労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201822004A
報告書区分
総括
研究課題名
労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究
課題番号
H28-労働-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
島津 明人(北里大学一般教育部人間科学教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 西 大輔(東京大学大学院医学系研究科)
  • 荒川 豊(奈良先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科)
  • 黒田 祥子(早稲田大学・教育・総合科学学術院)
  • 松平 浩(東京大学・医学部附属病院)
  • 中田 光紀(国際医療福祉大学・医療福祉学研究科)
  • 梶木 繁之(産業医科大学・産業保健経営学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では,(1)労働生産性の多面的測定手法の確立,(2)労働生産性の向上に寄与する健康増進手法について主要な職種・業種ごとのガイドラインの開発,(3)ガイドラインで提示された介入手法の有効性の科学的検証,(4)これらの手法の具体的な手順を示すマニュアルの開発,を目的とする。
研究方法
1. 労働生産性の測定手法の検討:心理社会・経営学的指標,生体工学的指標,経済学的指標に関して,既存および新規の実証データの解析を行った。
2. 「メンタルヘルス対策(1次予防)」と「腰痛対策(腰痛予防)」のための健康増進プログラムの試行結果を反映させて最終版となるガイドラインを完成させた。
3. 労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の検討:メンタルヘルスの向上に関する「職場環境へのポジティブアプローチ」「日本版CREW」「ジョブ・クラフティング」「対人関係向上」の4つのプログラム,および腰痛予防に関するプログラムが完成した。
結果と考察
1年目の平成28年度では,①労働生産性の測定手法の提案を行うために,労働生産性の測定手法を検討した。②主要な職種・業種ごとの健康増進手法に関するガイドラインの開発を行うために,主要な職種・業種ごとの健康増進に関するニーズと課題の分析を行った。③労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発を行うために,労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の検討を行った。
2年目にあたる平成29年度では,実証データの解析を通じて,労働生産性の測定における心理社会的指標,生体工学的指標,経済学的指標に関する有用な情報が得られた。また,科学的根拠と産業保健スタッフ等への意見調査から,主要な職種・業種ごとの健康増進に関するニーズと課題が抽出され,有望なガイドライン(案)が提案された。さらに,労働生産性の向上に寄与するメンタルヘルス対策に関して,組織および個人のポジティブな要因に着目した介入アプローチが有用である可能性が示された。加えて,勤労者の腰痛に関して,腰痛体操や心理教育などの予防対策の実施により,そのリスクを低減できる可能性が示唆された。
3年目にあたる本年度は,①労働生産性の多面的な測定手法を提案するために,労働生産性の心理社会・経営学的指標、生体工学的指標、経済学的指標との関連を検討した。②主要な職種・業種ごとに生産性向上と健康増進を両立するための、メンタルヘルス対策及び腰痛予防に関するガイドラインの開発を行った。③労働生産性の向上に寄与する健康増進手法のプログラム及びマニュアルの開発を行った。
結論
本研究では,実証データの解析を通じて,労働生産性の測定における心理社会的・経営学的指標,生体工学的指標,経済学的指標の提案を行った。また,メンタルヘルス対策(1次予防)と腰痛対策(腰痛予防)のためのガイドラインを完成させた。さらに,労働生産性の向上に寄与するメンタルヘルス対策および腰痛対策のプログラムが開発され,プログラムを実施するためのマニュアル作成が提案された。

最終年度を迎え,以下の3つの成果物が提供された。
1. 労働生産性の多面的な測定指標
2. 主要な職種・業種ごとの健康増進手法に関するガイドライン
3. 労働生産性の向上に寄与する健康増進手法のマニュアル

