増加する救急患者に対する地域での取組(特に地域包括ケアシステムの構築にむけたメディカルコントロールの活用)に関する研究

文献情報

文献番号
201620033A
報告書区分
総括
研究課題名
増加する救急患者に対する地域での取組(特に地域包括ケアシステムの構築にむけたメディカルコントロールの活用)に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-014
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
行岡 哲男(東京医科大学 救急・災害医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 溝端 康光(大阪市立大学大学院 医学研究科)
  • 横田 順一朗(堺市立病院機構)
  • 田邉 晴山(救急振興財団 救急救命東京研修所)
  • 梶野 健太郎(国立病院機構大阪医療センター 統括診療部救命救急センター・災害医療対策部災害医療企画室)
  • 上村 修二(札幌医科大学 救急医学講座)
  • 野田 英一郎(福岡市民病院 救急科)
  • 林 靖之(大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター)
  • 太田 祥一(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 野口 英一(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 水野 信也(静岡理工科大学 総合情報学部)
  • 藤澤 由和(宮城大学 事業構想学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 藤澤由和 静岡県立大学経営情報学部(平成28年4月1日~9月30日)→宮城大学事業構想学部(平成28年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
救急搬送件数が増加の一途をたどっている中で、とりわけ高齢者の救急患者の増加が問題となっている。今後も救急需要の増加が見込まれているなか、限られた資源を有効に活用するためには地域の実情にあった対策をとる必要がある。本研究では地域の救急医療体制の役割を担うことが期待されるメディカルコントロール(MC)協議会を充実・強化するための方策について明らかにすることを目的とした。特に現在各地で整備が進められている地域包括ケアシステムの中でどのようにMC体制を活用できるのか、地域のMC協議会が果せ得る役割について明らかにすることを主眼に置いた。
研究方法
昨年度に引き続き地域の救急医療体制評価手法の開発に係る研究、地域包括ケアシステムの構築に向けたMC体制の活用に関する研究、地域MC体制を担う医師の養成に関する研究、MC医師研修に関する研究の4つの大項目を中心に研究を行った。
結果と考察
救急医療と在宅・介護との理解がまだ進んでいない現状が明らかとなった。介護事業者は救急医療やMC体制のことを、救急隊は地域包括ケアシステムのことを十分に理解できていない現状が認められた。そこで「在宅療養支援隊」などの互助組織を活用しMC体制が医学的な担保を与えるなどの新たな視点を提言した。また地域の救急医療体制を構築する役割を期待されているMC体制を強化することは必然性があり、MCを担う医師を体系的に教育することは重要であることから現在厚生労働省が委託し開催されている“病院前医療体制における指導医等研修”の講義内容を確認しより効果的な教育が行えるよう提言を行い、さらにMCを管理する医師を育成するために研修会を開催し、さらに今後の研修会に向けプログラム案を作成した。
結論
今後も救急の需要が増加、特に高齢者救急が増加することが予想される中で、現状の把握とメディカルコントロール体制の活用の可能性、その強化について様々な観点から研究を行った。来るべき高齢者救急患者の増加に対応すべく引き続き検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201620033B
報告書区分
総合
研究課題名
増加する救急患者に対する地域での取組(特に地域包括ケアシステムの構築にむけたメディカルコントロールの活用)に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-014
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
行岡 哲男(東京医科大学 救急・災害医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 溝端 康光(大阪市立大学大学院 医学研究科)
  • 横田 順一朗(堺市立病院機構)
  • 田邉 晴山(救急振興財団 救急救命東京研修所)
  • 梶野 健太郎(国立病院機構大阪医療センター 統括診療部救命救急センター・災害医療対策部災害医療企画室)
  • 上村 修二(札幌医科大学 救急医学講座)
