文献情報
文献番号
200937005A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・市民の視点からみた医療の質・安全・機能の充実度と必要資源の評価・向上に関する研究開発
課題番号
H19-医療・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 関本 美穂(京都大学 医学研究科)
- 林田 賢史(京都大学 医学研究科)
- 猪飼 宏(京都大学 医学研究科)
- 石崎 達郎(京都大学 医学研究科)
- 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
- 桑原 一彰(九州大学 医学研究院)
- 廣瀬 昌博(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療の内容充実度と資源とを可視化・分析し医療の向上に結びつけるべく以下を目的とする。(1)地域での疾患・開設者別の診療の役割の可視化(地域役割の可視化)、(2)多領域、多施設における診療パフォーマンスの可視化(臨床指標のベンチマーキング)
研究方法
(1)地域医療計画の4疾病の5大がんと急性心筋梗塞を中心に解析した。中医協診療報酬調査専門組織によるデータ等を使用し、地域・疾患・開設者別に症例数と地域カバー率、集約度指数をみた。
(2)日本全国の200から300の医療機関から提供されたDPCデータを倫理審査承認、情報保護確立のもとに解析し数領域で臨床指標を開発し分析した。
(2)日本全国の200から300の医療機関から提供されたDPCデータを倫理審査承認、情報保護確立のもとに解析し数領域で臨床指標を開発し分析した。
結果と考察
(1)がんと急性心筋梗塞では都市では機能の分化・分担が見られるが、地方・非都市では病院間の分化の程度は低くさらにコモンディジーズの診療も行ない、公立病院始め一病院の果たす役割は大きい。がん分野は多くの医療資源を要するため開設主体の資金面での優位性が影響する可能性があり集学的な観点からも集約化が望まれるが、多くの小規模病院でも取組がみられた。一方、AMIは小規模病院での取り組みが特に弱く、救急ゆえに分散の必要もあるが緊急対応できる専門性をもったチームに人員規模が求められるためと考えられた。
(2)胃切除の抗生剤投与、肺炎、急性胆嚢炎、乳癌の診療には、施設間のばらつきと標準化の余地が認められた。腹部・胸部大動脈瘤手術での限定的な量-成果関係に加え、集中治療室診療体制や手術室利用効率性のばらつきが示された。これらは多施設間比較により医療の改善の余地を可視化するものといえる。一方で指標は医療の重要な諸側面の一断面しか扱えず、限界を認識して使う必要があり、公表についてはその内容と方法等についてさらなる検討を要す。
(2)胃切除の抗生剤投与、肺炎、急性胆嚢炎、乳癌の診療には、施設間のばらつきと標準化の余地が認められた。腹部・胸部大動脈瘤手術での限定的な量-成果関係に加え、集中治療室診療体制や手術室利用効率性のばらつきが示された。これらは多施設間比較により医療の改善の余地を可視化するものといえる。一方で指標は医療の重要な諸側面の一断面しか扱えず、限界を認識して使う必要があり、公表についてはその内容と方法等についてさらなる検討を要す。
結論
(1)地域役割の可視化では、各種医療機能の過不足を地域毎に可視化でき、医療提供者の自主的な供給調整の促進につながりうる。また、行政により、個々の医療提供者の活動では満たされない医療提供不足地域の同定と対応施策作りに活用されることが期待される。
(2)臨床指標のベンチマーキングでは、診療パフォーマンス指標の多施設間比較が可能であることを示した。それにより、臨床医療と運営に関する学術的知見を得るとともに、医療の質と効率の確保や向上に役立つと期待できる。
(2)臨床指標のベンチマーキングでは、診療パフォーマンス指標の多施設間比較が可能であることを示した。それにより、臨床医療と運営に関する学術的知見を得るとともに、医療の質と効率の確保や向上に役立つと期待できる。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
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