文献情報
文献番号
201318002A
報告書区分
総括
研究課題名
海外から輸入される多剤耐性結核に関する研究
課題番号
H23-新興-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
- 永井 英明(独立行政法人国立病院機構東京病院)
- 加藤 誠也(公益財団法人結核予防会結核研究所)
- 小林 信之(独立行政法人国立病院機構東京病院)
- 藤田 明(東京都保健医療公社多摩北部医療センター)
- 服部 俊夫(東北大学災害科学国際研究所)
- 下内 昭(公益財団法人結核予防会結核研究所)
- 野内 英樹(公益財団法人結核予防会複十字病院)
- 慶長 直人(公益財団法人結核予防会結核研究所)
- 櫻田 紳策(国立国際医療研究センター研究所)
- 竹田 潔(大阪大学大学院医学系研究科)
- 青木 孝弘(国立国際医療研究センター病院エイズ治療・研究開発センター)
- 鈴木 克洋(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,338,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1)近年、海外から輸入される多剤耐性結核が問題。①日本国内への流入・蔓延防止。②日本の外国人結核年々増加。③費用莫大。治療困難。
(2)外国人結核の特定の結核菌株蔓延示唆。分子疫学調査が重要。
(3)日本のHIV増加、HIV合併結核やHIV合併多剤耐性結核は難治性。
(4)多剤耐性結核の多数発症が日本・世界(特にアジア地域)で大問題。有効な治療法なし。
(2)外国人結核の特定の結核菌株蔓延示唆。分子疫学調査が重要。
(3)日本のHIV増加、HIV合併結核やHIV合併多剤耐性結核は難治性。
(4)多剤耐性結核の多数発症が日本・世界(特にアジア地域)で大問題。有効な治療法なし。
研究方法
(1)海外から輸入される多剤耐性結核・HIV合併結核の実態把握と分子疫学的解析で対策・成果。
(2)アジア諸国(特に韓国、中国、台湾)から流入する結核菌株を迅速に把握するシステム(分子疫学解析)構築。結核菌型別データベース構築。
(3)日本の外国人結核の分子疫学解析と治療実態把握。国際医療研・国立病院機構・保健所・結研全国研究。
(4)多剤耐性結核の迅速診断法、迅速隔離法の確立・普及。
(5)外国人結核が多いアジアとの結核対策・治療の情報収集。
(2)アジア諸国(特に韓国、中国、台湾)から流入する結核菌株を迅速に把握するシステム(分子疫学解析)構築。結核菌型別データベース構築。
(3)日本の外国人結核の分子疫学解析と治療実態把握。国際医療研・国立病院機構・保健所・結研全国研究。
(4)多剤耐性結核の迅速診断法、迅速隔離法の確立・普及。
(5)外国人結核が多いアジアとの結核対策・治療の情報収集。
結果と考察
Ⅰ.日本の外国人結核
1.本邦の外国人結核の実態把握と対策。
(1)外国人結核対策のガイドライン(国際的な協力も含め)を策定した。東京及び全国の外国人結核(2009年~2011年)の外国人結核診療マニュアル(第二版)を策定(小林、岡田等)。また大阪市における外国人結核対策マニュアルを策定(小向、下内、岡田等)。アジア諸国との結核対策共同ガイドライン(中国、Heping博士等と)の作成が進展中。
(2)全国の外国人結核調査票(2012年)にて2121例解析(岡田)。(2009~2011年 全国保健所・病院 790施設)年々増加。中国国籍、フィリピン、韓国の順。学生22%と著増。 多剤耐性結核は4.4%と高頻度。日本人の6.4倍。
(3)東京(小林、豊田):MDR-TB多し。東京都外国人結核マニュアル作成
(4)大阪(下内):学生が多く35%。大阪市外国人結核マニュアル作成
2.分子疫学研究(小林、切替、岡田)
外国人結核菌株のRFLP解析:クラスターI(中国、韓国 多)と、IIを形成。外国人結核菌91株と日本人結核167株の全DNA解読:外国人株は日本人株と異なり、菌株特異的一塩基多型の数も多く、外国人株は海外から持ち込まれたことが示された。
Ⅱ.日本・中国・韓国・台湾 分子疫学研究
1.さらに全23箇所のSNP検出リアルタイムPCR系を確立。(加藤・前田)
2.本SNPシステムで日本株はmodern型は5群、ancient型は4群にグループ分けができた。
Ⅲ.アジア諸国の多剤耐性結核
1.タイ:MDR-TB再発例で23%と著増。HIV合併結核493名中活動性結核16%(野内)。 再発結核患者では血清granulysin(Gra)低下(櫻田)。 TBGL診断有用(服部)
2.中国東北部:北京型結核菌のRv0679c点突然変異検出法開発(服部)
3.ベトナム:DUSP14遺伝子多型と免疫関連遺伝子発現に関する検討。潜在性結核はGra値低下発見(櫻田)。
4.フィリピン:結核の疫学、診断(服部)
Ⅳ.HIV合併結核
1.HIV合併結核症例の解析。国立病院機構:結核20,895例中HIV合併結核0.42%。このうちHIV合併多剤耐性結核3例。粟粒結核や死亡例。(永井) 国立病院機構以外: HIV抗体検査なしの結核医療機関6割(藤田)
