諸外のマグネット・ホスピタルの組織特性とその要素に影響する取り組みに関する研究

文献情報

文献番号
201129031A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外のマグネット・ホスピタルの組織特性とその要素に影響する取り組みに関する研究
課題番号
H22-医療・一般-033
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
富永 真己(兵庫医療大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三木 明子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 佐藤 芙佐子(愛知医科大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国で高い看護師定着率が認められるマグネット・ホスピタルの組織特性を併せ持つ国内の病院組織において、その組織特性が及ぼす影響を、看護師の職務満足のみならず患者の満足度等について検証すること、さらにマグネット・ホスピタルの組織特性が強く認められた好事例から示唆を得ることを目的とした。
研究方法
  倫理審査委員会の承認後、調査協力の同意が得られた民間病院4施設を対象に2種類の調査を実施した。
1.量的研究:4施設の全ての看護師468名、入院患者742名、看護管理者46名を対象に留め置き式の自記式質問調査票を送付した(回収率:看護師91%、患者55%、看護管理者96%)。調査項目は、看護師は基本属性、就業特性、マグネット・ホスピタルの特性を測る尺度PES-NWIの日本語版尺度、精神的健康度、離職意向尺度、職務不満足尺度を用いた。患者は、基本属性、入院基本情報、患者満足度を、看護管理者は、基本属性、就業特性、精神的健康度、職務不満足尺度、オリジナルのリーダーシップに関する項目を用いた。予備分析の後、看護師については、精神的健康度、職務不満足、離職意向を従属変数に、患者満足度及び看護管理者については看護師のPES-NWIのデータを併合し、精神的健康度、職務不満足をそれぞれ従属変数にした多変量解析により関連性を検証した。
2.好事例の検討:マグネット・ホスピタルの組織特性が強く認められた2病院に対し、看護師の離職防止の取り組みについて半構造化面接の形式で聞き取りを行った。
結果と考察
看護師の職務不満足ではPES-NWIの4下位尺度が有意な関連性を示し、中でも「看護管理者の力量・リーダーシップ・看護師への支援」と「人的資源の妥当性」は個人と部署の両レベルで関連性が認められた。精神的健康度と離職意向については「人的資源の妥当性」との関連性が認められた。しかし、患者の満足度と有意な相関が認められたのは「人的資源の妥当性」の項目のみで、看護管理者に関する重回帰分析の結果では、PES-NWIは有意な関連性は示さなかった。好事例の聞き取り調査の結果より、「労働時間を含む健全な労務管理」「ワークライフ・バランスを考慮した融通性の利く就業・勤務体制」」などの共通した取り組みと看護管理職のリーダーシップが明らかとなった。
結論
マグネット・ホスピタルの職場環境特性と看護師の職務満足度や離職意向との関連性が明らかとなり、好事例の聞き取り調査を通じ、病院の看護師の定着と離職防止に関する取り組みの課題が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201129031B
報告書区分
総合
研究課題名
諸外のマグネット・ホスピタルの組織特性とその要素に影響する取り組みに関する研究
課題番号
H22-医療・一般-033
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
富永 真己(兵庫医療大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三木 明子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 佐藤 芙佐子(愛知医科大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の1年目は、米国のマグネット・ホスピタル(以下、マグネット)の事例より、日本国内の病院の看護師の離職防止と定着の確保についての示唆を得ることを目的に、2年目はマグネットの職場環境特性が看護師・看護管理者及び患者に及ぼす影響を検証することを目的に、量的研究と好事例による検討を行った。
研究方法
1年目は、米国のマグネットと日本国内の看護師定着について成功している病院の、看護管理者のリーダーシップとマネジメントスタイルに関する組織の取り組みについて、訪問・聞き取り調査による事例検討を行った。2年目は、量的調査として、マグネット・ホスピタル職場環境特性が病院の看護師・看護管理者及び患者に及ぼす影響について、自記式質問調査票を実施した。独立変数としてマグネットの組織特性を測る5下位尺度から成るPES-NWIを、従属変数として、看護師の職務不満足、精神的健康度、離職意向、入院患者の満足度、看護管理者の職務不満足度及び精神的健康度を用いた。また、好事例の検討として、マグネット・ホスピタルの組織特性が強く認められた2病院に対し、看護師の離職防止の取り組みについて半構造化面接の形式で聞き取りを行った。

結果と考察
1年目の調査結果より、米国の3施設と日本国内の1施設はともに共通して看護部長の積極的なリーダーシップがとられていた。一方、日本国内の病院に比べ米国3施設は各病棟科レベルでの看護師長によるリーダーシップがより積極的に展開されていた。これらの取り組みはスタッフや組織の一部である病棟科の成長を促すとともに、病院組織全体を活性化していることが示唆された。2年目の量的調査の結果より、看護師の職務不満足ではPES-NWIの4下位尺度が有意な関連性を示し、中でも「人的資源の妥当性」は精神的健康度及び離職意向とも有意な関連性が認められたことから、その重要性が示唆された。しかし、患者の満足度と有意な相関が認められたのは「人的資源の妥当性」の項目のみで、看護管理者の重回帰分析の結果では、PES-NWIは有意な関連性は示さなかった。好事例の聞き取り調査の結果より、「労働時間を含む健全な労務管理」「ワークライフ・バランスを考慮した融通性の利く就業・勤務体制」」などの共通した取り組みと看護管理職のリーダーシップが明らかとなった。
結論
マグネットの職場環境特性と看護師の職務満足度や離職意向、精神的健康度との関連性が明らかとなると同時に、米国のマグネット及び国内の好事例の病院の聞き取り調査を通じ、病院の看護師の定着と離職防止に関する取り組みの課題が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129031C

収支報告書

文献番号
201129031Z