健康危機・大規模災害に対する初動期医療体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200942014A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機・大規模災害に対する初動期医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
辺見 弘(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 哲(白鬚橋病院)
  • 奥寺 敬(富山大学大学院)
  • 定光 大海(国立病院機構大阪医療センター)
  • 山田 憲彦(防衛省航空幕僚監部)
  • 中山 伸一(兵庫県災害医療センター)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター )
  • 大友 康裕(東京医科歯科大学大学院)
  • 松本 尚(日本医科大学千葉北総病院)
  • 冨岡 譲二(福岡和白病院)
  • 吉永 和正(兵庫医科大学)
  • 森野 一真(山形県立救命救急センター)
  • 布施 明(日本医科大学)
  • 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター )
  • 阿南 英明(藤沢市民病院)
  • 高橋 毅(国立病院機構熊本医療センター)
  • 井上 潤一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター )
  • 本間 正人(鳥取大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、阪神淡路大震災以降に厚生労働省が導入・推進してきた事業である災害拠点病院、広域災害救急医療情報システム(EMIS)、災害派遣医療チーム(DMAT)、広域医療搬送などの諸施策についてさらに充実拡充するための課題を設定し、具体的回答・解決策・対応策を導き出し、諸施策を包括的に検討することにより、有機的な災害対応システムを構築することである。さらに、最近の災害により重要性が明らかとなった、「都市型災害に対する対応」、「空港災害に対する対応」、「災害時多数死者への対応体制構築」を研究課題として含有した。
研究方法
課題について包括的に検討することにより広範な研究内容について研究者が分担して研究する。
1健康危機管理における受け入れ医療機関の充実
2災害時における情報共有とコマンド体制確立のための情報システムのあり方
3災害派遣医療チーム(DMAT)の充実
4広域医療搬送システムの充実
5災害時初期医療体制の確立のための計画整備
6その他の災害医療体制整備
結果と考察
今回の研究の結果、急性期災害医療・DMATの目標、活動が整理された。最終的な目標は、「防ぎ得た災害による死亡」を減らすである。この最終目標を達成するためには、最大多数の傷病者に、可能な限り、早期の根本治療を提供することが必要である。
EMISの機能拡充は、広域医療搬送患者管理システムの開発等の成果が得られた。
災害拠点病院の評価指標の開発および現状の分析については、ハード面の評価は、大きな差はないが、ソフト面では、明らかな差があった。
DMAT研修体制、カリキュラムについての研究については、隊員養成、ブラッシュアップ、アドバンスという研修の枠組みが必要であることを提示されていた。この成果に基づき、実際に改訂されたカリキュラムの研修が実施された。ブラッシュアップ研修についても試行コースを実施した。その結果、研究の成果が認められ、次年度以降は正規の国の事業として実施することが決まった。
本研究班の研究成果をまとめて、DMAT活動要領改訂案を提示した。
この要領案を厚労省に提示され、要領改訂の基礎資料となっている。
結論
本研究班の主な成果は、災害拠点病院の類型化と評価指標案の提示、EMISを中心とした急性期活動の戦略と広域医療搬送モードの提示、DMAT活動要領案の提示、研修の改訂であると考えられる。これらの成果は、厚生労働省の政策として活用された。EMISの改訂等、すでに具現化されたものもあった。このように当研究班の成果は日本の災害医療体制の発展に寄与した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200942014B
報告書区分
総合
研究課題名
健康危機・大規模災害に対する初動期医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
辺見 弘(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 哲(白鬚橋病院)
  • 奥寺 敬(富山大学大学院)
  • 定光 大海(国立病院機構大阪医療センター)
  • 山田 憲彦(防衛省航空幕僚監部)
  • 中山 伸一(兵庫県災害医療センター)
  • 小井土 雄一(国立病院機構災害医療センター)
  • 大友 康裕(東京医科歯科大学)
  • 松本 尚(日本医科大学千葉北総病院)
  • 冨岡 譲二(福岡和白病院)
  • 吉永 和正(兵庫医科大学)
  • 森野 一真(山形県立救命救急センター)
  • 布施 明(日本医科大学)
  • 近藤 久禎(国立病院機構災害医療センター)
  • 阿南 英明(藤沢市民病院)
  • 高橋 毅(国立病院機構熊本医療センター)
  • 井上 潤一(国立病院機構災害医療センター)
