジウム等の病原性原虫の除去に効果がある程度見込める結果が得られた。高濁度原水に対しても、下向流式緩速ろ過に比べ、ろ層の閉塞がしにくいことも明らかとなり、維持管理面での有効性も確認できた。
小規模水供給システムに適した小型紫外線消毒装置の候補として、紫外発光ダイオード(UV-LED)を光源とする流水殺菌装置(試作機)2機種を選定し、国内某所に当該装置を設置して長期運転を念頭に実証試験を開始した。これまで約10カ月にわたる運転の経過報告として、UV-LED装置による処理後には、大腸菌はすべて不検出、大腸菌群は突発的に1 CFU/mLを一度検出した以外は全て不検出, 一般細菌は不検出~2 CFU/mL、従属栄養細菌は不検出~12 CFU/mLとなった。すなわち、適切な紫外線装置を選定し小規模施設や給水栓等に導入することで、水の微生物学的な安全性を向上できることが示された。
水供給システムにおいては、必須である消毒について、本邦で主流となっている次亜塩素酸ナトリウム溶液に対しての様々な課題が指摘されている。次亜塩素酸ナトリウム溶液の代替として錠剤型の塩素消毒剤(次亜塩素酸カルシウム)を実際に使用している本邦の小規模水道システムを対象に、資料収集ならびにヒアリング調査を通じて使用状況ならびに運用上の課題を抽出した。飲料水への適用に際しては、浄水中の適切かつ継続的な残塩濃度の保持が実際に可能であるか実証することが必要と考えられた。
地元管理されている簡易水道や飲料水供給施設の調査を行うとともに、ある県と村役場による施策について情報収集した。この結果、県として、また村として、高く評価されるべき取り組みが実施されているものの、県単独、および村単独ではいずれも限界があった。今後水道事業の持続可能性を高めるためには、県に対しては地方の近隣事業体および国、村に対しては県内事業体および県による支援体制の確立が不可欠であり、速やかな行動が必要である。さらに、浄水処理装置に関する技術的課題について考察し、浄水規模と装置寿命の観点から、今後の開発ニーズを指摘した。
飲料水供給施設相当規模の水供給システムを利用・管理している97の集落を対象に、水供給システムの維持管理や断水等のトラブル発生の現状を把握するとともに、集落役員が点検や清掃などの管理作業に対して感じている負担感や作業負担の重い項目、設備の点検管理記録や財政の将来見通しの有無、行政や他の集落との連携状況、研修会等の有無、水供給システムに対して感じている不安を整理することを目的とした質問紙調査を行った。47の集落より回答があり、水の安定供給や施設の維持管理に様々な困難を抱えていること、負担の重い作業項目、記録の有無状況、研修会のメリット等が確認できた。
結論
今後、現地調査や実証実験を進め、それぞれ管理・制御すべき事項・段階を抽出するとともに、検討対象地域に適した浄水処理方法及び配水システムの管理・制御方法を提示することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2019-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-08-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201826008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,352,000円
(2)補助金確定額
6,339,000円
差引額 [(1)-(2)]
13,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,523,682円
人件費・謝金 2,054,522円
旅費 1,095,359円
その他 666,084円
間接経費 0円
合計 6,339,647円

備考

備考
謝金業務が予定より短時間で終了したため

公開日・更新日

公開日
2020-03-16
更新日
-