がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究

文献情報

文献番号
201118029A
報告書区分
総括
研究課題名
がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究
課題番号
H22-3次がん・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 倫弘(独立行政法人 国立がん研究センター 研究所 発がん研究グループ 発がんシステム研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 卓二(岐阜大学大学院)
  • 塚本 徹哉(藤田保健衛生大学)
  • 高山 哲治(徳島大学大学院)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学)
  • 鈴木 貞夫(名古屋市立大学大学院)
  • 今井 俊夫(独立行政法人 国立がん研究センター研究所)
  • 岩崎 基(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)
  • 鰐渕 英機(大阪市立大学大学院)
  • 清水 雅仁(岐阜大学医学部付属病院)
  • 高橋 智(名古屋市立大学)
  • 窪田 直人(東京大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
57,197,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんは、我が国において死亡原因の第1位を占め、今後もさらに増え続けるものと予測される。このようながんの増加を抑制することは極めて重要である。本研究においては医薬品及び食品素材を対象として新規がん予防剤を検索、開発する基礎研究を行うとともに、発がんの高危険度群と考えられる人々を対象とした臨床研究を行うことにより、安全性の高い有効ながん予防方法を確立することを目的とする。
研究方法
近年著しく増加している大腸がん、肝臓がん、前立腺がん等及び、難治がんである膵がんの予防を目標とし、申請者等が開発した各々の動物発がん実験モデルを用いて肥満、脂質異常症、糖尿病と発がんとの関連性の検討、がん化学予防剤候補の検索、及びそのメカニズム解析を行った。臨床応用を目的に、大腸がんのハイリスクグループである家族性大腸腺腫症(FAP)及び多発性大腸腺腫症患者におけるアスピリン等の臨床介入試験を行なっている。
結果と考察
膵がん症例は対照例よりも膵脂肪浸潤の程度が高いことが明らかとなり、膵脂肪浸潤が膵がんのリスク要因となることを示唆するデータを得た。アスピリン(100 mg/日)によるFAP患者に対する予防介入試験においては、2 mm以下の大腸ポリープが有意に縮小することを見い出した。現在、腸ポリープ摘除後のクリーンコロンにおけるアスピリンの効果を計画中である。また、多発性大腸腺腫症患者に対する低用量アスピリン腸溶錠の効果を評価する介入試験の結果を解析中である。デキストラン硫酸塩誘発大腸炎に対するコーヒー及びその成分の抗炎症効果を検討した結果、Th17経路の抑制による炎症抑制効果が認められた。アディポサイトカインの異常と肝発がんの関連性として、①血清ビスファチン値の上昇が、肝細胞がんの臨床病期進行および腫瘍径の増大と相関すること、②高レプチン血症が、肝がん根治治療後早期再発の予測因子として有用であることが明らかになった。
結論
本研究においては、医薬品及び食品素材を対象として検索を行い、新規がん化学予防剤の候補化合物を見い出している。これらの基礎的研究を行なうとともに、発がんのハイリスクグループと考えられる人々を対象とした臨床研究を行なうことにより、安全性の高い有効ながん予防方法を確立することができると考えられる。得られる成果は、がん予防対策を講ずる上に有用な研究資料になるものと確信する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2017-09-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118029Z