粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究

文献情報

文献番号
201425007A
報告書区分
総括
研究課題名
粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究
課題番号
H25-労働-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
名古屋 俊士(早稲田大学 理工学術院創造理工学部環境資源工学科)
研究分担者(所属機関)
  • 明星敏彦(産業医科大学生態科学研究所)
  • 村田克(公益財団法人労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「粉じん作業」に指定されていないが、今後新たに指定すべきと考えられる作業として、鋳物工場での砂型造形作業、金属その他無機物を製錬し、又は溶融する工程において、土石又は鉱物を開放炉に投げ入れ、焼成し、湯出しし、又は鋳込みする場所における作業(別表1の17)、屋外での鉱物等破砕作業(別表1の8)及び船倉内の荷役作業終了後の清掃作業について粉じん曝露リスク調査を行い、粉じんばく露防止対策の必要性について検討した。
 次に、個人サンプラーを用いた粉じん濃度測定について、その正確な運用を検討しておかなければならない状況が生じたので、吸入性粉じん濃度測定が正確に出来る吸引流量を求めるための検討を行った。
 次に、粉じん障害防止規則においても有機則と同様に、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置の使用を可能にするため、制御風速と漏洩濃度の関係等について検討を行った。
研究方法
1.鋳物工場での砂型造形作業、土石又は鉱物を開放炉に投げ入れる作業及び屋外での鉱物等破砕作業は、作業時に発生する粉じんについて、LD-6Nデジタル粉じん計を持ちて作業者のばく露濃度を作業中に行った。
2.吸引流量2.5(L/min)で吸引することで吸入性粉じんを正確に測定できる個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸引流量低下が、どこまで吸引流量が低下したら正確な粉じん濃度測定が出来なくなるかを知るための実験を行った。
3.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入のために、小型局所排気装置を作製し、実験室を実際の作業場に想定し、粉じんの環境への漏洩の有無を調べ、制御風速を下げても作業環境を良好に保つことができることを検証すべく実験を行った。さらに、現場に設置されている局所排気装置の制御風速を遅くした時の作業環境への影響について検証した。
結果と考察
1.鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスク調査研究
 砂型造形作業場として、18事業場で45砂型造形作業の個人曝露濃度測定を行った結果、約82%(37/45作業)の作業で管理濃度を超えていた。
2.土石又は鉱物を開放炉に投げ入れる作業
 10事業場で10作業の個人曝露濃度測定を行った結果、80%(8/10作業)の作業で管理濃度を超えていた。
3.屋外での鉱物等破砕作業
1事業場で2作業の個人曝露濃度測定を行った結果、100%(2/2作業)の作業で管理濃度を超えていた.
4.吸引流量低下が個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸入性粉じん濃度測定に与える影響
 チャンバー内にアリゾナロードダスト等4種類の粉じんを発生させて実験を行った結果、NWPS-254における流量低下は、2.4(L/min)までであれば吸入性粉じんの測定として正確に測定できていると判断することができる結果となった。
5.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入への基礎的研究
 捕捉点の風速が0.10m/s以上であれば漏洩が防げると確認できた。つまり、作業場の状態によっては、法令で定められている制御風速を満たさなくても作業環境が良好に保たれることが示唆された。
結論
1.現在、鋳物工場における砂型造型作業は、粉じん則で粉じん作業に指定されていないが、粉じん則を改正し、「粉じん作業」とすることが適切な措置と考える。土石又は鉱物を開放炉に投げ入れる作業及び屋外での鉱物等破砕作業については、さらに測定数を増やして最終的な判断を行うこととした。
2.吸引流量低下が個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸入性粉じん濃度測定に与える影響
 吸引流量[L/min]が2.4(L/min)を下回っている場合は、正確な吸入性粉じん曝露濃度測定が行われていないこと明らかとなった。
3.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入への基礎的研究
 局所排気装置等以外の発散防止抑制装置をどの様な粉じん作業に導入するかが分かれば、そのために特別な技術を構築することもなく、現状の技術を応用することで導入が可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201425007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 938,846円
人件費・謝金 0円
旅費 1,009,854円
その他 51,300円
間接経費 0円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
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