文献情報
文献番号
201407030A
報告書区分
総括
研究課題名
薬用植物栽培並びに関連産業振興を指向した薬用植物総合情報データベースの拡充と情報整備に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-指定-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
川原 信夫(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 菱田 敦之(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 北海道研究部)
- 杉村 康司(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 種子島研究部)
- 吉松 嘉代(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 筑波研究部)
- 渕野 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 筑波研究部)
- 河野 徳昭(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 筑波研究部)
- 安食 菜穂子(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 種子島研究部)
- 柴原 直利(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
- 袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 丸山 卓郎(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 齊藤 和季(千葉大学大学院薬学研究院)
- 木内 文之(慶應義塾大学 薬学部)
- 小松 かつ子(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
- 酒井 英二(岐阜薬科大学 薬草園研究室)
- 大谷 克城(旭川医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
55,173,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、漢方薬に使用される薬用植物の総合情報データベースのさらなる拡充並びに情報整備を通じて、漢方薬の品質、有効性並びに安全性確保と国内における効率的増殖法の確立及びその情報公開による薬用植物栽培振興による行政支援並びに漢方製剤原料となる貴重な遺伝資源の緊急的確保と維持を目的とした生物資源に関する研究支援、産業振興に寄与することを目的とする。
研究方法
本研究では総合情報データベースの機能拡張、各種データ情報の集積及び統合及びカテゴリー横断的複合データの活用研究を中心に以下の研究を行う。1年次に1)新カテゴリー構築及び他データベースとのリンクを行い、2-3年次に2)在庫管理機能の強化、分譲管理システムへ発展させる。また、1-3年次まで継続的に3)データ未収集生薬のデータ収集及び入力によるデータベース情報量の充実化、4)カテゴリー横断的複合データの活用研究、5)薬用植物のトランスクリプトーム・ゲノミクス情報の収集、6)絶滅危惧薬用植物情報の集積、7)薬用植物、生薬関連製剤の国際標準化に対応したISO/TC249情報の集積等を行う。また、本研究に使用する国内市場生薬試料は、業界団体を通じ、生薬関連企業各社との連携により供出されると同時に、局方関連データ等についても共同で検討を行う。本研究は2期目となるが、出来る限り多くの局方収載生薬を網羅する予定である。
結果と考察
平成26年度は、薬用植物総合情報データベースの機能拡充の主軸であるカテゴリー横断検索システムについて、データの視認性の向上を目指し、遺伝子情報の多重整列表示や系統樹解析・表示機能を実装するなど、検索・表示機能の改良を進めた。希少薬用植物情報では、ミシマサイコとキキョウの2種に関し、福岡県の自生地において両種の生育地点、生育量、生育環境等の確認調査を実施した。国際化対応情報では、京都で開催された今年度のISO/TC249の会議内容に関する情報を集積した。薬用植物トランスクリプトミクス・ゲノミクス情報では、選抜した8種類の薬用植物のゲノムサイズを測定し、現在、シナニッケイの葉からゲノム抽出を実施し、ゲノム解読を試みている。更に、H25年度に実施した48植物種160サンプル由来のRNA-Seq解析に関して、配列アッセブル及びBLAST検索を終了した。成分分析情報では、12種166品目の市場流通生薬を収集し、生薬の熱水抽出エキスの作成を完了した。成分分析と並行してイレイセン等5種についてNO産生抑制活性試験による評価を行った。生物活性情報では、オウゴン等25種のエキスについて、in vitroにおけるNF-κB活性化に対する抑制効果、Amyloid β 誘発の神経細胞死に対する抑制活性、樹状細胞生存活性、低酸素応答によるHIF-1αの活性化に対する抑制効果並びに抗酸化活性評価を実施した。遺伝子鑑別情報では、キョウカツ、ケイガイ等7種の生薬市場品の解析を行っており、キョウカツでは局方収載されている2種を含む同族植物3種の区別が可能となった。さらにカテゴリー横断的複合データの解析研究では、キクカについて、LCMS多変量解析を行い、活性化合物と示唆される化合物の単離、構造解析を行い、活性化合物はlinarinと同定された。
結論
薬用植物総合情報データベースの機能拡充の主軸であるカテゴリー横断検索システムについて、データの視認性の向上を目指し、遺伝子情報の多重整列表示や系統樹解析・表示機能を実装するなど、検索・表示機能の改良を進めた。また、データベースシステムの安定運用のためのサーバのミラーリング機能など、システム改良を行った。希少薬用植物情報では、重点研究対象種のミシマサイコとキキョウの2種に関し、福岡県の自生地において両種の生育地点、生育量、生育環境等の確認調査を実施した。国際化対応情報では、京都で開催された今年度のISO/TC249の会議内容に関する情報を集積した。薬用植物トランスクリプトミクス・ゲノミクス情報では、選抜した8種類の薬用植物のゲノムサイズを測定し、現在、シナニッケイの葉からゲノム抽出を実施し、ゲノム解読を試みている。その他の項目に関してもさらなる情報集積を継続すると共に、カテゴリー横断的複合データの解析研究では、LCMS多変量解析を行い、キクカの活性化合物と示唆される化合物を単離した。
公開日・更新日
公開日
2015-05-27
更新日
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