早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価

文献情報

文献番号
200918012A
報告書区分
総括
研究課題名
早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価
課題番号
H19-臨床試験・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木下 貴之(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
研究分担者(所属機関)
  • 高畠 大典(四国がんセンター 乳腺科)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター 乳腺科)
  • 増田 慎三(国立病院機構 大阪医療センター 外科)
  • 津田 均(国立がんセンター中央病院 臨床検査部 分子病理診断室)
  • 和田 徳昭(国立がんセンター東病院 乳腺科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,212,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国の研究フロンティア戦略の推進により、乳がんの検診率および早期乳癌の発見率が上昇している。乳がん手術も乳房温存療法の標準化やセンチネルリンパ節生検法の導入により低侵襲化が進んでいる。更なる低侵襲治療であり、肝悪性腫瘍に対して保険収載されているラジオ波熱焼灼療法(RFA)の早期乳がんに対する安全性および効果を確認し、検診発見早期乳がんに対する非切除治療の可能性を模索することを目的とした。
研究方法
本研究は、RFA療法のエビデンスの確立を目指し、まず、初年次および2年次にPhase1として、乳房切除術あるいは部分切除を適応とする37例に対して、切除前にRFAを行う。RFA後は、切除術を施行し、病理組織学的評価も加えた有効性および安全性を検証する。この結果をもとにRFAの適応を確立し、3年次にはPhase2として、温存術の「非切除術」としての可能性を探るべく、切除を伴わないRFAを37例行う。その安全性および有効性を検証し、RFA後の整容性を含めた総合評価を実施する。
結果と考察
はじめにラジオ波焼灼療法(RFA)施行後に乳房切除術を施行し、安全性と摘出標本の病理組織学的評価を実施した。
切除標本にてRFAの効果を確認する試験の結果より、対象症例に対してUS/MRIを施行し、腫瘍の大きさや分布で慎重に絞り込むことが大切であることが判明した。
この結果をもとに早期乳癌(TNM分類にてT1)患者に対してRFAを行い、その3ヶ月、6ヶ月、1年後に
各種画像診断評価、および針生検等による染色法を用いた病理診断評価にてRFAの安全性および有効性を検証する臨床試験を国立がんセンター倫理審査委員会の承認のもと開始した。本研究では、RFAの治療成績が乳房温存療法に劣ることなく、より高い整容性を得ることができるかどうかを確認するものである。
結論
Phase1試験の結果は、RFAの早期乳がんの局所療法としての安全性および有効性が確認された。RFA施行後非切除にて経過観察をする多施設臨床試験を立案し、倫理審査員会にて承認された。現在、多施設にて実施し症例を集積中である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200918012B
報告書区分
総合
研究課題名
早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価
課題番号
H19-臨床試験・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木下 貴之(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
研究分担者(所属機関)
  • 高畠 大典(四国がんセンター 乳腺科)
  • 青儀 健二郎(四国がんセンター 外科)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター 乳腺科)
  • 増田 慎三(国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 津田 均(国立がんセンター中央病院 臨床検査部 分子病理診断室)
  • 和田 徳昭(国立がんセンター東病院 乳腺科)
  • 岩本 恵理子(国立がんセンター中央病院 放射線診断部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国の研究フロンティア戦略の推進により、乳がんの検診率および早期乳癌の発見率が上昇している。乳がん手術も乳房温存療法の標準化やセンチネルリンパ節生検法の導入により低侵襲化が進んでいる。更なる低侵襲治療であり、肝悪性腫瘍に対して保険収載されているラジオ波熱焼灼療法(RFA)の早期乳がんに対する安全性および効果を確認し、検診発見早期乳がんに対する非切除治療の可能性を模索することを目的とした。
研究方法
初年次および2年次にPhase1として、乳房切除術あるいは部分切除を適応とする37例に対して、切除前にRFAを行う。RFA後は、切除術を施行し、病理組織学的評価も加えた有効性および安全性を検証する。この結果をもとにRFAの適応を確立し3年次にはPhase2として、温存術の「非切除術」としての可能性を探るべく、切除を伴わないRFAを37例行う。その安全性および有効性を検証し、RFA後の整容性を含めた総合評価を実施する。
結果と考察
はじめにラジオ波焼灼療法(RFA)施行後に乳房切除術を施行し、安全性と摘出標本の病理組織学的評価を実施した。
対象は腫瘍径2cm以下の限局型乳癌。
1)摘出標本の病理組織学的検討では、H&E染色におけるRFAの熱変性の範囲は中央値3.00cm、平均値3.37cm(0から6.6cm)であった。2)全症例50例中29例(61.7%)に100%のRFA効果が確認された。USにて腫瘍径2cm以下の症例は38症例であり、これらの症例中27例(71.1%)に100%のRFA効果を認めた。MRIを追加し広範な病変および多発病変を有する症例を除外した32症例中、27例(84.3%)に100%のRFA効果が確認された。切除標本にてRFAの効果を確認する試験の結果より、対象症例を絞り込むことが大切である。
引き続き早期乳癌(TNM分類にてT1)患者に対してRFAを行い、その3ヶ月、6ヶ月、1年後に各種画像診断評価、および針生検等による染色法を用いた病理診断評価にて、RFAの安全性および有効性を検証する臨床試験を開始した。
結論
Phase1試験の結果は、RFAの早期乳がんの局所療法としての安全性および有効性が確認された。RFA施行後非切除にて経過観察をする多施設臨床試験を立案し、倫理審査員会にて承認された。現在、多施設にて実施し症例を集積中である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
乳癌検診の普及により早期乳がん発見の機会が増えた。これに対応して従来の外科的切除に代わるより低侵襲なラジオ波熱焼灼療法の安全性および病理組織学的評価により有効性を確認することができた。
臨床的観点からの成果
ラジオ波熱焼灼療法の適応決定の際に乳房MRI検査が大切であること、早期乳がん以外は適応ですべきでないことが確認された。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
健康提案雑誌「すこやかファミリー」 2009年8月号に掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kinoshita T,Iwamoto E, Tsuda H, et al.
Radiofrequency ablation as local therapy for early breast carcinomas.
Breast Cancer, in press  (2010)
原著論文2
木下 貴之.
乳がんに対するRFAの現状と今後
外科治療 , 102 (4) , 395-403  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-