ゲノム・遺伝子解析に基づく、胃がん・肺腺がん高危険度群の捕捉、及び予防標的分子の同定に資する研究

文献情報

文献番号
201313013A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム・遺伝子解析に基づく、胃がん・肺腺がん高危険度群の捕捉、及び予防標的分子の同定に資する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-017
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
椙村 春彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家族集積性の胃がんの生殖細胞系列に、CDH1の塩基変異の他に、コピー数変異を見いだし、しかもこれは、家族歴がない症例にもみつかった。さらにこれらの経験から、研究終了後にあらたに家系内の構成員に変異を見いだし、キャリアーの同定、早期発見、救命につなげることができた。また、エクソーム解析により未知の遺伝子異常を発見した。これらはいずれもいわゆるシングルトン、1家系のみに見られるものであったが、研究終了後の同様の変異がみつかり、その意義について検討中である。
肺がんについても、いくつかの候補遺伝子を発見しており、影響力の高い科学誌に報告している。
これらの高危険度群の真の頻度はまだ未知な部分があり、必ずしも家族歴などにはよらないことがわかった。稀少疾患という言い方はやや不自然であるが、稀少発生例の一部としても若年発症のcommon cancerのゲノム解析によるリスク同定は、がんによる若年壮年層のpremature deathの防止に寄与すると思われる。
研究方法
候補遺伝子の場合は全エクソンをサンガー法で塩基配列を決定し、コピー数の検索はMLPAを用いた。
結果と考察
家族歴のない症例で、多発印環細胞癌例でコピー数異常を発見した。
家族歴にかかわらず、若年発症や多発発症については積極的に検索する必要がある。
結論
本邦における生殖細胞系列の異常の探索については、ほとんどされておらず、実際の頻度については、いまだ不明瞭な点がおおい。若年発症例については、予断を持つことなく、広汎な検索による基礎知見の蓄積がとくに日本人集団で必要になる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

文献情報

文献番号
201313013B
報告書区分
総合
研究課題名
ゲノム・遺伝子解析に基づく、胃がん・肺腺がん高危険度群の捕捉、及び予防標的分子の同定に資する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-017
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
椙村 春彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 裕美(国立がん研究センター)
  • 河野 隆志(国立がん研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
変更はない

研究報告書(概要版)

研究目的
胃がんや肺がんの高危険度群の補足として、班員の関連施設から若年、家族性の肺がん、胃がん例の生殖細胞系列の遺伝子変化を探索する。ひとつは既知の候補遺伝子としてのCDH1やp53などの全エクソンの塩基配列決定やコピー数変異の解析であり、もうひとつのstrategyはexome解析による未知の遺伝子の探索である。
研究方法
血液からとったDNAについて、sanger法による塩基配列、MLPA法によるcopy 数検索を候補遺伝子CDH1などを対象にして行う。さらに、exome sequence を家族性胃がん例、若年発症肺がん例についておこなう。
結果と考察
候補遺伝子 CDH1については、一定の頻度でみられ、また病理組織像なども、諸外国の報告とほぼ同様で、本邦で発見が困難であるとされた、この疾患像が明確になり、今後、収集方法、患者検体の補足も増えていくと考えられた。若年肺がんの生殖細胞系列にはBRCA2など遺伝的素因という点で疑わしいものが散見されたが、胃がんでみつかったものと同様、singleton (1例しかなく、replicativeではなく、結論を得るにいたらなかった。
結論
遺伝性胃がんについては、本邦ではじめて、明確なentityとして認識されるようになり、現在までそれをもとに、症例が徐々に蓄積され、施設によっては予防的胃切除も行われている。特記すべき例として、de novoのcopy 数異常が発見され、家族歴の有無にかかわらず、phenotypeからHDGCを疑って検査、とくにMLPAを行う必要があることが示された。また、肺がんの感受性についてはもうすこしpenetranceの低い多型が班員から報告されている。
本研究は終了し、その成果は、AMEDの吉田班などで、継続して利用され、全国的な遺伝性胃がんの補足システムに発展している。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201313013C

収支報告書

文献番号
201313013Z