文献情報
文献番号
201222028A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための運動基準・運動指針改定ならびに普及・啓発に関する研究
課題番号
H22-循環器等(生習)-指定-021
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部)
研究分担者(所属機関)
- 田畑 泉(立命館大学 スポーツ健康科学部)
- 宮武 伸行(香川大学 医学部)
- 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
13,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、①平成18年に厚生労働省より示された「健康づくりのための運動基準2006」を改定するためのシステマティックレビューの成果に基づき新しい基準を検討会に提案することと、②「健康づくりのための運動基準2006」の身体活動量の基準値週23メッツ・時の妥当性を検証する大規模介入研究を実施することである。
研究方法
①平成22~23年度に行ったシステマティックレビューの成果をもとに班会議を複数回開催し、「運動基準・運動指針改定のための検討会」に提案する資料を作成した。②30歳から64歳までの健康な男女を対象に、ベースライン測定として、形態計測、血中プロフィール、血圧、動脈硬化度、骨密度、体力等を測定した。また、3次元加速度計を用いて身体活動量を測定した。ベースラインの身体活動量を基に、基準値である23メッツ・時/週を満たしている場合を活動群、満たしていない場合を非活動群とした。また非活動群は、さらに2群に無作為に分けられ、1年間の身体活動・運動指導を受ける人(身体活動介入群)、受けない人(非活動対照群)に割り付けられた。追跡調査として、1年目および2, 3, 4, 5年目においてベースライン測定と同様の測定を行い、運動基準週23メッツ・時を達成することで生活習慣病を予防することが可能かについて検討を行った。
結果と考察
①従来の基準値に加えて、65歳以上の高齢者の基準値として10メッツ・時/週を、全ての年齢に対して今よりも10分多く体を動かす方向性を提案した。②平成25年3月1日時点において、ベースライン測定を終了した者は1062名(活動群354名、非活動対照群247名、身体活動介入群248名、除外群213名)、1年目測定を終了した者は793名、2年目測定658名、3年目調査479名、4年目調査326名、5年目測定248名であった。3群における身体活動量の1年間の変化には有意な交互作用が認められ(p<0.01)、身体活動介入群において有意な増加を示した(p<0.05、歩数および中強度身体活動時間)。また3群において、追跡期間中のメタボ該当者・予備群およびBMI25以上の者の発生率や腹囲の基準値を超える者の発生率をCox比例ハザードモデルにて検討したところ、3群の間に有意な差は認められなかった。
結論
①「健康づくりのための身体活動基準2013」策定に必要な科学的根拠を検討会に提案した。②本大規模研究では活動量計を用いた介入で身体活動が有意に増えるが、対象者が生活習慣病に罹患していない健康な集団のため、生活習慣病の発症や危険因子への介入による差が認められるには、今後より長期的な追跡が必要であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2013-07-25
更新日
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