日本人の食事摂取基準の策定に資する代謝性疾患の栄養評価に関する研究

文献情報

文献番号
201315064A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人の食事摂取基準の策定に資する代謝性疾患の栄養評価に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-指定-023
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
多田 紀夫(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木敏(東京大学大学院医学系研究科)
  • 曽根博仁(新潟大学医学部 血液・内分泌・代謝内科学講座)
  • 宇都宮一典(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科)
  • 柳内秀勝(国立国際医療研究センタ-)
  • 吉田 博(東京慈恵会医科大学附属柏病院臨床検査医学)
  • 藤岡由夫(神戸学院大学栄養学部栄養学科)
  • 中島 啓(城西大学薬学部医療栄養学科臨床栄養学教室)
  • 熊谷裕通(静岡県立大学臨床栄養学)
  • 勝川史憲(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 葛谷雅文(名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻)
  • 安東克之(東京大学腎臓・内分泌内科分子循環代謝病学講座)
  • 児玉浩子(帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科)
  • 柴田克己(滋賀県立大学人間部文化学部生活栄養学科)
  • 江崎 治(昭和女子大学生活科学部 健康デザイン学科)
  • 田中 清(京都女子大学家政学部食物栄養学)
  • 木戸康博(京都府立大学大学院生命環境科学研究科・栄養科学)
  • 上西一弘(女子栄養大学栄養生理学研究室)
  • 吉田宗弘(関西大学化学生命工学部)
  • 瀧本秀美(独立行政法人国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの食事摂取基準は主として健常者を対象として策定され、とりわけ前回の改定から日本人に関するエビデンスの集積もなされてきた。一方、それが様々な病態にある対象者に直接適応できるかには検証が必要となる。ここで、発症予防に加えて、重症化予防も視野に入れた日本人の食事摂取基準作成に必要となる基礎データの作成が大切となり、これまで報告された多くの研究を包括的、網栄養に関連した代謝性疾患の栄養評価に関する研究報告のレビューを行い、代謝性疾患の発症予防に加えて、重症化予防も視野に入れた基準の策定に資する基礎データを得る。各栄養素について、レビュークライテリアに基づき、最新の知見を把握し、現行の基準の改定の必要性を検討するための基礎資料を得る。羅的にレビューする必要がある。そして、極めて信頼度の高い定量的情報を提供するとともに、栄養実務現場においてそのまま用いられる実践性・実用性の高い報告書(食事摂取基準(2015年版))を執筆するための、基礎作りとなる方向性を確立する。
研究方法
レビューにおいては、①エネルギー及び栄養素についての基本的なレビュー、②エネルギー及び栄養素と生活習慣病の発症予防・重症化予防との関係についてのレビューを行った。②のエネルギー及び栄養素と生活習慣病の発症予防・重症化予防との関係については、高血圧、脂質異常、高血糖及び腎機能低下に関するリサーチクエスチョンをPICO形式で作成し、Pub Med、EMBASE、医学中央雑誌などを用いて幅広く関連文献が収集され、ピアレビューされ、エビデンステーブルが作成された。また、当然の流れとして、「日本人の食事摂取基準2010年版」策定時の課題になった部分にはとりわけ重点的なレビューが加えられた。
結果と考察
「日本人の食事摂取基準2010年版」作成のために用いられた1244の文献に対し、今回は多少の重複はあるものの総論執筆のため用いた48件の文献に加え、エネルギーバランス:34件、エネルギー:219件、タンパク質:147件、炭水化物:34件、脂質:204件、脂溶性ビタミン:116件、水溶性ビタミン:213件、多量ミネラル:178件、微量ミネラル:288件、水:15件、高齢者:98件、乳幼児:77件、妊婦授乳婦:43件、新たに項目が追加された脂質異常症:224件、高血圧:79件、糖尿病:41件、慢性腎臓病:63件と計2121件の基幹文献が数えられた。
結論
こうした結果、研究成果として、エネルギーの過不足の指標としてエネルギーの絶対値ではなく、体重(すなわちBMI)の変化で評価する根拠の提示、「生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき量」として設定される「目標量」の定義や取り扱いに関して検討すべき論点の提示、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病の発症予防・重症化予防と食事の関連についての概念図を示す基礎資料を得たことなどがあげられる。なお、他の医療分野と異なり、エビデンスレベルを判断し、明示する方法は人間栄養学、公衆栄養学、予防栄養学の分野ではまだ確定する方式が整っていない。加えて、得られたエビデンスは栄養素間でばらつきもある。今回、こうした事情を踏まえて、それぞれの研究内容を詳細にピアレビューし、現時点で、利用可能な情報で最も信頼度の高い情報を用いるように留意した。今後は、これらの分野においてもエビデンスレベルを判断し明示する方法の標準化を図る必要があり、この点についても考察が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-02-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201315064C

収支報告書

文献番号
201315064Z