特定健康診査および特定保健指導における問診項目の妥当性検証と新たな問診項目の開発研究

文献情報

文献番号
202109041A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健康診査および特定保健指導における問診項目の妥当性検証と新たな問診項目の開発研究
課題番号
21FA1004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田原 康玄(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 陳 和夫(京都大学 大学院医学研究科呼吸管理睡眠制御学講座)
  • 高橋 由光(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座公衆衛生学部門)
  • 三浦 宏子(北海道医療大学 歯学部)
  • 松尾 恵太郎(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
  • 神田 秀幸(岡山大学 学術研究院医歯薬学域)
  • 山岸 良匡(国立大学法人筑波大学 医学医療系 社会健康医学)
  • 立石 清一郎(産業医科大学  両立支援科学)
  • 宮地 元彦(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 赤松 利恵(お茶の水女子大学 基幹研究院)
  • 杉田 由加里(千葉大学 大学院看護学研究院 文化創成看護学研究部門 看護政策・管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2021年度現在、特定健診・特定保健指導は第3期実施期間(2018年度~)となっている。本研究では2024年度からの第4期特定健診・特定保健指導の見直しに向けて次の目的で諸課題に取り組む。目的①:過去の特定健診データの解析から改訂質問項目の特性(回答分布や臨床情報等との関連性)を分析することで、その妥当性を検証するとともに、目的②:この間に蓄積された国内外の科学的知見や学術論文を体系的に収集・分析し、質問票等の再改訂に必要なエビデンスを導出する。加えてこれら研究成果に基づいて、目的③:第4期特定健診等実施計画や標準的な健診・保健指導プログラムの策定に資する資料(再改訂質問票やその活用のための補助資料等)を作成する。
研究方法
系統的レビュー、既存データ解析、合意形成手法、質問紙調査。
結果と考察
第 3 期特定健診の標準的質問票について、班員から改訂ポイントに関する意見を集約した。当該意見に基づき、健康局から依頼のあった標準的質問票と改訂案の対応表をとりまとめた(詳細と対応表は分担者・田原の報告書に記載)。喫煙に関する質問では、過去喫煙(禁煙)者を把握する目的で「やめた」を選択肢に追加することを提案した。飲酒に関する質問では、禁酒者ならびに飲酒頻度を正確に把握する目的で選択肢の改定を提案した。減塩行動に関しては、直接的なエビデンスは限定的であるが班員の知見と議論により、現時点で1項目に代表させるのであれば、「食塩(塩分)の多い食品や味付けの濃い料理を控えていますか」が適切とした。
特定健康診査の標準的な質問票の活用状況に関しては、全国の全市区町村1,741か所の国民健康保険担当課の特定健診・保健指導業務の主担当者1名、計1,741名、協会けんぽ支部47か所の特定健診・保健指導業務の主担当者1名、計47名、健保連の会員である健康保険組合(組合健保)1,391か所の特定健診・保健指導業務の主担当者1名、計1,391名、合計3,179名に対して自記式の調査を実施した。有効回答数は1,221件(38.4%)、市町村国保は816件(46.9%)、協会けんぽは47件(100%)、組合健保は358件(25.7%)の回答であった。特定健診の標準的な質問票の22項目は、集団方式では22項目すべてにおいて96%以上、個別方式では93%以上が活用している実態が明らかとなった。しかし、項目22『生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか』については改変の必要性が示唆された。
特定保健指導に関する客観的評価指標(quality indicator: QI)の作成に関しては、既存の資料を参照して,研究班の複数の研究者で議論を重ね,プロセス14項目,アウトカム6項目の計20項目に集約した。これを特定保健指導経験者4人に,項目の内容的妥当性と実行可能性の評価を依頼した結果、内容的妥当性は概ね確認できたが,実行可能性を高めるには,特定保健指導の実施内容と評価の方法や基準等の例示を示す補足資料が必要であることが示唆された。
また特定健康診査と職域の定期健康診断の関係に関して、両者はほとんど同じ項目の健康診断を実施し、脳心疾患の予防という目的においても同じであるが、大きく異なるアプローチがなされており混乱が生じているという課題が提起された。実施主体者が前者は保険者、後者は事業者であり、保険者の主な役割は本人の発症予防であり私傷病の予防、事業者の主な役割は作業関連疾患の予防という点にあることが推察され、職域における円滑な健診の実施についてさらに検討を進める必要がある。
結論
本課題の成果は、エビデンスに基づく質問票や、その活用のための資料の開発により、特定健診による循環器疾患等のハイリスク者の抽出や、特定保健指導による健康・保健行動の惹起に資することに加え、特定健診・特定保健指導の一体的な運営を進める契機となる。さらに民間業者が実施している保健指導のレベルアップにも波及効果を及ぼすであろう。2021年12月に発足した「第4期(2024-29年度)特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」と、関連ワーキンググループでの検討に際する基礎資料としても、本課題の成果が資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2022-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-10-20
更新日
2023-02-07

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,953,567円
人件費・謝金 1,190,865円
旅費 164,940円
その他 540,200円
間接経費 1,153,000円
合計 5,002,572円

備考

備考
支出合計は自己資金2,572円を含むため

公開日・更新日

公開日
2022-12-06
更新日
-