2.HIV合併結核129例(国際医療セ)外国籍24%、多剤耐性結核2%。HIV合併結核患者におけるQFT-3G診断法は有用。(青木)
Ⅴ.多剤耐性結核に対する迅速診断の開発
rpoB変異を用いて多剤耐性結核患者の迅速隔離方法を構築。6施設に普及。(鈴木・露口)
Ⅵ.アジア諸国の結核対策・治療システム
外国人結核の多い中国・韓国・フィリピン・タイ・ベトナムの結核対策や治療システムの情報収集(岡田・加藤・服部・野内・慶長)を中国 Heping、 韓国 Cho、タイ Srisin、フィリピンDayrit博士等と、すでに確立した結核ネットワークで行った。アジア諸国との結核対策共同ガイドライン作成中。
1.本邦の外国人結核の実態把握と対策。
(1)外国人結核対策のガイドライン(国際的な協力も含め)を策定した。東京及び全国の外国人結核(2009年~2011年)の外国人結核診療マニュアル(第二版)を策定(小林、岡田等)。また大阪市における外国人結核対策マニュアルを策定(小向、下内、岡田等)。アジア諸国との結核対策共同ガイドライン(中国、Heping博士等と)の作成が進展中。
(2)全国の外国人結核調査票(2012年)にて2121例解析(岡田)。(2009~2011年 全国保健所・病院 790施設)年々増加。中国国籍、フィリピン、韓国の順。学生22%と著増。 多剤耐性結核は4.4%と高頻度。日本人の6.4倍。
(3)東京(小林、豊田):MDR-TB多し。東京都外国人結核マニュアル作成
(4)大阪(下内):学生が多く35%。大阪市外国人結核マニュアル作成
2.分子疫学研究(小林、切替、岡田)
外国人結核菌株のRFLP解析:クラスターI(中国、韓国 多)と、IIを形成。外国人結核菌91株と日本人結核167株の全DNA解読:外国人株は日本人株と異なり、菌株特異的一塩基多型の数も多く、外国人株は海外から持ち込まれたことが示された。
Ⅱ.日本・中国・韓国・台湾 分子疫学研究
1.さらに全23箇所のSNP検出リアルタイムPCR系を確立。(加藤・前田)
2.本SNPシステムで日本株はmodern型は5群、ancient型は4群にグループ分けができた。
Ⅲ.アジア諸国の多剤耐性結核
1.タイ:MDR-TB再発例で23%と著増。HIV合併結核493名中活動性結核16%(野内)。 再発結核患者では血清granulysin(Gra)低下(櫻田)。 TBGL診断有用(服部)
2.中国東北部:北京型結核菌のRv0679c点突然変異検出法開発(服部)
3.ベトナム:DUSP14遺伝子多型と免疫関連遺伝子発現に関する検討。潜在性結核はGra値低下発見(櫻田)。
4.フィリピン:結核の疫学、診断(服部)
Ⅳ.HIV合併結核
1.HIV合併結核症例の解析。国立病院機構:結核20,895例中HIV合併結核0.42%。このうちHIV合併多剤耐性結核3例。粟粒結核や死亡例。(永井) 国立病院機構以外: HIV抗体検査なしの結核医療機関6割(藤田)
2.HIV合併結核129例(国際医療セ)外国籍24%、多剤耐性結核2%。HIV合併結核患者におけるQFT-3G診断法は有用。(青木)
Ⅴ.多剤耐性結核に対する迅速診断の開発
rpoB変異を用いて多剤耐性結核患者の迅速隔離方法を構築。6施設に普及。(鈴木・露口)
Ⅵ.アジア諸国の結核対策・治療システム
外国人結核の多い中国・韓国・フィリピン・タイ・ベトナムの結核対策や治療システムの情報収集(岡田・加藤・服部・野内・慶長)を中国 Heping、 韓国 Cho、タイ Srisin、フィリピンDayrit博士等と、すでに確立した結核ネットワークで行った。アジア諸国との結核対策共同ガイドライン作成中。
結論
1.外国人結核対策のガイドラインを策定した。外国人結核診療マニュアル(第二版)と保健所用対策マニュアル
2.日本の外国人結核。
外国人結核菌株は菌株特異的一塩基多型の数が多い。
3.日・中・韓・台分子疫学研究
各国の結核菌の遺伝的異なる発見。SNP検出リアルタイムPCR系を確立
4.アジア諸国。中国・タイ再発多剤耐性結核極めて高率。
5.HIV合併結核0.42%。このうちHIV合併多剤耐性結核6%
6.rpoB変異を用いた迅速隔離法
7.外国人結核の多いアジア5ヶ国の結核対策等の情報収集を中国 Heping博士等と、確立した結核ネットワーク
2.日本の外国人結核。
外国人結核菌株は菌株特異的一塩基多型の数が多い。
3.日・中・韓・台分子疫学研究
各国の結核菌の遺伝的異なる発見。SNP検出リアルタイムPCR系を確立
4.アジア諸国。中国・タイ再発多剤耐性結核極めて高率。
5.HIV合併結核0.42%。このうちHIV合併多剤耐性結核6%
6.rpoB変異を用いた迅速隔離法
7.外国人結核の多いアジア5ヶ国の結核対策等の情報収集を中国 Heping博士等と、確立した結核ネットワーク
公開日・更新日
公開日
2015-03-31
更新日
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