ユビキタス医療機器安全見守りシステムに関する研究

文献情報

文献番号
201031037A
報告書区分
総括
研究課題名
ユビキタス医療機器安全見守りシステムに関する研究
課題番号
H22-医療・一般-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
井隼 彰夫(福井大学 医学部 医療倫理・医療安全学)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 幸直(福井大学医学部附属病院 光学医療診療部)
  • 山下 芳範(福井大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 大垣内 多徳(福井大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 笠松 眞吾(福井大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 江守 直美(福井大学医学部附属病院 看護部)
  • 大北 美恵子(福井大学医学部附属病院 看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療の高度化に伴い、多くのアラーム機能を持つ医療機器が導入され、ICU、一般病棟、搬送中や歩行中の患者などに数多く使用されている。 一方でアラームに適切な対応が取られない状況において、医療事故が発生している。本研究では、2009年に試作し病棟で運用可能であることを確認した端末を改良し、位置情報と組み合わせた端末を開発する。これにより医療従事者の迅速な警報対応が可能であることを実証し、医療事故を未然に防ぐことを目的とする。
研究方法
 アラーム信号出力機能を備えた医療機器に無線通信機能を有する電池駆動の超小型端末を取り付ける。医療機器等の稼動情報やアラーム情報をネットワーク技術と連動させ、機器のアラーム情報に加えて電子カルテのオーダと機器の設定を比較し、異常や入力設定間違いがあれば即座にナースステーションなどに設置した集中表示装置や個人用端末にアラームを発報するシステムを開発する。
 加えて、アラーム機能を備えた医療機器の使用方法が、アラームを感知できる範囲や使用環境において適切であるかを評価分析するために、アラーム音圧などの数値データを収集する方法についても検討を行う。
結果と考察
 機器情報を音と共にナースステーションの警報表示画面に表示する事で、実際の終了時間を把握し余裕を持った行動が可能になった。その結果、安全な輸液管理ができるため、患者の安心にも繋がった。医療機器等のアラームや稼動データおよび人の位置情報が自動的に記録できるため医療版フライトレコーダとして用いたところ、病棟において機器のアラーム音を察知できた実際の距離と時間が明らかになり、聴覚に著しく偏った従来の警報発信方法に問題がある事がわかった。
結論
 従来は、ヒューマンエラーと思われてきたインシデント事例の要因が夜間の看護師の人員配置やアラーム機能を備えた医療機器及び病棟の状況など、多くの隠れた要因を抱えていた。その結果、医療機器をユビキタスネットワーク化して安全見守りをシステム化するだけでは、医療事故を未然に防ぐことは、難しい事が分かった。職員の適切な配置を含むアラームを感知できる環境の整備と合わせた、早期の対策が重要である。本システムやモニタ心電図の遠隔監視とナースコールの初期対応を一元化し、専用のオペレータチームを24時間体制で配置し適切で素早い対応を行う事によって、医療の質と安全を高める事ができると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031037Z