室内濃度指針値見直しスキーム・曝露情報の収集に資する室内空気中化学物質測定方法の開発

文献情報

文献番号
201524019A
報告書区分
総括
研究課題名
室内濃度指針値見直しスキーム・曝露情報の収集に資する室内空気中化学物質測定方法の開発
課題番号
H27-化学-指定-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神野 透人(名城大学 薬学部)
  • 武内 伸治(北海道立衛生研究所 理化学部)
  • 香川 聡子(横浜薬科大学 薬学部)
  • 齋藤 育江(東京都健康安全研究センター 環境保健部)
  • 上村 仁(神奈川県衛生研究所 理化学部)
  • 田辺 新一(早稲田大学 創造理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省のシックハウス(室内空気汚染)問題検討会において、室内濃度指針値の見直し作業が進められている。現行の室内濃度指針値は、策定されてから既に10年以上が経過し、その間、指針値策定物質の代替として使用される化合物による新たな室内空気汚染の可能性が指摘されている。策定候補化合物の詳細曝露評価には正確な試験法による実態調査データが必要であり、最新の分析技術に基づいた測定方法を整備することが求められる。そこで、本研究では、測定対象化合物の物性に応じて揮発性有機化合物(VOC,沸点50℃~250℃)と準揮発性有機化合物(SVOC,沸点250℃~400℃)に分類し、それぞれサブグループで測定方法を開発し、その妥当性評価を行う。また、開発に際しては、諸外国の空気試験法に関する情報を収集し、国際的な整合性を図ることとした。
研究方法
測定対象化合物の物性に応じてVOCとSVOCを担当するサブグループを形成し、それぞれで測定方法の開発及び妥当性評価を行った。総揮発性有機化合物(TVOC)の試験条件を検討した。また、シックハウス検討会において既に指針値設定に向けた議論がなされたベンゼンに加え、同じくWHOガイドライン収載化合物であるナフタレン、並びに実態調査において高濃度、高頻度で検出されることがある2-エチルヘキサノール、テキサノール及び2,2,4-トリメチルペンタンジオールジイソブチレートの計5化合物の吸着管への捕集性について検討した。SVOCに関しては、フタル酸エステル類について測定方法を開発した。さらに、有機リン系殺虫剤に代わって室内で汎用されるピレスロイド系殺虫剤の測定方法も検討した。サンプリング法としては、我が国で汎用されている石英フィルター及びC18固相抽出ディスクを併用する方法と、国際標準化機構(ISO)等で検討されているポリウレタン樹脂フォームを用いる方法とを比較した。国際規格(IS)をはじめとする諸外国の空気試験法に関する情報を収集し、日本標準規格(JIS)との比較を行った。
結果と考察
厚生労働省の測定マニュアルでは、居住住宅では日常生活を営みながら24時間の試料採取を行うとされており、TVOCの試験法原案の作成に当たっては、これに対応する試料採取量や採取速度等を設定するとともにGC-MS分析条件の最適化を行った。5種のVOCについて、各種捕集管に対する破過の有無や採取条件について検討し、加熱脱着法に用いる二層式捕集管の通気条件を決定した。溶媒抽出法で用いる捕集管に対して添加回収試験を実施し、1物質以外は良好な結果が得られた。SVOCに関しては、これまで実態調査された可塑剤、殺虫剤を対象として試料採取法並びに分析法を検証し、妥当性評価に関する諸条件の検討を行った。フタル酸エステル7化合物、ピレスロイド系殺虫剤9化合物についてGC-MSを用いる測定方法を確立した。捕集材については、ブランク値、回収率等を比較して最適なものを選択した。引き続き他のSVOCに関しても検討を行い、妥当性評価を実施する予定である。国際規格の中で殺虫剤、難燃剤、可塑剤などの測定・分析方法と関連する規格を調べた。開発した試験方法がこれらと整合性が図られるように情報収集を続ける。本研究で確立する測定方法は、室内濃度指針値が策定された際の試験法として、行政施策の円滑な遂行にも寄与するものと期待される。
結論
室内空気中のVOC及びSVOCの測定方法の開発及び妥当性評価を行うことを目的とした。VOCに関して、24時間のデータの取得に対応できるようなTVOCの採取方法とGC/MS分析条件の最適化を行った。VOCの5物質について各種捕集管への捕集法について検討し、有用性と課題を確認した。SVOCに関しては、ピレスロイド系殺虫剤9物質及びフタル酸エステル7種のGC-MS分析方法を確立した。それぞれ化合物に対する捕集材について比較検討し、最適な捕集法を示した。ISOやJISの空気試験法に関する情報を収集した。殺虫剤、難燃剤、可塑剤のようなSVOCに関する室内空気中測定・分析方法の開発が求められており、今後の規格案の改正・修正に関して情報提供した。

公開日・更新日

公開日
2016-05-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201524019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,460,000円
(2)補助金確定額
10,460,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,006,224円
人件費・謝金 315,000円
旅費 807,739円
その他 1,332,475円
間接経費 0円
合計 10,461,438円

備考

備考
自己資金発生のため

公開日・更新日

公開日
2017-05-31
更新日
-