ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)による障害者自立支援機器の開発

文献情報

文献番号
201224011A
報告書区分
総括
研究課題名
ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)による障害者自立支援機器の開発
課題番号
H22-身体・知的-指定-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神作 憲司(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 山海 嘉之(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳からの信号を計測し、それを利用して機器操作を行い、運動やコミュニケーションの補助、生活環境の制御などを行おうとする、「ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)」技術を障害者が実際に使うべく開発し、障害者が失った機能を取り戻し、活動領域を拡張することを目的とする。
研究方法
ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)による障害者の活動領域拡張のため、視覚刺激による脳波信号を用いて生活環境を制御する装置(BMI-ECS)等障害者自立支援機器を開発する。
結果と考察
本年度は、これまでに開発している機器を利用し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等を対象とした実証評価を推進し、患者・障害者や病院スタッフ等からのフィードバックを受けつつ、視覚刺激の最適化や機器の機能拡充を行うなど、BMI技術の実用化に向けた開発を進めた。また、昨年度に引き続き機器使用の簡易化やマニュアルの改善を進め、筋電位や視線等複数の生体由来信号へ対応した機器の試用を行った。導電性ゲル電極については、ディスポ電極を試作するとともに市販化に向けた検討も始めた。脳波信号を用いて運動補助を行うためのBMI型上肢アシストスーツについては、より随意性を高めるための開発を継続するとともに、それと並行して日常使用を可能とするためのアシストスーツの小型軽量化等を進めた。さらに、ロボットスーツHALを改良・活用し、下肢用試験システムの開発推進、ならびに上肢用試験システム、把持動作支援用のハンド・フィンガー部を準備し、実験を行った。
結論
BMIを用いた生活環境制御装置による日常生活の補助や、コミュニケーションの補助、アシストスーツによる運動の補助を介して、障害者が失った機能を取り戻し、活動領域を拡張していく可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201224011B
報告書区分
総合
研究課題名
ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)による障害者自立支援機器の開発
課題番号
H22-身体・知的-指定-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神作 憲司(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 山海 嘉之(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳からの信号を計測し、それを利用して機器操作を行い、運動やコミュニケーションの補助、生活環境の制御などを行おうとする、「ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)」技術を障害者が実際に使うべく開発し、障害者が失った機能を取り戻し、活動領域を拡張することを目的とする。
研究方法
障害者が脳からの信号で環境制御及びコミュニケーション補助等を行うためのブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)技術を研究開発しつつ実証評価を推進した。
結果と考察
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、頸髄損傷などの患者・障害者を対象とした実証評価を行った。視覚誘発性BMIを用いた評価では、視覚刺激を工夫することで、実用に充分とされる操作精度を確保することが出来た。また、現場からの意見をフィードバックさせ、内製のシステム(ソフトウェア部)、脳波計・電極(ハードウェア部)を開発した。ソフトウェア部の開発では、実用化に向けた簡易化を行い、医療従事者等のみでのBMI機器の操作に成功した。多様な生体由来信号に対応するための統一ユーザーインターフェイスの開発も行い、筋電スイッチ入力、視線による入力での動作を確認し、これにより多様な病態への対応を可能とした。ハードウェア部としては、脳波計、BMI用電極および脳波計測用キャップの開発を行い、特に導電性ゲル電極についてはディスポ電極を試作すると共に、市販化に向けた検討も開始した。また、これらと並行して脳からの信号のより効率的な利用のための基礎的な研究も進めた。脳からの信号で運動補助を行うためのBMI型アシストスーツについては、動作性の向上と、SSVEP方式への対応を行い、それらをもとに日常的に使用可能な軽量アシストスーツの試作を行った。ロボットスーツHALでは、従来装置を改良し下肢用試験システムの開発を推進するとともに、上肢用HALの研究開発を進めた。
結論
BMIを用いた生活環境制御装置による日常生活の補助や、コミュニケーションの補助、アシストスーツによる運動の補助を介して、障害者が失った機能を取り戻し、活動領域を拡張していく可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201224011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
障害者が脳からの信号で環境制御及びコミュニケーション補助を行うためのBMI機器として、内製のソフトウェア、脳波計、脳波計測用電極およびキャップを開発した。筋電等他の生体由来信号に対応するための統一ユーザーインターフェイスも開発した。また、機能拡張に向けてBMI技術に拡張現実技術を組み合わせたり(AR-BMI)、最適化に向けてBMIに用いる新たな視覚刺激の開発や背景脳活動の神経科学的評価を行った。さらに、運動の補助に向けてBMI型アシストスーツの開発やロボットスーツHALの研究開発を進めた。
臨床的観点からの成果
開発したBMI機器を用いて実証評価をすすめたところ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の約半数が本機器を実用的な正答率で使用可能であることが示唆された。また、脊髄小脳変性症者等でも本機器が使用可能であることを示した。さらに機器使用の簡易化を行い、医療従事者等のみでの操作に成功した。本研究で開発した導電性ゲル電極については市販化に向けた検討も開始した。
ガイドライン等の開発
BMIにより障害者の自立を支援するための技術体系の作成に向けた研究を行った。機器開発では、システムの公開に向けたオープンソース化の準備も進めた。本研究では、ALS、脊髄小脳変性症、頸髄損傷などの患者・障害者を対象としたBMI機器の実証評価を行い、その成果を開発にフィードバックさせており、こうすること得られた情報は、BMI機器の導入に関するガイドライン等を定める際の参考資料となる。
その他行政的観点からの成果
ALSや脊髄小脳変性症を対象とする実証評価より、BMIによるコミュニケーション支援機器のユーザーとして約1万人が見込まれた。また、病院や居宅での実証評価から、その実環境における機器使用に向けて解決していくべき課題も見いだされた。これらのことは、実用化へ向けた施策立案に有用な情報を与える。
その他のインパクト
講演等を通して、患者・障害者や医療・福祉関係者、その他一般の方に対し広くBMI研究について伝えた。また、総務省、文部科学省等関係省庁との間で、シンポジウムを共に行う等により連携を深めた。さらに、ドイツや米国等の海外の先端研究者とも連携しつつ研究を推進した。

