地域包括ケア実現のためのヘルスサービスリサーチ-二次データ活用システム構築による多角的エビデンス創出拠点-

文献情報

文献番号
201501026A
報告書区分
総括
研究課題名
地域包括ケア実現のためのヘルスサービスリサーチ-二次データ活用システム構築による多角的エビデンス創出拠点-
課題番号
H27-政策-戦略-012
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 秀人(福島県立医科大学医学部放射線医学県民健康管理センター情報管理・統計室)
  • 野口晴子(早稲田大学政治経済学術院・公共経営研究科)
  • 阿部智一(筑波大学医学医療系)
  • 石崎達郎(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 柏木聖代(横浜市立大学医学部看護学科)
  • 小林廉毅(東京大学大学院医学系研究科)
  • 佐藤幹也(筑波大学医学医療系)
  • 杉山雄大(国立国際医療研究センター)
  • 武田 文(筑波大学体育系)
  • 谷原真一(福岡大学医学部医学科)
  • 松本吉央(産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター)
  • 宮石 智(岡山大学・大学院医歯薬学総合研究科)
  • 本澤巳代子(筑波大学人文社会系法学(家族法、社会保障法))
  • 森山葉子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 山岡祐衣(筑波大学医学医療系)
  • 山中克夫(筑波大学人間系 障害科学域)
  • 山本秀樹(帝京大学大学院公衆衛生学研究科保健医療政策学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
26,087,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
他に類をみないスピードで世界一の超高齢社会となった我が国では、医療が介護をも担ってきた旧体制から、介護を医療と分化した介護保険制度を創出し、一定の成果を得てきた。しかし、費用も医療費の25%(約10兆円)と、医療保険と双璧をなす国民皆保険となり、増大するニーズに適切に対応するには、医療と介護の連携を強化し、地域のリソースを活用し対応することが急務である。地域包括ケア推進はまさにこの考えに基づくものであるが、限られたリソースをどうしたら効果的に配分し、ニーズにあった質の高いサービスを提供できるか・・これを明らかにする学問領域であるヘルスサービスリサーチ(以下HSR)は、我が国では諸外国に比して大きく遅れている。
こうした中、我々は、すでに全国介護レセプトデータ、国民生活基礎調査等の個票データの一部の申請経験を持っている数少ない研究グループである。そして、これまで不可能であったデータベース専門担当研究者の配置や大型機器の整備も可能な資金を得ることができた本研究班では、これらの実績を踏まえ、全国介護保険レセプトデータ、国民生活基礎調査その他全国レベルの国による各種統計データを大規模に整備し全国レベルの分析をすることを核とした。
さらに、一部地域においては、医療レセプトと介護レセプトのリンケージの実績ある共同研究者を中心に、全国データでは実施できない医療情報を含む介護の研究部分を補強した。また、これまで我々がユニークな共同研究として実績を積んできた法医学者との共同による法医学情報のデータベース化およびその分析(法医公衆衛生)、救急医師との共同による地域医療に直結する窓口である救急データベースの分析、さらにつくば市を中心とする市町村と共同してきた介護保険計画策定のための市町村ニーズ調査の共同作成、分析および成果の還元という、マクロからミクロまで、生活のあらゆる分野のデータを活用し、今後の地域包括ケアに向けたエビデンスを多角的に生み出すことを目的とした。
そのため、各方面の研究者(医療系としては公衆衛生関係に加え、救急医、法医学、精神科医、総合診療医師など幅広く、さらには、情報工学研究者、心理学者、社会保障法学者、福祉学関係者、ロボット工学者等々)を、幅広い組織から研究分担者および協力者として組織し、これまでにない学際的なチームによる研究拠点となった。
さらに、その結果を、市町村の担当者等に実装するかも課題として研究を進めてきた。
研究方法
全国データに関しては、2015年度の採択決定を受けた後、データ毎に毎月のプログレスミーティング(データ申請および分析の準備から開始)を開催し、統計法に基づく各種二次データ申請もすみやかに行った。しかし、データ入手までのプロセスは依然大変複雑であり、データ入手が可能となったのは2015年12月末であり、その後、急ぎデータを整備し、分析拠点体制(筑波大学および早稲田大学)を整え本報告に至った。
一部地域のデータについては、この経過とは別に整備できており、これらについては、当初から分析を行うことができ、論文化まで至ることができた。
結果と考察
前述の経緯により、本報告書では、一部の分析および発表が終了した部分を除き、本年度末までに実施できた内容を投稿前の未発表の段階であることを踏まえ記載したレベルでの報告となっている。地域包括ケア推進のエビデンスとなることを意識し、担当者の専門等に基づく幅広い仮説設定を行い、全国データおよび各種のデータベースを活用した分析を推進した。
また、社会実装として、日本公衆衛生学会で「地域の情報―何をどう活用するか―」に焦点をあて、国内の市町村担当者、そして英国の自治体における統計活用担当者を招き、シンポジウムを開催した経過の報告、および消費者目線になったサービスの利用についての実践を示した。
結論
本年度末までに、各種の申請データを入手、最低限の整備をし、地域包括ケアの各側面に焦点をあてた二次データ分析基盤を形成することができた。
これまであまり活用されてこなかった我が国の各種二次データを、学際的研究組織において、多角的・有機的に共同して分析していくことにより、急務である地域包括ケアの構築に視するエビデンス創出が可能となると考える。
最終年度である来年度は、さらにデータ整備分析・論文化を進め具体的提言としまとめていく予定である。
しかし、本研究費によりやっと整備できたこの拠点も、来年度までで終了ということになる。これをどう恒常的に維持・発展させていくか、引き続き、外部資金の獲得、産学連携、大学からの概算要求等を含め、検討し、次につなげる具体的な開路を見いだすことも最終年度の課題と考えている。

公開日・更新日

公開日
2016-11-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-11-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201501026Z