文献情報
文献番号
200828002A
報告書区分
総括
研究課題名
緑内障の危険因子の解明による診断法の開発、緑内障マウスを用いた視神経保護薬の開発と予防・治療法への応用
課題番号
H18-感覚器・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 岳(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター(感覚器センター) 分子細胞生物学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 三宅 養三(愛知淑徳大学医療福祉学部視覚科学)
- 溝田 淳(順天堂大学医学部浦安病院眼科)
- 村上 晶(順天堂大学医学部眼科)
- 山本 哲也(岐阜大学医学部眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
緑内障は遺伝子、習慣、環境、習慣などの複数の危険因子によって発症する多因子疾患と考えられている。遺伝因子についても個々の患者について異なる遺伝子の関与が予測されてきた。緑内障患者の遺伝的体質が明らかになれば早期診断や予防の道が開かれる。また、緑内障の発症機序を解明する上でモデル動物は必須である。本研究は全ゲノム相関解析、遺伝子改変モデル動物の開発、血漿バイオマーカーの探索を目的として行った。
研究方法
すでに発見されている緑内障遺伝子のオプチニュリンとWDR36について、緑内障患者で発見された遺伝子変異を過剰発現したトランスジェニックを作製し、その病理学的解析を行った。また、多施設共同研究によって収集した開放隅角緑内障患者のDNAを400検体収集し、その中から100検体を抽出して、Affymetrix GeneChip 500Kを用いたゲノムワイド相関解析(Genome Wide Association Study, GWAS)を行った。個々のDNAについて50万種類の遺伝子多型(SNP)を解析し、200名の対照群と比較した。イオントラップ型質量分析計を用いて緑内障の血漿プロテオーム解析を行った。
結果と考察
オプチニュリン及びWDR36の遺伝子改変マウスは何れも正常眼圧にて神経節細胞の萎縮が観察された。眼球前房には異常は観察されなかった。日本人を対象とした全ゲノム相関解析の結果、p値10E-6で相関する遺伝子多型が複数発見された。緑内障患者に共通して増加する血漿タンパク質が同定され、バイオマーカーとしての利用が期待される。
結論
オプチニュリンとWDR36の何れの遺伝子についても患者と同じ遺伝子配列に置き換えることによって重篤な緑内障をマウスで再現できることが明らかになった。今後このマウスは新薬の開発に利用できると考えられる。本研究によって日本人を対象としたバイオマーカー(遺伝子多型、血漿蛋白)を同定することができた。さらに患者数を増やし、確認を行う。
公開日・更新日
公開日
2009-10-13
更新日
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