文献情報
文献番号
201525025A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャル・キャピタルの概念に基づく多部門連携による地域保健基盤形成に関する研究
課題番号
H25-健危-若手-015
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 尚己(東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
- 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部医学科 健康社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,554,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、介護予防を例とした市町村との連携による実践的研究を通して、地域づくり型の保健施策を進めるためのソーシャル・キャピタルの醸成方法を検討し、その事例づくりを進めることを目的とした。
研究方法
文献研究による理論的整理の後、熊本県御船町および兵庫県神戸市において多部署連携会議の立ち上げと継続にかかわり、また同会議で活用するための地域診断ツールの開発を進めてきた。
結果と考察
初年度、自治体におけるソーシャル・キャピタルの醸成には、まず自治体内の各部署が連携しやすくなるような横断的な意見交換の場を作ることが重要で効果的であることが確認された。御船町では連携会議での活動を通じて、市内の過疎地域での住民主体の活動による保健福祉施策充実のための県による助成金を獲得した。対象地域で新たな住民主体の集いの場「ほたるの学校」が開校した。また介護保険の新総合事業の展開に向けた第1層協議体の設立のための官民連携部会の発足が決まった。同町のこれらの取り組みは厚労省第4回「健康寿命のばそう!アワード」受賞に結び付いた。介護保険事業計画に閉じこもりの地域間格差の縮小が目標値として盛り込まれるなど、マネジメント上も前進した。
神戸市では複数の民間企業(ネスレ日本・NTT東日本)の参入による情報技術を用いた新しい介護予防のための集いの場事業が展開され、業務ビッグデータの一層の活用のためのプラットフォームができるなど組織連携の前進がみられた。この連携をベースとして、情報端末などを活用した新たな住民主体の集いの場の事業が始まるなど、住民レベルのソーシャル・キャピタル醸成に貢献した。調査により得られたデータの分析からは、住民の社会経済的背景により、適した地域での社会活動が異なること、多様なメンバーが集うグループに参加している人のほうが、均質なグループへの参加者に比べて抑うつ傾向が少ない可能性が明らかになった。ネスレ社は関連する「介護予防カフェ」事業が認められ、第4回「健康寿命を延ばそう!アワード」企業部門優良賞を今年度受賞した。
以上より、高齢者保健対策に資するソーシャル・キャピタルの育成には、幅広い官民の組織連携が有効であること、そういった組織連携を通じて、多様な社会経済的背景を持つ住民の社会参加ニーズを明らかにしたうえで、ニーズにあった住民レベルのソーシャル・キャピタル醸成の取り組みを展開していくことが可能であることがうかがえた。
神戸市では複数の民間企業(ネスレ日本・NTT東日本)の参入による情報技術を用いた新しい介護予防のための集いの場事業が展開され、業務ビッグデータの一層の活用のためのプラットフォームができるなど組織連携の前進がみられた。この連携をベースとして、情報端末などを活用した新たな住民主体の集いの場の事業が始まるなど、住民レベルのソーシャル・キャピタル醸成に貢献した。調査により得られたデータの分析からは、住民の社会経済的背景により、適した地域での社会活動が異なること、多様なメンバーが集うグループに参加している人のほうが、均質なグループへの参加者に比べて抑うつ傾向が少ない可能性が明らかになった。ネスレ社は関連する「介護予防カフェ」事業が認められ、第4回「健康寿命を延ばそう!アワード」企業部門優良賞を今年度受賞した。
以上より、高齢者保健対策に資するソーシャル・キャピタルの育成には、幅広い官民の組織連携が有効であること、そういった組織連携を通じて、多様な社会経済的背景を持つ住民の社会参加ニーズを明らかにしたうえで、ニーズにあった住民レベルのソーシャル・キャピタル醸成の取り組みを展開していくことが可能であることがうかがえた。
結論
今後の普及に向けては、今回研究者が担当したような連携や地域診断データの活用に関するアドバイザー機能およびコーディネーションの支援機能を担う地域の人材や担当機関が育成されることが求められる。
公開日・更新日
公開日
2016-06-20
更新日
-