C型肝炎難治症例の病態解明と抗ウイルス治療に関する研究

文献情報

文献番号
200933029A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎難治症例の病態解明と抗ウイルス治療に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
竹原 徹郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
  • 伊藤 義人(京都府立医科大学 医学系研究科 消化器内科学)
  • 金子 周一(金沢大学 医薬保健研究域医学系恒常性制御学)
  • 坂本 直哉(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 分子肝炎制御学)
  • 芥田 憲夫(虎の門病院 肝臓センター)
  • 野村 秀幸(国家公務員共済組合連合会新小倉病院内科)
  • 林 紀夫(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
  • 平松 直樹(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
  • 三田 英治(国立病院機構大阪医療センター 消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
36,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
PEG-IFN/RBV治療に無効・再燃であった患者群、肝移植後のC型肝炎再発、透析・腎移植症例、線維化進展/血小板減少例、HIV感染合併例を「C型肝炎難治症例」として捉え、このような患者群における根治を目指した抗ウイルス治療の戦略を構築するとともに難治化のメカニズムを解明することを目的に研究を行う。
研究方法
1)PEG-IFN/RBV併用治療の再治療効果の多施設共同解析
2)PEG-IFN/RBV/TVR治療の抗ウイルス効果の解析
3)PEG-IFN/RBV治療に対して抵抗性の患者群の臨床的背景および病態の解析
4)C型肝炎治療の困難な患者群(HIV合併症例、腎移植後症例)に対する抗ウイルス治療の解析
5)C型肝炎の難治化メカニズムの解明
結果と考察
PEG-IFN/RBV併用治療により著効が得られなかった症例に対する再治療効果はGenotype 1で45%、Genotype 2で54%であった。Genotype 1においては前治療pEVR達成例、Genotype 2においてはcEVR達成例では良好な再治療成績が得られており、PEG-IFN/RBV/TVRが臨床応用されていない現在において、再治療を考慮すべき患者集団であると考えられた。
PEG-IFN/RBV/TVRの抗ウイルス治療効果はPeg-IFN/RBVに比べて極めて強力であり、SVR率は初回治療例76%、前治療再燃例83%、前治療無効例31%であった。
PEG-IFN/RBVに対するnull-responseにはIL-28BのSNP、コアアミノ酸置換が関与していた。IL-28B minor alleleの症例はコアアミノ酸置換を有することが多く両者の間には複雑な関係が予測された。
C型肝炎では肝疾患が進展すると血小板が減少するが、血小板減少が肝線維化を増悪させることが明らかとなり、vicious circleが形成されることが示された。また、線維化進展例では脾臓でのCD4 T細胞のPD-1発現が増強し免疫を負に制御している可能性が示された。
結論
PEG-IFN/RBV治療非奏効例に対する日本での再治療効果が明らかにされ、再治療が推奨される患者集団が示された。PEG-IFN/RBV/TVRの治療効果が明らかになった。難治性C型肝炎の病態の一端が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
-