ヒトiPS細胞由来心筋細胞株を成人心筋に橋渡しするためのインシリコツールの開発

文献情報

文献番号
201451016A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトiPS細胞由来心筋細胞株を成人心筋に橋渡しするためのインシリコツールの開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 洵子(東京医科歯科大学難治疾患研究所・生体情報薬理学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 諫田 泰成(国立医薬品食品衛生研究所・薬理部)
  • 芦原 貴司(滋賀医科大学・医学部・循環器内科)
  • 古谷 和春(大阪大学大学院医学系研究科・分子・細胞薬理学)
  • 永森 收志(大阪大学大学院医学系研究科・生体システム薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
なし

研究報告書(概要版)

研究目的
本委託研究は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を利用して、in silico(以下、インシリコ)でヒト心筋のシミュレーションを行うことにより、医薬品の副作用による致死性不整脈の発生リスクを予測する技術の開発を加速化することを目指す。
 近年、多能性幹細胞の研究の進歩により、iPS細胞は、再生医療だけでなく、創薬のツールとしての応用にも期待が高まっている。特に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて、非臨床試験における心臓安全性評価の予測性を向上しようとする試みは全世界で行われ、競争が激化している。現在,ヒトiPS細胞由来心筋細胞の利用にあたり、細胞特性に基づいた標準化が課題とされている。
そこで,本研究では、業務担当者らが独自に開発した幹細胞由来心筋細胞の活動電位波形を成熟化する技術を導入する。その技術等を利用して、ヒトiPS細胞由来心筋細胞から得られたin vitro実験のデータを基に、コンピュータシミュレーションにより医薬品による不整脈の発生リスクを評価し、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の株間の性質のばらつきの影響を定量的に解析する。この解析結果を基にして、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の株間の性質のばらつきを補正する技術を開発し、心臓安全性評価系として用いる細胞の標準化に貢献することを目指す。この技術により、国産を含む種々のヒトiPS細胞由来心筋細胞の利用が拡大することが期待できる。
研究方法
本研究では、以下の研究計画により、インシリコツールの開発を行う。
①ヒトiPS心筋細胞株ごとの心筋マーカー(遺伝子及び膜タンパク質)の比較定量データリストの構築
②心筋モデルを用いたシミュレーションによる株間差補正を行うためのインシリコツールの開発
③心筋細胞シートを用いた心臓安全性評価の基礎検討としての単一細胞における薬物作用解析
結果と考察
本年度は、インシリコ iPS 細胞由来心筋細胞モデルを作成するためのヒト iPS 細胞由来心筋細胞株ごとの心筋マーカーの比較定量解析法の開発および次年度以降にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートへ展開するための基盤構築の研究を行い、以下の結果を得た。
(1)ヒトiPS/ES細胞由来心筋細胞の活動電位波形を成熟化する技術の特許が国際公開された。
(2)ヒトiPS細胞由来心筋細胞の維持およびサンプル回収法について、実験プロトコルを統一した。遺伝子発現比較のための心筋マーカー遺伝子と標準遺伝子を選定して,市販のヒトiPS由来心筋細胞株を用いた相対的比較解析法の系を確立した。
(3)マウス培養心筋細胞または未分化ヒトiPS細胞を用いて、膜タンパク質の比較定量解析のための網羅的質量分析法を確立し、比較定量解析に必要なペプチド情報を取得した。
(4)本研究で用いるインシリコモデルとして、O'Hara-Rudy dynamic (ORd)モデルを選定した。
(5)多電極アレイ細胞外電位の計測系およびヒトiPS細胞由来心筋細胞の成熟化技術を導入する実験系を確立した。シミュレーション解析用の選択的チャネル遮断剤を選定した。
結論
本年度は、インシリコ iPS由来ヒト心筋モデルを作成するための基礎検討として、細胞株ごとの心筋マーカーの比較定量解析法を構築・整備、本研究で使用するインシリコモデルを選定した。従って、成熟化技術を施したヒトiPS細胞由来心筋細胞における薬理学的評価系の基盤が構築された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201451016C

収支報告書

文献番号
201451016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
0円
(2)補助金確定額
0円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
2015年度よりAMEDに移管

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-