国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究

文献情報

文献番号
201426042A
報告書区分
総括
研究課題名
国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究
課題番号
H26-食品-指定-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
豊福 肇(国立大学法人山口大学 共同獣医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 松尾 真紀子(東京大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 コーデックス委員会(以下、「Codex」という)は、消費者の健康保護と公正な食品貿易の確保を目的として、国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)が合同で1963年に設立した国際政府間組織である。本研究では、Codexの各部会等における過去の議論の内容、各国の立場、日本政府による対応、議論のもとになるリスク分析等の関連情報を収集、分析し、日本政府の対処方針の検討に必要な論点を科学的又は国際政治学的専門知識をもとに整理して迅速に情報提供することにより、我が国の国益、食品の取扱い等に合致したCodex規格等の策定に貢献し、さらに、国際的な考え方や動向との整合性を整理・分析し、今後国内外対応において考慮すべき事項を提言することも目的とした。
研究方法
 担当するコーデックス会議に参加し、議題に関する議論の動向や各国の対応状況について調査した上で、今後の我が国の対処方針作成が効率的かつ的確に行えるよう要点を整理し、対処方針作成に必要な科学的情報の整理、解析を行う。また、国内での公開討論会等を通じ、国内外の現状を考慮して、我が国として優先して取り組むべき分野・内容を提言するとともに、食品衛生法全体の枠組みやプロセスについて、国際的な考え方や動向との整合性を整理・分析し、今後国内及び国際対応において考慮すべき事項を提言した。
結果と考察
 コーデックスの食品衛生部会(CCFH)、水産食品部会(CCFFP)、残留動物用医薬品部会(CCRVDF)及び輸出入食品検査認証部会(CCFICS)、栄養・特殊用途食品部会(CCNFSDU)、汚染物質部会(CCCF),分析サンプリング部会(CCMAS)及び一般原則部会(CCGP)での議論の動向をまとめ、議論の元になるFAO/WHOからの科学的アドバイスの解析、我が国のコメント提出及び部会における対処方針作成を科学的に支援し、また我が国の課題について整理した。
 Codexの討議内容は多岐にわたり、各部会の専門性は高く、かつ過去の討議内容を踏まえた対応が求められることから、日本の行政担当者の異動サイクルで対応するのは困難であり、また継続的にフォローできている専門家が少ないのが現状である。そのため、各部会での議題に関連する科学的又は国際政治学的な専門的知識を持った研究者が集まり、各々の専門的知識をもとにまとめた本研究の結果が日本政府によるCodex対応に及ぼす貢献度は大きい。
 CCFHにおいては、食品に関連する微生物規格の統計学的数学的分野についての付属文書作成の有無及び食品衛生の一般原則を寄生虫のコントロールに適用するためのガイドラインの物理的及び電子的作業部会の運営に、また水産部会においてはヒスタミンの電子的作業部会の運営に貢献した。
食品安全部職員を対象としたコーデックスの考え方に基づく国際化対応のための研修を企画、実施した。
分析・サンプリング法及び分析結果の品質保証に関する基礎的な知識の伝播や国内における議論を形成する場としての有機的な体制作りの検討を行った。
 広くCodexとその活動内容に対する認識を深めてもらうための公開国際シンポジウムを開催し、コーデックスそのものの認知度向上、また各部会での主要議題に関して情報提供を行った。
 さらに、表示のためのNRVsの策定に関して、第37回総会で採択されたたんぱく質NRV-Rならびに第36回CCNFSDUにおいて合意されたビタミン・ミネラルNRVs-R、カリウムのNRV-NCDについて、日本の栄養素等表示基準値(NRVs)、日本人の食事摂取基準値および摂取量との比較を行い、コーデックスで議論されている国際的な考え方との整合性も視野に入れた検討を行なった。
結論
 食品安全行政は国際規格であるコーデックス規格の影響が増大しており、我が国のコーデックス対応はますます重要になってきているなか、議論は専門的で、継続的に、かつ科学的根拠と国際的なリスクアナリシスの考え方に基いて行われるため、これらの分野の総合的な知識を有する専門家が継続的にフォローし、分析、助言を行うことが必要である。 
本研究により、日本政府の戦略的なCodex対応に貢献し、日本の対応と国際整合性の確保、さらには、国際対応における日本のプレゼンスの向上に資するとともに、今後国内及び国際対応において考慮すべき事項を提言できる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201426042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,654,006円
(2)補助金確定額
12,654,006円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,365,008円
人件費・謝金 2,175,583円
旅費 3,383,827円
その他 2,079,588円
間接経費 1,650,000円
合計 12,654,006円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
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