がんのリハビリテーション ガイドライン作成のためのシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
201220036A
報告書区分
総括
研究課題名
がんのリハビリテーション ガイドライン作成のためのシステム構築に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-038
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 生駒 一憲(北海道大学病院 リハビリテーション科 )
  • 水間 正澄(昭和大学 医学部 リハビリテーション医学教室 )
  • 水落 和也(横浜市立大学附属病院 リハビリテーション科)
  • 佐浦 隆一(大阪医科大学 総合医学講座 リハビリテーション医学教室)
  • 村岡 香織 (西脇 香織)(済生会神奈川県病院 リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国のがん医療では治癒を目指した治療から生活の質(QOL)を重視したリハビリテーション(以下、リハ)まで切れ目のない支援ができていない。その一因は、がんのリハに関する包括的なガイドライン(以下GL)が存在しないため、適切なリハプログラムが組み立てられないことにある。本研究の目的は、がんのリハグランドデザインによって方向付けされるエビデンスレベルの高い、がんのリハに関するGLを作成し普及させることである。
研究方法
I. GL作成:日本リハ医学会の診療GL委員会策定委員会に、がんのリハGL策定委員会を新設した。項目立てについては、原発巣・治療目的別の項目(消化器癌、前立腺癌、頭頚部癌、乳癌・婦人科癌、骨軟部腫瘍・骨転移、脳腫瘍、血液腫瘍・化学療法中後、末期癌)とし、研究分担者・協力者が原発巣や治療目的別に分担し、GLを作成・公開する。II. グランドビジョン作成:リハの関連団体から委員の推薦を募りワーキンググループを立ち上げ、グランドビジョンを作成・公開する。
結果と考察
I. GL作成:工程表【1.クリニカルクエスチョン列挙、2.検索エンジン等を用いた論文抽出、3.構造化抄録作成、4.エビデンスレベル決定、5.勧告グレードの決定、6.GL原案作成、7.GL公開(パブリックコメントの評価)】に則ってGLを作成中である。平成24年度は「7.GL公開(パブリックコメントの評価)」まで実施した。II. グランドビジョン作成:平成24年度は、1)がんリハの普及・啓発、2)がんリハの人材育成、3)がんリハ提供体制の整備、4)がんリハ研究の推進の4分野に分かれて作成作業を継続し、グランドデザインを完成した。活動の一環として、2013年1月12日に第2回がんのリハ懇話会を開催、リハ関連学協会から後援を得て全国から約300名が参加し活発な意見交換が行われた。作成したガイドラインおよびグランドデザインは印刷物として全国のがん診療連携拠点病院および主なリハ療法士養成校へ配布、ホームページ上にも公開し全国のがん医療やリハ医療に関係する医療専門職へ普及・啓発していく。
結論
がんのリハに関するGLおよびグランドデザインの公開により、症状緩和や心理・身体面のケアから療養支援まで方向性が明確になり、治癒を目指した治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援が促進され、「がん患者の療養生活の質の維持向上」が、今後、具現化されることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201220036B
報告書区分
総合
研究課題名
がんのリハビリテーション ガイドライン作成のためのシステム構築に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-038
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 生駒 一憲(北海道大学病院 リハビリテーション科)
  • 水間 正澄(昭和大学 医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 水落 和也(横浜市立大学附属病院 リハビリテーション科)
  • 佐浦 隆一(大阪医科大学 総合医学講座 リハビリテーション医学教室)
  • 村岡 香織 (西脇 香織)(済生会神奈川県病院 リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国のがん医療では治癒を目指した治療から生活の質(QOL)を重視したリハビリテーションまで切れ目のない支援ができていない。その一因は、がんリハビリテーションに関する包括的なガイドラインが存在しないため、適切なプログラムが組み立てられないことにある。本研究の目的は、I. がんのリハビリテーションガイドラインを作成すること、II. がんのリハビリに関するグランドデザインを作成し、全国のがんのリハビリに関わる多職種の医療従事者、一般市民・患者、行政の間で、ガイドラインの公開・更新を含め情報共有や意見交換ができる体制をつくり、普及させることである。
研究方法
I. ガイドライン作成:本研究班と連動するかたちで、日本リハビリテーション医学会に、がんのリハビリテーションガイドライン策定委員会を新設した。項目立ては、原発巣・治療目的別の項目(消化器癌、前立腺癌、頭頚部癌、乳癌・婦人科癌、骨軟部腫瘍・骨転移、脳腫瘍、血液腫瘍・化学療法中後、末期癌)とし、エビデンスに基づいたガイドラインを作成する。II. グランドビジョン作成:リハビリテーション関連団体から委員の推薦を募りワーキンググループを立ち上げ、グランドビジョンを作成する。
結果と考察