これら3つの成果物により,労働生産性の観点を踏まえた効果的かつ包括的な健康増進を推進することができ,社会全体の活性化につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201822004B
報告書区分
総合
研究課題名
労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究
課題番号
H28-労働-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
島津 明人(北里大学一般教育部人間科学教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 西 大輔(東京大学大学院医学系研究科・精神保健学分野)
  • 荒川 豊(奈良先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科)
  • 黒田 祥子(早稲田大学・教育・総合科学学術院)
  • 松平 浩(東京大学・医学部附属病院)
  • 中田 光紀(国際医療福祉大学・医療福祉学研究科)
  • 梶木 繁之(産業医科大学・産業保健経営学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,(1)労働生産性の多面的測定手法の確立,(2)労働生産性の向上に寄与する健康増進手法について主要な職種・業種ごとのガイドラインの開発,(3)ガイドラインで提示された介入手法の有効性の科学的検証,(4)これらの手法の具体的な手順を示すマニュアルの開発を目的とする。特に本研究では,労働者の日常生活における大きな健康問題であるメンタルヘルスと腰痛に着目する。
研究方法
労働生産性については,平成28-30年度にかけて多面的な測定手法を検討した。メンタルヘルスに関しては,労働生産性の向上に寄与する健康増進手法を検討し(平成28年度),モデル事業を通じて有効性を検証後(平成29-30年度),マニュアルを完成させた(平成30年度)。腰痛に関しては,痛みの原因となる異常や疾患の特定ができない非特異的腰痛に注目した介入手法を検討し(平成28年度),モデル事業を通じて有効性を検証後(平成29-30年度),マニュアルを完成させた(平成30年度)。
結果と考察
本研究を通じて,労働生産性に関する多面的な測定指標,生産性向上に寄与する健康増進手法について主要な職種・業種ごとのガイドライン,その具体的な手順を示すマニュアルの3つを成果物として提示した。
結論
本研究では,実証データの解析を通じて,労働生産性の測定における心理社会的・経営学的指標,生体工学的指標,経済学的指標の提案を行った。また,メンタルヘルス対策(1次予防)と腰痛対策(腰痛予防)のためのガイドラインを完成させた。さらに,労働生産性の向上に寄与するメンタルヘルス対策および腰痛対策のプログラムが開発され,プログラムを実施するためのマニュアル作成が提案された。

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201822004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ガイドラインの作成過程において,職域からのヒヤリングと大規模データの解析を行うことで,実証的な知見が蓄積された。また,5種類のマニュアルを作成しその効果を実証的に検証(クラスター無作為化比較試験を含む)することで,科学的根拠に基づく健康増進と生産性向上の両立につながる介入手法を開発することができた。
臨床的観点からの成果
本研究で開発されたガイドラインは,生活への支障が大きい健康問題であるメンタルヘルスと腰痛に注目し,これらの対策が職場で喫緊の課題となっている医療・福祉(看護職),情報通信(システムエンジニア),卸売業・小売業分野に焦点を当てている点に特徴がある。また,開発された5種類のマニュアルは,産業保健専門職が常駐していなくても対策を実施できることを目的としており,中小規模事業所における支援の普及に貢献することが期待される。
ガイドライン等の開発
「生産性向上と健康増進の両立を可能にする1) メンタルヘルス対策(1次予防),2) 腰痛対策(腰痛予防)ガイドライン」を開発した。ガイドラインでは,メンタルヘルスならびに腰痛対策の必要性に触れたのち,現場編(業種・職種の特徴と健康増進プログラム実施時の留意点、具体的な実施事例の紹介)と資料編(これまでに明らかとなっているエビデンスと健康増進プログラムの紹介、期待される効果)で構成されている。
その他行政的観点からの成果
「平成30年度職場のメンタルヘルスシンポジウム~ワーク・エンゲイジメントに注目した職場と個人の活性化~」が厚生労働省主催で開催され,研究代表者が基調講演を担当した。本研究のキーワードであるワーク・エンゲイジメントについては,平成30年版厚生労働省 労働経済の分析(労働経済白書)のコラムに取り上げられているほか,厚生労働大臣にワーク・エンゲイジメントに関する内外の研究・実践状況を講演した(2018年9月)。
その他のインパクト
日本公衆衛生学会でのシンポジウム(2016年,2917年,2018年),日本産業ストレス学会でのシンポジウム(2017年),日本心身医学会でのシンポジウム(2017年)において,研究班の活動内容を報告した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
20件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201822004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,600,000円
(2)補助金確定額
3,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 300,995円
人件費・謝金 298,899円
旅費 1,031,229円
その他 1,137,776円
間接経費 830,000円
合計 3,598,899円

備考

備考
東京大学 西大輔准教授の実支出額の差分によるもの

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-