神経変性疾患領域における基盤的調査研究

文献情報

文献番号
201510065A
報告書区分
総括
研究課題名
神経変性疾患領域における基盤的調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-085
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
中島 健二(鳥取大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 長谷川一子(国立病院機構相模原病院)
  • 饗場 郁子(国立病院機構  東名古屋病院)
  • 青木 正志(東北大学大学院医学系研究科)
  • 阿部 康二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 小野寺 理(新潟大学脳研究所)
  • 梶 龍兒(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 桑原 聡(千葉大学大学院医学研究院)
  • 小久保 康昌(三重大学大学院)
  • 斎藤加代子(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
  • 佐々木秀直(北海道大学大学院)
  • 佐野 輝(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 高橋 良輔(京都大学医学研究科)
  • 辻 省次(東京大学医学部附属病院)
  • 土井由利子(国立保健医療科学院)
  • 戸田 達史(神戸大学大学院医学研究科)
  • 中川 正法(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 西山 和利(北里大学医学部)
  • 野元 正弘(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 服部 信孝(順天堂大学医学部)
  • 村田 美穂(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター)
  • 望月 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 森田 光哉(自治医科大学)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 吉田 眞理(愛知医科大学加齢医科学研究所)
  • 渡辺 保裕(鳥取大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
18,866,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経変性疾患である1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)、2)脊髄性筋萎縮症(SMA)、3)原発性側索硬化症(PLS)、4)球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、5)Parkinson病(PD)、6)進行性核上性麻痺(PSP)、7)大脳皮質基底核変性症(CBD)、8)Huntington病(HD)、9)神経有棘赤血球症(NA)、10)脊髄空洞症、11)前頭側頭葉変性症(FTLD)、12)Charcot-Marie-Tooth病(CMT)、13)ジストニア、14) Pantothenate kinase-associated neurodegeneration/脳内鉄沈着神経変性症(PKAN/NBIA)、15)筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合(紀伊ALS/PDC)の実態調査を行い、診断基準や重症度分類、診療ガイドラインの改訂・作成を行う。
研究方法
関連学会や関連研究班と連携し、診療ガイドラインの作成・改訂、療養の手引き、診療マニュアルを作成する。臨床検査の有用性を検討し、診断基準や重症度分類について検討すると共に、自然歴調査や生体試料・ゲノムの収集を進める。
結果と考察
1.診断基準に関する検討
ALS、PLS、SMA、CBD、HD、NAに関する診断基準の修正案を作成した。
2.疾患別の研究結果
ALSについて、1)Awaji基準に比較してupdated Awaji基準は診断感度が高く、2)“孤発性ALS患者大規模前向きコホートの臨床バイオリソース・ゲノム遺伝子・不死化細胞を用いた病態解明、治療法開発研究班・ALS前向きコホート:JaCALS”と連携してALS患者1137例、コントロール337例の臨床情報と生体試料を収集し、3)医療ニーズと地域医療資源に関して調査し、4)行動・性格変化や認知症の調査であるALS-FTD-Qについて収集した146例を検討し、5)若年群では陽圧喚起補助後の5年生存率が高齢群に比して低く、6)遺伝性ALSについて既知の関連遺伝子を検討して遺伝子型と臨床型を解析し、7)病理解剖例についてもその進展様式について解析した。
全国アンケート調査に基づきPLSの19症例を解析し、17症例で緩徐進行性であることを確認した。小児期発症のSMAの自然歴を調査し、運動機能のスペクトラムが広いことが示された。また、SBMAの臨床情報収集を進め、臨床的検討を進めた。
PDについて、1)診療ガイドライン改訂の作業を進め、2)療養の手引きの原稿を作成し、3)自動車運転に関して衝動制御障害スコアが高値であり、4)進行期PDでは認知症や栄養摂取が課題で、5)PDの頭部MRIにおけるcerebral microbleedsは血圧変動が影響している可能性が示唆され、6)PD症状を示すがドパミントランスポーターで異常を認めない例に関するアンケート調査を実施した。
PSPについて、1)AMED“進行性核上性麻痺及び類縁疾患を対象とした多施設共同コホート研究によるバイオマーカー開発と自然歴の解明”班と連携して自然歴調査と生体試料収集を行う共同研究Consortium(JALPAC)を進めて85例を登録し、2)診療ガイドラインの作成作業を進め、3)神経病理学的解析も進めて細分類について検討した。CBDの病理診断例における臨床診断基準のvalidationの検討や、診療ガイドラインの作成を進めた。
HDの診療ガイドラインの策定・改訂を進め、進行に及ぼす後天的要因に関して患者レジストリーシステムを構築した。NAの診療ガイドラインを検討し、遺伝子的な特徴や臨床表現型を検討した。脊髄空洞症について家族例を中心としたアンケートの解析を進めた。
 FTLDの前方向的臨床情報収集体制(FTLD-J)を構築した。FTLD治療ガイドラインの改訂
作業を進めた。
“シャルコー・マリー・トゥース病の診療向上に関するエビデンスを構築する研究”班と連携してCMT Patient Registory(CMTPR)システムを構築して診療状況や自然経過を検討した。CMT診療マニュアル改訂2版を発刊した。
 Japan Dystonia Consortiumを構築すると共に、診断・治療ガイドライン作成作業を進めた。PKAN/NBIAに関連し、脳表ヘモジデリン沈着症に対する瘻孔閉鎖術と鉄キレ-ト剤投与の有効性を検討した。紀伊ALS/PDC療養の手引きの原稿を作成した。
3. 遺伝子診断サービス体制の構築、ブレインバンクネットワーク構築の検討を進めた。
結論
神経変性疾患の実態調査・疫学研究、診断基準・診療ガイドラインの作成・改訂、難病患者QOL調査を行った。研究3年間の2年目として、概ね計画を達成できた。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510065Z