I. ガイドライン作成:工程表【1. クリニカルクエスチョン列挙、2. 検索エンジン等を用いた論文抽出、3.構造化抄録作成、4. エビデンスレベル決定、5. 勧告グレードの決定、6. ガイドライン原案作成、7. ガイドライン公開(パブリックコメントの評価)】に則ってガイドラインの作成作業を行いガイドラインを完成した(H25年4月30日版)。II. グランドビジョン作成:1)がんリハビリテーションの普及・啓発、2)がんリハビリテーションの人材育成、3)がんリハビリテーション提供体制の整備、4)がんリハビリテーション研究の推進の4分野に分かれて作成作業を継続しグランドデザインを完成した(平成25年3月14日版)。活動の一環として、がんのリハビリテーション懇話会を2回開催した。リハビリテーション関連学協会から後援を得て、両大会ともに全国から約300名が参加し活発な意見交換が行われた。懇話会は日本がんリハビリテーション研究会として継続開催される予定。作成したガイドラインおよびグランドデザインは印刷物として全国のがん診療連携拠点病院および主なリハビリテーション療法士養成校へ配布、ホームページ上にも公開する。
結論
本研究班の成果物である、がんのリハビリテーションに関するガイドラインおよびグランドデザインを全国のがん医療やリハビリテーション医療に関係する医療専門職へ普及・啓発していくことにより、全国でばらつきなく、高い質のリハビリテーション医療を提供することが可能となることが期待される。また、懇話会の継続開催は、全国のがんリハビリテーションに関わる多職種の関連職種が一同に介し、ディスカッションをする場として今後さらに発展していくだろう。
がんリハビリテーション分野における本研究班の3年間の活動は、症状緩和や心理・身体面のケアから療養支援まで方向性が明確になり、治癒を目指した治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援が促進され、「がん患者の療養生活の質の維持向上」が、具現化されるために、一定の成果を得たと考える。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-12-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201220036C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がんリハビリの領域を発展させるためには、研究を推進し、それに裏付けされたガイドラインを作成、そのガイドラインに基づいた臨床研修を実施し、専門的スタッフを育成することで医療の質を担保し医療を実践することが必要である。臨床研修に関しては厚生労働省の委託事業CAREERが開始され、診療においては「がん患者リハビリテーション料」の診療報酬算定が可能である。本研究班の成果として作成されたガイドラインを研修会の資料作成や実際の臨床場面での活用するで、質の高いがんリハビリの実践が可能となることが期待できる。
臨床的観点からの成果
日本リハビリテーション医学会がんのリハビリテーションガイドライン策定委員会と協働してガイドライン作成作業を進め、ガイドラインを作成し公開した。がんリハビリテーション関連団体から推薦された委員から構成されるワーキンググループを立ち上げて作業を実施しグランドデザイン(がんリハビリの今後の方向性に関する提言)を作成し公開した。また、がんのリハビリテーション懇話会の開催、ホームページの開設・更新、作成物の関連施設への配布等を実施し、がんリハビリの普及・啓発に務めた。
ガイドライン等の開発
日本リハビリテーション医学会にがんのリハビリテーションガイドライン策定委員会を新設し、本研究班と協働して作成作業を行った。平成22年度に新設された「がん患者リハビリテーション料」の内容を包含するべく、原発巣や治療目的別に項目立てを行った。具体的な手順は日本医療機能評価機構の医療情報サービスMindsが公開している「診療ガイドライン作成の手引き2007)」に準拠し作業を実施、日本リハビリテーション医学会会員約1万名のパブリックコメントの後、2013年4月30日に刊行された(金原出版)。
その他行政的観点からの成果
本研究班の成果物である、がんのリハビリに関するガイドラインおよびグランドデザインを全国のがん医療やリハビリ医療に関係する医療専門職へ普及・啓発していくことにより、全国でばらつきなく、高い質のリハビリ医療を提供することが期待できる。また、懇話会の継続開催は、全国のがんリハビリに関わる多職種の関連職種が一同に介し、ディスカッションをする場としてさらに発展していくだろう。本研究班の活動により、「がん患者の療養生活の質の維持向上」が具現化されるための一定の成果を得たと考える。
その他のインパクト
活動の一環として、がんリハビリの普及、今後の臨床や研究の質の向上のための多職種での意見交換の場として、がんのリハビリテーション懇話会を開催した。第1回大会は2012年1月14日(土)に大阪医科大学(大阪府高槻市)にて開催、全国から約300名の参加があった。第2回大会は2013年1月12日(土)に笹川記念会館(東京都港区)で開催、全国から約300名の参加があった。開催概要は、リハビリテーション関係の専門誌(日本リハ医学会リハニュース、総合リハ、臨床リハ)に報告記として掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
55件
書籍(編著・分担執筆含む)11件 雑誌(総説)44件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
114件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-06-23

収支報告書

文献番号
201220036Z