発表件数

原著論文(和文)
12件
原著論文(英文等)
32件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
83件
学会発表(国際学会等)
35件
その他成果(特許の出願)
16件
その他成果(特許の取得)
4件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
8件

特許

特許の名称
脳波測定用電極、脳波測定用部材、及び、脳波測定装置
詳細情報
分類:
特許番号: 特願2011-262032
発明者名: 外山滋、神作憲司、高野弘二
権利者名: 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
出願年月日: 20111130
国内外の別: 国内
特許の名称
脳波測定用電極、脳波測定用部材、及び、脳波測定装置
詳細情報
分類:
特許番号: 国際出願番号PCT/JP2012/080707
発明者名: 外山滋、神作憲司、高野弘二
権利者名: 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
出願年月日: 20121128
国内外の別: 国外
特許の名称
脳波測定用電極、脳波測定用電極付きキャップ及び脳波測定装置
詳細情報
分類:
特許番号: 特許第5277405号
発明者名: 外山滋、神作憲司、高野弘二、池上史郎
権利者名: 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
出願年月日: 20100525
取得年月日: 20130531
国内外の別: 国内
特許の名称
制御システム及び制御方法
詳細情報
分類:
特許番号: 特許第5176112号
発明者名: 神作 憲司、小松 知章、畠 直輝
権利者名: 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
出願年月日: 20080703
取得年月日: 20130118
国内外の別: 国内
特許の名称
リハビリ装置
詳細情報
分類:
特許番号: 特許第4618795号
発明者名: 神作 憲司、松田 圭司
権利者名: 独立行政法人産業技術総合研究所、大学共同利用機関法人自然科学研究機構
出願年月日: 20050715
取得年月日: 20101105
国内外の別: 国内
特許の名称
装着式動作補助装置のキャリブレーション装置、及びキャリブレーション用プログラム
詳細情報
分類:
特許番号: 特許第4601691号
発明者名: 山海嘉之
権利者名: 国立大学法人 筑波大学
出願年月日: 20040311
取得年月日: 20101008
国内外の別: 国内

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Toyama, S., Takano, K., Kansaku, K.
A nonadhesive solid-gel electrode for a non-invasive brain-machine interface.
Frontiers in Neurology , 3 (114)  (2012)
10.3389/fneur.2012.00114
原著論文2
Ikegami, S., Takano, K., Wada, M., et al.
Effect of the green/blue flicker matrix for P300-based brain-computer interface: an EEG-fMRI study.
Frontiers in Neurology , 3 (113)  (2012)
10.3389/fneur.2012.00113
原著論文3
Takano, K., Hata, N., Kansaku, K.
Towards intelligent environments: an augmented reality-brain-machine interface operated with a see-through head-mount display.
Frontiers in Neuroscience , 5 (60)  (2011)
10.3389/fnins.2011.00060
原著論文4
Ikegami, S., Takano, K., Saeki, N., et al.
Operation of a P300-based brain-computer interface by individuals with cervical spinal cord injury.
Clinical Neurophysiology , 112 (5) , 991-996  (2011)
10.1016/j.clinph.2010.08.021
原著論文5
Kansaku, K., Hata, N., Takano, K.
My thoughts through a robot's eyes: an augmented reality-brain-machine interface
Neuroscience Research , 66 (2) , 219-222  (2010)
10.1016/j.neures.2009.10.006
原著論文6
Kanako Yamawaki,Ryohei Ariyasu, Shigeki Kubota, et al.
Application of Robot Suit HAL to Gait Rehabilitationof Stroke Patients: A Case Study
Lecture Notes in Computer Science , 7383 , 184-187  (2012)
10.1007/978-3-642-31534-3_28
原著論文7
Atsushi Tsukahara, Ryota Kawanishi, Yasuhisa Hasegawa, et al.
Sit-To-Stand and Stand-To-Sit Transfer Support for Complete Paraplegic Patients with Robot Suit HAL
Advanced Robotics , 24 (11) , 1615-1638  (2010)
10.1163/016918610X512622

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
2017-06-08

収支報告書

文献番号
201224011Z