文献情報
文献番号
201212002A
報告書区分
総括
研究課題名
脳梗塞急性期における局所酸素輸送と組織内酸素分圧の画像診断法の開発と血栓溶解治療の最適化
課題番号
H22-低侵襲-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究分担者(所属機関)
- 峰松 一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 病院)
- 古幡 博(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 内藤 博昭(独立行政法人国立循環器病研究センター 病院)
- 豊田 一則(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管内科)
- 長束 一行(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経内科)
- 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管部)
- 田口 明彦(先端医療振興財団先端医療センター 再生医療研究部)
- 安野 史彦(奈良県立医科大学 精神神経科)
- 畑澤 順(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 松田 博史(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター )
- 西山 佳宏(香川大学 医学部)
- 久冨 信之(香川大学 医学部)
- 菅野 巖(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
- 平野 祥之(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
- 銭谷 勉(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 河嶋 秀和(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 越野 一博(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 圓見 純一郎(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
56,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脳梗塞の急性期において、酸素輸送と神経細胞の酸素消費および組織中の酸素分圧の診断を実際の医療の中で実施可能な、実用的な迅速PETおよびMRI機能画像システムの開発を目指した。
研究方法
迅速検査解析理論の構築とそれに基づくプログラム整備、迅速検査対応型の自動合成・供給装置、15O製造専用の超小型サイクロトロンの整備を行う一方、高感度化されたPET装置において正確な画像撮像の障害となっている誤差要因、特に偶発同時計数とコンプトン散乱線に基づく誤差を抑制する機構を開発した。15O2の供給、ヘモグロビンからの解離と血液脳関門を介した移送、ミトコンドリアでのATP生成に基づく15O標識水への変換、組織血流量に伴う洗い出しを含む15O2分子動態のイメージング評価法を確立し、その病態生理学的妥当性を確認した。最終的な検査法と画像解析結果画像の妥当性は、カニクイザルを対象とした検討で確認した。さらに健常者および脳虚血性疾患患者を対象に、検査結果画像の妥当性を評価した。
結果と考察
既存のサイクロトロンおよび合成装置を用い、予め待機状況下で迅速検査プロトコルの施行が可能であった、発症24時間以内の主幹脳動脈高度狭窄/閉塞を合併した虚血性脳卒中患者を対象にPETパラメータを定量した。発症後、頭部MRI(FLAIR)を施行することで判定した最終梗塞巣予測に対し、CBFとCMRO2を比較した結果、迅速PETは急性期脳梗塞例に応用可能であり、CMRO2が救済可能な脳組織存在の指標になりうることが明らかとなった。また、血行再建治療後に過潅流を呈したモヤモヤ病患者や骨髄幹細胞移植治療患者を対象にした検討でも、PET検査の有効性を確認した。局所ヘモグロビンの酸化・還元の比率を画像化する撮像シーケンスを実装した臨床研究用3テスラMRI装置を用い、見掛け上の横緩和時間(T2*)に加えて組織に由来した緩和成分(T2)から酸素消費の定量指標が得られた。高感度化された3D PET/CT装置では、15O-標識ガスの吸入中の画像精度の確保のもとに、持続動脈採血の排除を含む迅速検査解析理論の構築とプログラム整備、迅速検査対応型の自動合成・供給装置、サイクロトロンの設置がなされた。健常者における定量数値の妥当性と安定性、再現性が確認され、急性期脳梗塞の診断にも応用可能な迅速ガスPET検査システムのプロトタイプが構築された。結果画像の妥当性は、カニクイザルにおける脳動脈―静脈における酸素分圧の較差から得られた酸素摂取率(OEF値)との一致から確認でき、また若年健常者における被験者間の一致と同一被験者を対象にした繰り返し検査の再現性により示唆された。さらに200例を超える臨床検査に基づき、従来の検査技術を大きく超える精度を有する検査であることが確認された。
結論
システムの整備作業はさらに必要ではあるが、計画通りに機器やソフトの整備と評価がすすみ、一定の成果を得られた。
公開日・更新日
公開日
2013-09-03
更新日
-