  • 本間 正人(鳥取大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、阪神淡路大震災以降に厚生労働省が導入・推進してきた事業である災害拠点病院、広域災害救急医療情報システム(EMIS)、災害派遣医療チーム(DMAT)、広域医療搬送などの諸施策についてさらに充実拡充するための課題を設定し、具体的回答・解決策・対応策を導き出し、諸施策を包括的に検討することにより、有機的な災害対応システムを構築することである。さらに、最近の災害により重要性が明らかとなった、「都市型災害に対する対応」、「空港災害に対する対応」、「災害時多数死者への対応体制構築」を研究課題として含有した。
研究方法
研究対象が広範囲であるため17名の研究者が分担して以下の項目について研究を行った。
1)健康危機管理における受け入れ医療機関の充実
2)災害時における情報共有とコマンド体制確立のための情報システムのあり方
3)災害派遣医療チーム(DMAT)の充実
4)広域医療搬送システムの充実
5)災害時初期医療体制の確立のための計画整備
6)その他の災害医療体制整備
災害時における精神支援、多数死体事案対応の充実、瓦礫の下の医療を提供できる医療体制と研修システムの整備、都市型災害の諸問題の検討、空港災害時の対応計画
結果と考察
1健康危機管理における受け入れ医療機関の充実について:災害拠点病院の実態調査、新評価基準が作成された。
2災害時における情報共有とコマンド体制確立のための情報システムのあり方:災害時において情報共有とコマンド体制確立は重要であり、広域医療情報システム(EMIS)の活用が効果的である。3災害派遣医療チーム(DMAT)の充実:平成16年に開始された日本DMAT事業は、隊員数3264名に至るまでになった。「実災害の対応の充実」であり指揮命令系統の強化のための統括DMATの整備と要員育成、情報通信システムの整備、具体的な活動方法の統一を実施した。
4広域医療搬送システムの充実:平成19年度には広域医療搬送におけるSCU,機内搬送の標準化を行った。
5災害時初期医療体制の確立のための計画整備:厚労省はドクターヘリ事業を開始しているが、災害時のドクターヘリの活用は大きな課題である。
結論
本研究班の主な成果は、災害拠点病院の類型化と評価指標案の提示、EMISを中心とした急性期活動の戦略と広域医療搬送モードの提示、DMAT活動要領案の提示、研修の改訂であると考えられる。これらの成果は、厚生労働省の政策として活用された。EMISの改訂等、すでに具現化されたものもあった。このように当研究班の成果は日本の災害医療体制の発展に寄与した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「災害時の広域緊急医療体制について?整備すべき事項のプライオリティを考える?」、消防防災、Vol.23、p49-56、2008.DMAT (Disaster Medical Assistance Team; 災害派遣医療チーム)の整備と将来展望, 医器学 77: 128-135. 2007.他論文発表は40を数える。また、学会発表においては、日本救急医学会をはじめ日本集団災害学会、本航空医療学会総会、日本臨床救急医学会学術集会他多数を数える。
臨床的観点からの成果
JR福知山線列車事故の遺族ケアを担当する心療内科医から、遺族に災害現場での取扱いに関連した問題が残っていることが報告された。救急医は当初、黒タッグの使用は災害現場の混乱を回避することが大きな目的と考えていたが、災害現場から遺族へも目を向けた医療の提供がなされる必要性が指摘された。具体的にどのような問題があり、いかなる医療対応が適切か、その実現のために何を考え、解決してゆかねばならないかを検討した。
ガイドライン等の開発
日本DMAT隊員養成研修会のプログラム改訂および生涯教育としての今後のあり方について研究し、平成21年度より新プログラムにてDMAT隊員養成研修会が開催されているさら森野研究分担者は「地方におけるDMATの活用に関する検討、統括DMATの具体的運用のあり方」に関する研究により、日本を8つの地方ブロックに分け、各地域においてスキルアッププログラムが開催される手はずとなり。平成21年度よりガイドラインとして新プログラムにてDMAT隊員養成研修会を開催している。
その他行政的観点からの成果
毎年9月1日、政府/内閣府および都道府県(持ち回り)が主催する広域医療搬送実働訓練が実施されている。本研究班では、本実働訓練におけるDMAT参画、広域医療搬送拠点(SCU)開設運営、航空機内医療実施、域外広域搬送拠点での医療などに関して、全面的に協力している。実働訓練から、政府および各地方公共団体での広域医療搬送に関する一連の具体的対応手順をマニュアルとして整理する必要がある。など、課題が抽出され対応を図っている。
 
その他のインパクト
災害時初期医療体制の確立のための計画整備において、各分担研究者により医師会における災害初期医療体制とその支援、国立病院機構における初期医療体制性の確立、災害時におけるドクターヘリの活用、厚生労働省災害医療調査ヘリの広域災害時の運用計画の策定、海上保安庁との連携が検討された。その他広域医療情報システム(EMIS)の活用が効果的であることは2007年新潟県中越沖地震、2008年宮城・岩手地震の実災害を通しても明らかになった。

発表件数

原著論文(和文)
39件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
90件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山田憲彦
災害時の広域緊急医療体制について?整備すべき事項のプライオリティを考える?
