男性退職予定者を中心とした自律的社会支援実現に向けた「ケアウィル」モデルの実践と検証

文献情報

文献番号
201301030A
報告書区分
総括
研究課題名
男性退職予定者を中心とした自律的社会支援実現に向けた「ケアウィル」モデルの実践と検証
課題番号
H23-政策-若手-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤森 純子(国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 地域医療・保健支援部門)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201301030B
報告書区分
総合
研究課題名
男性退職予定者を中心とした自律的社会支援実現に向けた「ケアウィル」モデルの実践と検証
課題番号
H23-政策-若手-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤森 純子(国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 地域医療・保健支援部門)
研究分担者(所属機関)
  • 鏡森 定信(富山大学)
  • 立瀬 剛志(富山大学 医学部 医学科 保健医学講座)
  • 中森 義輝(北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
  • 新鞍 真理子(富山大学 医学部 看護学科 老年看護学講座)
  • 小林 俊哉(九州大学 科学技術イノベーション政策教育研究センター)
  • 中林 美奈子(富山大学 医学部 看護学科 地域看護学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者:小林俊哉 富山大学 地域連携推進機構 地域医療・保健支援部門(平成21年6月15日~24年3月31日)→九州大学 科学技術イノベーション政策教育研究センター(平成24年4月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
老人福祉法制定(1963年)以来、「生きがい」に関する公的支援が続けられており、「健康日本21(第2次)計画・10年後の日本が目指すもの」にも個々の豊かな暮らしを社会全体で支えていくという一定の方向性が示された。生きがい充実を支援する社会システムは生きがいや満足できる人生を設定できた場合には重要だが、別の視点で見ると生きがいの問題が生きがいを持った人生をどのように身につけるのかという自律性や主体性の問題として深刻になりつつあることから、単に趣味や就労や交流を媒体とした自立という側面からの生きがい提示による支援にとどまらず、人生の統合や生き様としての生きがいを創造できるような支援の視点が必要になる。しかし生きがい創造自体への支援は十分とはいえない。そこで、高齢期の「自律的生活基盤」整備としての生きがい設定支援のあり方の検討とその具体的な方法の開発を目的に研究を行なった。
研究方法
生涯発達学・家庭経営学・社会医学・心身医学・精神科医学・知識科学等の専門家で成る研究会を設置し、新たに設定した“ケアウィル(Care Will)”という語を、定義した。ケアウィル研究コンセプトモデルを作成し、既存の高齢者団体および講座プログラム参加者への調査にて検証した。講座の達成目標・学習プロセス・教材を設定し3回の講座を実施した。参加者の同意を得て実施した調査から効果を検証した。修了者が継続した相互学習を行なう場として講座修了者の勉強会設立を支援した。
結果と考察
ケアウィルは、「(お互いの存在に根差した)豊かな暮らしに向けた意志」と定義した。ケアウィル研究コンセプトモデルは、初老期QOLの維持向上を支える4要素CASPから社会参画要素であるcontrolとAutonomyを軸とした枠組みを採用し、自己実現の考え方、自分自身や社会へのケアという視点から“生産的構え”や実存的視点も加えて検討し4群を配置した。既存団体での調査から従来推奨されてきた向老期の社会参加要素に加え、第二のライフキャリアに向けた資源として仕事経験の活用を抽出した他、自己実現という文脈における社会的自己効力の重要性や、社会活動における男女の違いを踏まえた支援の重要性、向老期のQOLには対人関係の円熟さが必要不可欠であることが示された。また、不安の関心が介護を見据えた健康状態や家族に多かったことから周囲との関係性の重要性が示唆された。講座参加者のニーズは4つ(①何をしたら良いのか実践的な何かを知りたい、②個人的な事情は様々だが新たな「知識」を求めている、③自分の考えていることが客観的に見て訂正すべきか否かを確認したい、④まだ何を自分が求めているかはっきりしない漠然とした不安を抱えており自分の感じていることは何かを知りたい)に分類できた。講座受講前後では「効力感向上」「生きがい創造」に効果が見られ、「介入タイミング」は退職前後6ヶ月および6ヶ月以降に効果が見られた。講座修了後の追跡調査により知識の連続再構成モデルを元に1年目と2年目を比較しプログラム評価を行なったところ「情報の知識化」では自己評価傾向には差がなかったが講座の評価は上昇した。「参加者の意識レベル」では受講に意義は感じており前向きな意思が確認できたが、1回目参加者への修了後半年経過後の調査からは修了後に意識レベルをあげるような活動をしていない可能性がみられ、アフターフォローの必要性が示された。「価値創造」では新しい価値創造のレベルには至っていない可能性があり、修了後の勉強会でのケアウィルプログラムサイクルの必要性が示された。修了者の勉強会への参加動機は、他の人がうまくプランを進められているのかどうかに関心がある、いろいろな経歴の人や人生の先輩から自分が持たないアイデアを学びとりたい、自分の悩みを話し他の人の悩みを聞く中で自分なりに持ち帰ることができる場として期待しているというものであった。
結論
「ケアウィルプログラム」が参加者から個々の生きざま・価値観・関係性への対応の重要性や介入のタイミング適性等について一定の評価を得て、従来個人に委ねられてきた退職期の発達課題である人生の統合や関係性の再構築、生きがい設定への支援の重要性が明確となった。高齢大国日本における社会資源の枯渇化を防止の面からも、生きがい創出を居場所や役割が激変する退職期を逃さずに支援することが必要であり、退職期にある遍く人々が享受しうるために、効果を保ちつつ講座の構成をよりコンパクトに汎用化する必要があるだろう。そのためには、これまでの受講者と協働で再検討した講座を開催し、さらなる検討を行ない提供する教材の整理やプログラムを向上する必要があると思われる。ケアウィル支援提供者の拡大に向けた人材育成や広域展開を図る体制の整備も重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201301030C

収支報告書

文献番号
201301030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,110,000円
(2)補助金確定額
3,110,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 264,967円
人件費・謝金 311,534円
旅費 751,091円
その他 1,372,408円
間接経費 410,000円
合計 3,110,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-