文献情報
文献番号
200926067A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-循環器等(歯)・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(鶴見大学 歯学部 探索歯学講座)
研究分担者(所属機関)
- 野村 義明(鶴見大学 歯学部 探索歯学講座)
- 今井 奨(鶴見大学 歯学部 探索歯学講座)
- 安藤 雄一(国立保健医療科学院 口腔保健部)
- 才藤 栄一(藤田保健衛生大学)
- 宮崎 秀夫(新潟大学大学院)
- 小野 高裕(大阪大学大学院)
- 泉福 英信(国立感染症研究所)
- 若井 建志(名古屋大学大学院)
- 石井 拓男(東京歯科大学 歯学部)
- 安細 敏弘(九州歯科大学 歯学部)
- 井上 修二(桐生大学)
- 星 旦二(首都大学東京)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
口腔保健に起因する各種疾患や病態を検証し、口腔保健が全身のQOLに影響を及ぼしている状況を科学的に評価するために、計10課題の研究班を組織して研究を行い、口腔保健と全身的なQOLの関係を総合的に明らかにした。
研究方法
1「新潟スタディー」高齢者に対する口腔と全身の健康状態の調査、横断および縦断分析。2「歯科治療による高齢者のQOLと身体機能の改善」高齢障害者のQOLおよび身体機能向上に対する歯科治療の寄与についての介入研究調査。3「吹田研究」住民の歯周病健診を含む定期健康診断を解析、口腔保健と動脈硬化性疾患発症因子の関係調査。4「高齢者における活性化NK細胞と体力および口腔日和見感染との関係」血液生化学データを利用し、高活性および低活性NK細胞との相関性、および体力との相関性の検討。5「歯科医師における歯と全身の健康、栄養との関連に関する研究」口腔疾患と重大疾病への罹患、死亡との関連を調査。6「咀嚼と肥満の関連性に関する研究」学童期の咀嚼調査。7「80歳福岡県地域住民におけるコホート研究」高齢者の歯数と寿命の関係を調査。8「国民健康・栄養調査データを用いた口腔状態と栄養摂取・関連」口腔状態と身体状況との関係の解析。9「肥満・糖尿病と歯周病に関する研究」肥満患者、糖尿病患者への介入研究。10「都市住民における歯科医院への定期的な受診状況からみた口腔衛生状態とQOLとの関連」医師の立場から歯科医療を評価。
結果と考察
唾液流量と精神健康状態との関連性、腎機能低下と歯周病進行との関連性、根面齲蝕は心因性不整脈の発症の一因であることなどが示された。
血清マグネシウム濃度とNK細胞および体力との有意な相関性が認められた。
残存歯数20歯未満ではメタボリックシンドロームのリスクが増加し、喪失歯数増加と死亡リスク上昇との関連性や、肺炎死亡、大腿骨頚部骨折罹患リスクとの関連性も明らかになり、歯の喪失が死亡リスクを高める要因の一つであることが示唆された。
咀嚼障害は野菜摂取の阻害要因となること、肥満患者群において咀嚼能低下が認められること、2型糖尿病患者への歯周治療による糖尿病の病態改善および内科治療による歯周病の病態改善も示された。学校における咀嚼支援プログラムの有効性も確認された。
血清マグネシウム濃度とNK細胞および体力との有意な相関性が認められた。
残存歯数20歯未満ではメタボリックシンドロームのリスクが増加し、喪失歯数増加と死亡リスク上昇との関連性や、肺炎死亡、大腿骨頚部骨折罹患リスクとの関連性も明らかになり、歯の喪失が死亡リスクを高める要因の一つであることが示唆された。
咀嚼障害は野菜摂取の阻害要因となること、肥満患者群において咀嚼能低下が認められること、2型糖尿病患者への歯周治療による糖尿病の病態改善および内科治療による歯周病の病態改善も示された。学校における咀嚼支援プログラムの有効性も確認された。
結論
本研究により、歯数維持の重要性、口腔保健が全身のQOLや健康維持に関わることが明らかになり、口腔保健と全身のQOLの関係に関するメカニズムの一端が示された。
公開日・更新日
公開日
2010-07-02
更新日
-