身体活動の標準的な評価法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201439017A
報告書区分
総括
研究課題名
身体活動の標準的な評価法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮地 元彦(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田中茂穂(独立行政法人国立健康・栄養研究所 基礎教育研究部)
  • 中田由夫(筑波大学 医学医療系)
  • 高田和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、身体活動量や運動量を客観的で簡便に測定する方法ならびに指標や測定方法の国際的な標準化のための研究開発を行う。さらに、指標や測定方法、測定精度の検証の提案に留まらず、それらの一般化の可能性についても検討する。
確実な行政研究成果をあげるための研究計画を慎重に定め、平成26年度末の報告書作成に円滑に結びつくよう3つの研究班を構成し、研究を遂行した。
1) 身体活動の指標や評価法に関する文献研究(文献調査・研究)
2) 身体活動量やエネルギー消費量の妥当性と互換性に関する研究(妥当性研究)
3) 身体活動量や運動習慣の指標の一般化のための研究(一般化研究)
研究方法
1)文献調査研究(分担:中田)
我が国の疫学研究で使用された身体活動量や運動習慣に関する質問紙を収集し、その質問紙の特徴や算出される指標について整理した。
2)妥当性研究(分担:村上、高田、田中)
活動量計やライフログによるエネルギー消費量ならびに身体活動量の推定法の妥当性・互換性を検討するために、メタボリックチャンバー法と二重標識水法を標準法とした、成人男女を対象とする研究を実施した。
3)一般化研究(分担:田中、宮地)
身体活動量や運動習慣の指標の一般化のための研究として、メッツ表にあるメッツ値を10分間の身体活動や運動で消費するエネルギー量(kcal)に置換した。
結果と考察
本研究ではこれまでに4回の推進ミーティング(班会議)を開催し、3つの研究班が連携を取りつつ研究を遂行し、以下の成果を得た。
1) 文献調査研究
我が国を代表する14の身体活動質問票の本研究への使用許可を各疫学研究の責任者より得た。今後、使用許可が得られた質問票について、活動量計やDLW法との比較により、妥当性ならびに比較可能性を検討していく。
2) 妥当性研究
二重標識水法とメタボリックチャンバー法を標準法とし、13機種の活動量計とライフログの妥当性と互換性を検討した。活動量計やライフログによる総エネルギー消費量は2つの標準法より大きく低値を示す機種がいくつかあった。また、機種間の最大値と最小値において総エネルギー消費量で約500kcal、歩数で約2000歩の差が見られた。
3) 一般化研究
メッツ表とアクティブガイドで提案されている+10をベースに、10分間の身体活動や運動で消費するエネルギー量(kcal)に置換した表を作成した。また、メッツ表を改定するための研究の一部を実施した。
本研究ではこれまでに4回の推進ミーティング(班会議)を開催し、代表者、3名の分担者、6名の協力者が3つの研究を分担するとともに、情報交換を密接に取りながら効果的に遂行した。
結論
本研究班への補助金交付内定から7ヶ月と研究期間に限りがあったが、当初設定した計画通りもしくはそれ以上の進捗で身体活動量や運動量を客観的で簡便に測定する方法ならびに指標や測定方法の国際的な標準化のための研究開発を遂行できた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201439017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
身体活動量の測定法の国際的な標準化のための研究開発を行うことを目的とした。身体活動の評価法は、質問紙法や活動量計法がある。二重標識水法やメタボリックチャンバー法といったゴールデンスタンダードとの比較により、これらの妥当性と互換性を確立する。
12機種の活動量計による総エネルギー消費量推定値が、二重標識水法による自由生活下の総エネルギー消費量よりも過小評価であり、機差が最大約700kcalと大きかった。7つの質問票の妥当性は活動量計法より僅かに劣る程度であった。
臨床的観点からの成果
糖尿病等の生活習慣病の運動療法や特定保健指導におけるメタボリックシンドローム対策などにおいて、身体活動量やエネルギー消費量を定量し、食事によるエネルギー摂取量とのバランスすなわちエネルギー出納を正確に把握することは大変重要である。本研究では、エネルギー消費量を把握する方法の正確性だけでなく簡便性にも着目し、運動療法や保健指導の現場でのより具体的な指導に資することが期待される。
ガイドライン等の開発
本研究の成果から、健康づくりのための身体活動基準2013やアクティブガイドの大きな改定に資する研究成果が得られることが予想される。また、食事摂取基準におけるエネルギー必要量の策定に必要なエビデンスを蓄積する上で、日本人の身体活動量の評価法が確立され、モニタリングが可能にすることが期待される。
その他行政的観点からの成果
例年、国民健康・栄養調査における身体活動・運動の評価として、歩数計による歩数ならびに質問紙法による運動習慣の把握が実施されているが、平成29年度の国調では、本研究において妥当性を検討した質問票の一つであるJPHC shortを用いた推定エネルギー必要量ならびに身体活動レベル(PAL)の調査が実施された。
その他のインパクト
活動量計やウェアラブルデバイスの精度や規格に関する標準化に必要なエビデンスを提供できる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Murakami H, Tanaka S, Miyachi M. et al.
Accuracy of Wearable Devices for Estimating Total Energy Expenditure: Comparison With Metabolic Chamber and Doubly Labeled Water Method.
JAMA Intern Med , 176 (5) , 702-703  (2016)
10.1001/jamainternmed.2016.0152
原著論文2
Miyachi M, Murakami H.
Remaining Questions Concerning Wearable Devices-Reply
JAMA Intern Med , 176 (9) , 1409-1410  (2016)
10.1001/jamainternmed.2016.4762
原著論文3
Sasai H, Nakata Y, Miyachi M他6名
Simultaneous Validation of Seven Physical Activity Questionnaires Used in Japanese Cohorts for Estimating Energy Expenditure: A Doubly Labeled Water Study.
J Epidemiol  (2018)
10.2188/jea.JE20170129
原著論文4
中田 由夫、笹井 浩行、村上 晴香、川上 諒子、田中 茂穂、宮地 元彦
国内のコホート研究で使用されている身体活動質問票による 総エネルギー消費量の算出に向けたスコアリングプロトコル
運動疫学 , 19 (2) , 83-92  (2017)

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
2018-06-21

収支報告書

文献番号
201439017Z