生活保護受給世帯の就労自立を促す成人基礎教育カリキュラムの開発

文献情報

文献番号
200901045A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護受給世帯の就労自立を促す成人基礎教育カリキュラムの開発
課題番号
H21-政策・若手-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
添田 祥史(北海道教育大学 教育学部)
研究分担者(所属機関)
  • 野依 智子(九州大学大学院人間環境学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,580,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本科研の目的は、生活保護受給世帯の就労自立を促す成人基礎教育カリキュラムの開発にある。今日、自立支援が生活保護行政の重要な柱として位置づけられているが、十分に機能しているとは言い難い。貧困・低所得の生活から脱出するには、「基本材」さえ不十分で、かつ「潜在的能力」の欠如した家族が経済的、文化的な資源を蓄積していくことをどのように援助していくのかが問われている(青木紀2003)。
 2005年度より生活保護において就労自立支援プログラムが各自治体で実施されている。現場では、受給者の「何」をどのようにエンパワーすればいいのかという見通しさえもてないままに日々の業務に追われている。本研究が完成したならば、現場はプログラムを作成する際に、有益な視座や考慮すべき学習内容等を参照することができるようになる。
研究方法
 本科研では、現場の実情からのカリキュラム生成をめざす。その分析概念として、ウォルマン(1984=1996)の提唱する「編成資源」論を用いる。就労自立支援プログラムにおける編成資源をどのような活用方法が自立的生活へと結びつきやすいのかを明らかにし、そうした活用方法を習得する援助実践の体系化という視点から現場に根ざしたカリキュラムを開発していく。
 次の調査を行う。第一に、自治体の生活保護行政担当者へのヒアリング調査である。プログラム運用において、現場の抱えている困難や現状を把握する。第二に、稼働年齢層にある受給の生活現実の把握である。彼・彼女たちの生活を知ることが、有効なプログラム開発の基礎であると考える。第三に、就労自立を果たしたひとへの聞き取り調査である。就労自立支援プログラムにおける編成資源の特色を明らかにし、その資源をいかに活用すれば就労や自立的生活に結びつきやすいのかを検証する 。第四に、海外の先進的な就労支援プログラムのカリキュラムを分析する。
結果と考察
 アンケート調査、事例研究から明らかになった就労自立支援上の課題は、①働くための基礎学力保障の必要性、②社会関係の再構築の必要性、③生活の質の向上、④現行の就労支援プログラムの運用と評価をめぐる問題、の4点である。海外調査の成果として、集団づくりと実社会を意識した支援論、達成度の可視化の工夫などを援用することを提起した。
結論
本年度は、初年度であるために、結論への言及は持ち越すことにする。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
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