消防防災 , 23 , 49-56  (2008)
原著論文2
大友康裕
災害派遣医療チーム)の整備と将来展望
DMAT (Disaster Medical Assistance Team , 77 , 128-135  (2007)
原著論文3
大友康裕,丸川征四郎
災害派遣医療チーム)の組織と展望
大規模災害医療 , 262-274  (2007)
原著論文4
大友康裕
エアレスキュー・ドクターカー
プレホスピタルMOOK 3 , 92-102  (2006)
原著論文5
大友康裕
DMAT (Disaster Medical Assistance Team)と広域災害時の緊急医療搬送計画について
日本救急看護学会雑誌 , 9 , 10-18  (2007)
原著論文6
大友康裕
コンピュータシミュレーションモデルを活用した防災マニュアルシステムの研究
日本集団災害医学会誌 , 12 , 144-151  (2007)
原著論文7
Kondo H
Establishing Disaster Management and Assistance Teams (DMAT) in Japan
Prehosp Disaster Med. Accepted  (2009)
原著論文8
藤久禎、本間正人、小井土雄一 他
地震における災害医療と内科医?来たるべき地震に備える?2.日本DMATの運用
日本内科学会雑誌 , 97 (10) , 147-152  (2008)
原著論文9
大友康裕
災害医療─医療チーム・各組織の役割と連携広域航空医療搬送とSCU
災害医療─医療チーム・各組織の役割と連携 , 74-81  (2009)
原著論文10
大友康裕
DMAT
DMAT プレホスピタルMOOK9  (2009)
原著論文11
大友康裕
DMATによる病院前救急災害診療体制の構築
救急医学 , 33 (5) , 557-560  (2009)
原著論文12
大友康裕
わが国の災害医療の新しい展開--災害派遣医療チーム
医学のあゆみ , 226 (9) , 651-658  (2008)
原著論文13
大友康裕
広域航空医療搬送とSCU(Staging Care Unit)
救急医学 , 32 (2) , 167-170  (2008)
原著論文14
大友康裕
DMAT(Disaster Medical Assistance Team;災害派遣医療チーム)の整備と将来展望
医科器械学 , 77 (3) , 128-135  (2007)
原著論文15
大友康裕
NBCテロ災害に対する医療対策の現状と今後の方向性について
消防防災 , 6 (2) , 59-67  (2007)
原著論文16
大友康裕
災害派遣医療チーム)の組織と展望
大規模災害医療 , 262-274  (2007)
原著論文17
辺見弘,庄野聡、山田憲彦 他
広域緊急医療における効率運用のための情報化
日本集団災害医学会誌 , 14 , 147-155  (2009)
原著論文18
中山伸一、大友康裕
広域災害救急医療情報システム(EMIS)
DMAT(プレホスピタルMOOKシリーズ , 57-67  (2009)
原著論文19
中山伸一
病院を孤立させないために
Life Support and Anesthesia , 15 (8) , 768-773  (2009)

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-