わが国の成人の喫煙行動及び受動喫煙曝露の実態に関する全国調査

文献情報

文献番号
201021004A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の成人の喫煙行動及び受動喫煙曝露の実態に関する全国調査
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本拓治(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 大井田隆(日本大学 医学部公衆衛生部門)
  • 福島哲仁(福島県立医科大学 衛生学予防医学)
  • 神田秀幸(福島県立医科大学 衛生学予防医)
  • 谷畑健生(国立保健医療科学院 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の成人の喫煙行動の実態を明らかにするために、国際比較可能な代表性のある全国調査を実施した。さらに、受動喫煙曝露を毛髪を用いて客観的バイオマーカーで明らかにし、喫煙対策の成果と課題を検討した。同時に健康日本21の評価指標も提出できる。
研究方法
わが国の成人を全国から無作為に抽出し、訪問面接調査を実施した。2010年は、第2回の全国調査を実施した。調査回答者は、955名(63.7%)、2009年からの継続調査受諾者は、191名。合計、1147名(回答率66.3%)の回答を得た。毛髪または唾液の検体は381名分回収された。
結果と考察
現在喫煙者率は、男性37.1%、 女性8.9%、毎日喫煙者率は、男性33.2%、女性7.5%であった。1日平均喫煙本数をみると、10本以下のものは、男性は32.3%、女性は55.2%であった。この1年間に禁煙を挑戦した喫煙者の割合は、男性では20.5%、女性では34.4%であった。あらゆる禁煙方法を使わず禁煙に挑戦した割合は、男性では77.3%、女性では77.3%、1年以内に止めると回答した喫煙者の割合は、男性では13.9%、女性では17.3%であった。現在喫煙者のなかで、医療機関を受診したときに喫煙歴を問診されたものの割合は、男性では60.6%、女性で62.1%、そのとき禁煙指導された割合は、男性で37.2%、女性で44.8%であった。受動喫煙防止の正しい知識を持つ者の割合は42.1%、学校や職場の実態が、建物内禁煙であったのは、39.8%といずれも増加傾向にあった。喫煙が原因になると思う疾患は、肺がん以外の疾病についての知識はまだまだ不十分である。毛髪を用いてニコチンおよびコチニン濃度を測定し、喫煙行動に関する疫学的検討を行った。264人分から毛髪中ニコチンおよびコチニン濃度区分で比較・検討した。2年間にわたり、毛髪を提供した者93人の検討を行った。毛髪中のニコチン量およびコチニン量は能動喫煙者もしくは禁煙後6ヶ月未満と、それ以下の曝露の者を判別できる可能性が示唆された。2年間連続毛髪を提供した者93人を毛髪中ニコチンやコチニンの変化量で3区分したところ、各区分集団の特徴が明らかとなった。このことから、毛髪中のニコチンおよびコチニンは曝露の定性評価として用いることが適していると考えられた。
結論
2010年のわが国の成人の喫煙行動が明らかになった。禁煙治療の推進が課題である。受動喫煙曝露の実態をバイオマーカー測定にて示せた。今後とも全国調査を継続が必須である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-15
更新日
-

文献情報

文献番号
201021004B
報告書区分
総合
研究課題名
わが国の成人の喫煙行動及び受動喫煙曝露の実態に関する全国調査
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本拓治(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 大井田隆(日本大学 医学部公衆衛生部門)
  • 福島哲仁(福島県立医科大学 衛生学予防医学)
  • 神田秀幸(福島県立医科大学 衛生学予防医学)
  • 谷畑健生(国立保健医療科学院 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の成人の喫煙行動の実態を明らかにするために、国際比較可能な代表性のある全国調査を実施した。さらに、受動喫煙曝露を毛髪中のニコチン、コチニン測定で評価し、喫煙対策の成果と課題を検討した。同時に健康日本21の評価指標も提出できる。
研究方法
わが国の成人を全国から無作為に抽出し、2年間にわたり訪問面接調査を実施した。2009年の調査回答者数は、1794名(59.4%)、毛髪検体は344人、2010年は、調査回答者は、955名(63.7%)、2009年からの継続調査受諾者は、191名。合計1147名(回答率66.3%)の回答を得た。毛髪または唾液の検体は381名分回収された。
結果と考察
現在喫煙者率は、男性37.1%(2009年36.1%)、女性8.9%(同8.3%)であった。1日平均喫煙本数10本以下のものは、男性は32.3%(18.3%)、女性は55.2%(36.8%)であった。この1年間に禁煙に挑戦した喫煙者の割合は、男性約2割、女性約1/3でいまだに低かった。また、どの禁煙方法も使わずに禁煙に取り組んだ者の割合が高かった。1年以内に禁煙を希望する者の割合も2割にも満たず低かった。また、医療機関受診時や健診受診時に喫煙歴を聞かれない者がまだ多く、女性を中心に喫煙者が禁煙を勧められていなかった。受動喫煙対策について正しい知識を有する者の割合は増加傾向にあるが、まだ4割程度である。自分の職場や学校の実態が正しい受動喫煙防止策になっているのは4割弱と増加傾向にあるが半数に満たない。喫煙に関係ある疾病についての知識は、肺がん以外では、不十分であった。世界各国との比較では、男性の喫煙率は先進諸国よりは高く、ブラジルよりも高い。この1年の禁煙挑戦者割合が低く、受動喫煙の曝露割合(職場)も依然と高く、反タバコ情報への接触割合も低いのでさらなる喫煙対策の強化が急務である。毛髪を用いた能動喫煙・受動喫煙の暴露状態を反映する測定方法を開発した。2009年、2010年に全国から集められた毛髪384人の毛髪からニコチン、コチニンを測定した。毛髪中ニコチンは高精度で喫煙者と非喫煙者を区別できた。
結論
2度の全国調査を実施し、2010年は前年と比較し、喫煙率は減少していなかったが、喫煙量が減った。女性を中心に禁煙を勧められ、禁煙に取り組む割合は高くなったが、諸外国に比べれば禁煙に取り組む割合も、勧められる割合も低い。禁煙治療の推進が課題である。全国調査を継続し、実態をモニタリングすることが必須である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201021004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2度の全国を代表し、国際的に比較可能な全国調査を実施したことにより、わが国の成人の喫煙行動の特徴と課題を明らかにできた。タバコの値上げの政策評価も実施できた。
臨床的観点からの成果
わが国では、診療や健診の場でいまだに喫煙歴の問診がされていない者が多く、女性を中心に禁煙の勧めを受けていないことが明らかになり、わが国の禁煙治療推進の必要性を示した。
ガイドライン等の開発
特記事項なし。
その他行政的観点からの成果
研究成果は、研究代表者が、構成員を務める国民健康栄養調査の企画解析検討会での検討事項に活用され、また健康日本21評価作業チームで担当するタバコ分野の評価指標に必須の項目(成人の受動喫煙防止に関する正しい知識の実態)も含んでおり、厚生労働省の取り組みに寄与した。
その他のインパクト
タバコの値上げ前後の成人の喫煙行動の変化については、読売新聞(2011日2月8日)に掲載され、インターネット上でも紹介され、国民一般への情報提供になり、関心を呼んだ。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
4件
国際学会シンポジウム2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
健康日本21評価指標提出
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tsuji M, Mori Y, Kanda H, et al.
Development of simple HPLC/UV with a column-switching method for the determination of nicotine and cotinine in hair samples
Health , 5 (4) , 687-694  (2013)
10.4236/health.2013.54091

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021004Z