新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201122083A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-018
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
安西 信雄(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院政策科学分野)
  • 伊藤 弘人(国立精神・神経医療研究センター)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学)
  • 平川 博之(ひらかわクリニック)
  • 宮本 真巳(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
  • 吉邨 善孝(済生会横浜市東部病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成23年7月の社会保障審議会医療部会において、医療法に基づく医療計画に地域医療連携等の対策を記載することになっている「4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)」に精神疾患を加えて「5疾病」とすることが承認された。平成25年度以降は、都道府県が医療計画を策定する際に精神疾患に対する記載が義務づけられる。
そこで、医療法改正に伴う医療計画の策定が精神科地域医療体制の改善に資するよう、各方面から調査検討を行い、実際に運用可能な地域精神医療体制の具体像を作っていくこと、それらがうまく機能するための条件と適切なモニタ方法等を明らかにし、各都道府県が適切に医療計画を立案・実施できるよう支援することを目的として本研究を実施した。
研究方法
精神科地域医療体制の全体像の検討が必要なので、精神科救急、総合病院精神科(身体合併症)、訪問看護、行動制限最小化、及び医療計画と工程管理、政策立案と評価指標に関する分担研究班を設け、実態を踏まえた医療機能及び評価方法の検討を行うとともに、地域連携のあり方(医療連携パスの検討を含む)の研究を実施した。
結果と考察
「精神疾患医療体制確立のための政策体系」と「予防・アクセス改善・精神科治療・社会復帰の病期ごとによる医療体制イメージ」を作成した。また、精神科医療機関への住民のアクセス性の検討を行い、精神科医師や精神科病院(入院ベッド)のアクセスにばらつきがあるのでアクセスの改善が求められることを示した。精神科救急、訪問看護、精神科診療所等の関係機関はそれぞれ地域に普及しつつあるが、相互の連携が乏しく、ニーズに対応しきれていないため改善が必要であることが改めて明らかにされた。精神科患者の身体合併症への対応についてもパスが有用であることを示した。
結論
各都道府県で医療計画を適切に立案・実施し、明らかとなった課題に前向きに対応して課題を解決していくために本研究の成果が活用されることが期待される。精神科医療改革をスピード感をもって実現していくためには「医療計画における工程管理」が必要なので、本研究で素案を示した。本年度の研究により、方向性と検討の枠組みが示されたと考えられるが、これらの検証とさらなる具体化・精密化のために研究の継続が必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122083Z