  • 野田 英一郎(福岡市民病院 救急科)
  • 林 靖之(大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター)
  • 太田 祥一(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 野口 英一(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 水野 信也(静岡理工科大学 総合情報学部)
  • 藤澤 由和(宮城大学 事業構想学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 野田英一郎 九州大学病院救命救急センター(平成27年4月1日~30日)→福岡市民病院救急科(平成27年5月1日以降) 研究分担者 藤澤由和 静岡県立大学経営情報学部(平成27年4月1日~平成28年9月30日)→宮城大学事業構想学部(平成28年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
救急搬送件数が増加の一途をたどっている中で、とりわけ高齢者の救急患者の増加が問題となっている。今後も救急需要の増加が見込まれており、限られた資源を有効に活用するため地域の実情にあった対策をとる必要がある。本研究では地域の救急医療体制の役割を担うことが期待されるメディカルコントロール(MC)体制を充実・強化するための方策について明らかにすることを目的とした。特に現在、各地で整備が進められている地域包括ケアシステムの中でどのようにMC体制を活用できるのか、地域のMC協議会が果せ得る役割について明らかにすることを主眼に置いた。さらに、MC体制を強化していくために必要な医師の育成方法について検討する。
研究方法
本研究では①地域の救急医療体制評価手法の開発に係る研究、②地域包括ケアシステムの構築に向けたMC体制の活用に関する研究、③地域MC体制を担う医師の養成に関する研究、④MC医師研修に関する研究の4つの大項目を中心に研究を行った。
結果と考察
本研究において、①地域の救急医療体制評価手法の開発に係る研究では、二次医療圏ごとに、地域における救急搬送における医療機関の受入状況についてのデータベースを構築した。二次医療圏毎における救急搬送の実態は、一定のばらつきが見られ、その搬送先の医療機関はDPC病院などの一定の医療機関に集中している二次医療圏が多く見られた。圏内の三次、二次救急医療機関の数の増加と、4回以上連絡回数の相関が低いことが確認できた。これまで医療圏ごとのデータはなく、現状を把握し今後の救急医療体制の構築に資するデータベースになると期待される。②地域包括ケアシステムの構築に向けたMC体制の活用に関する研究では、介護関係者や救急隊へアンケートを行い、介護事業者は救急医療やMC体制のことを、救急隊は地域包括ケアシステムのことを十分に理解できておらず、救急医療と在宅・介護との理解がまだ進んでいない現状が明らかとなった。また、消防団に倣い、地域の支援者による互助組織として「在宅療養支援隊」を提言した。地域で各種サービスを提供する事業者を対象とし試験的に「在宅療養支援隊講習」を開催した。アンケートを実施した結果、緊急度重症度判断(トリアージ)、応急手当の基本、傷病者への心理的配慮等への関心が高かった。支援活動は、単に見守りというだけでなく、一定の医学的知識が必要とされており、病院前救急における非医療従事者の支援行動の医学的担保をしている地域MC体制が積極的に関与したほうが社会システム上わかりやすく、さらに支援隊講習は災害時の一般人による医療支援活動にも繋がる可能性があると考えられる。③地域MC体制を担う医師の養成に関する研究では、MC体制を強化するためにはMC協議会を担う医師を体系的に教育することが重要であることから、現在厚生労働省が委託し開催されている“病院前医療体制における指導医等研修”の講義内容を確認し、より効果的な教育が行えるよう提言を行った。また日本救急医学会メディカルコントロール体制検討委員会とともに卒後3年目から10年目くらいを対象としたMC教材の作成に参加した。④MC医師研修に関する研究では、MC体制を強化していくために、情報共有と教育を目的として厚生労働省の予算事業であるMC体制強化事業におけるMC医師や行政官を対象として、“メディカルコントロール体制の整備に関わる医師の研修会”を開催した。平成27年度は55名(行政官17名)、平成28年度は58名(行政官12名)が参加した。研修会を通して、MCの体制に関わる医師に必要な教育内容について検討を行い、教育プログラムを作成した。
結論
今後も救急の需要が増加、特に高齢者救急が増加することが予想される中で、現状の把握とメディカルコントロール体制の活用の可能性、その強化について様々な観点から研究を行った。来るべき高齢者救急患者の増加に対応すべく引き続きさらに具体的な検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620033C

収支報告書

文献番号
201620033Z