文献情報
文献番号
201224053A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-精神-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
- 竹島 正(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部・自殺予防総合対策センター)
- 松本 俊彦(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター・薬物依存研究部診断治療開発研究室)
- 福永 龍繁(東京都監察医務院)
- 高橋 祥友(国立大学法人 筑波大学)
- 齊藤 卓弥(日本医科大学 精神医学教室)
- 粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防研究チーム研究部)
- 稲垣 正俊(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター適応障害研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,324,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心理学的剖検データベースの構築と分析とともに、障害者、児童・生徒、自殺未遂者、困窮者、自殺手段等の観点から効果的な自殺対策を提示する。
研究方法
①法医学と精神保健の連携による自殺の要因分析の可能性の検討、②過去に自殺企図歴の認められない成人男性事例を事例群として症例対照研究による自殺の危険因子の検討、③東京都監察医務院の検案書類の分析と薬毒物およびアルコールの影響の検討、④広汎性発達障害児をもつ母親の抑うつ症状と関連要因の検討、⑤児童・生徒の自殺予防教育についての調査、⑥救命救急における若年者の自殺・自傷による受診実態の分析、⑦生活困窮者の精神保健福祉ニーズと自殺関連行動および精神的健康度の分布・関連要因の分析、⑧人口動態調査を活用した自殺の関連要因の分析、今後20 年間における男性の年齢階級別自殺死亡率の推計を行った。
結果と考察
①東京都監察医務院と自殺予防総合対策センターが連携して自殺の要因分析を進めることが必要かつ実現可能性が高いことが明らかになった。②過去に自殺企図歴のない男性の自殺予防には保健医療的介入と社会的援助介入が必要であることが示唆された。③男性は「精神障害→仕事→病苦」、女性は「精神障害→男性→病苦」であった。薬毒物及びアルコール対策の必要性が示唆された。④子どもの反抗挑戦性障害、相談できる友人、母親自身のポジティブな養育体験が母親の自殺念慮に関連していた。⑤早期の問題認識と適切な援助希求を強調する自殺予防教育は人生を通じての精神保健の基礎になると考えられた。⑥社会適応困難・社会的孤立が原因・動機として重要である可能性が示された。精神保健領域での積極的なアプローチの必要であると考えられた。⑦「精神的健康状態の不良」「住まいの欠如」「相談によるサポートの不足」が重大な関連要因であった。⑧男性では、各地域の離別者割合および完全失業率の高さは自殺死亡率と有意な関連がみられた。完全失業率が2010 年と同水準と仮定した場合、35 歳以上の自殺死亡率は2010 年と同水準もしくは増加の傾向が予測された。
結論
本研究の成果は大綱見直し後の自殺対策の発展に寄与するものである。
公開日・更新日
公開日
2015-05-15
更新日
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