がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有用性に関する研究

文献情報

文献番号
200824034A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有用性に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学大学院 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 内富 庸介(国立がんセンター東病院 臨床開発センター)
  • 清水 研(国立がんセンター中央病院 精神科)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 小早川 誠(広島大学病院 精神科)
  • 平井 啓(大阪大学大学院 人間科学研究科)
  • 奥山 徹(公立大学法人名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 大西 秀樹(埼玉医科大学 精神腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,862,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度はがん患者、家族を対象に、以下の研究を行った。
1)がん患者の精神症状に対する有効な精神医学的介入法の開発
終末期がん患者の実存的苦痛に対するディグニティ・セラピーの実施可能性を検討した。
2)がん患者の抑うつに対するスクリーニング介入システムの開発
つらさと支障の寒暖計を用いたプログラム改良版の実施可能性を検討した。
3)化学療法を受けるがん患者のQOLの評価法および患者への介入
化学療法を受ける患者のQOLを評価した。
4)がん患者への認知行動療法に基づく介入プログラム開発に関する研究
がん患者に対する問題解決療法プログラムを開発した。
5)がん患者のせん妄に関する病態解明と、それに基づく早期発見・介入パッケージの開発
進行がん患者のせん妄に対する精神科リエゾン的介入の有用性を検討するための研究を開始した。
6)終末期せん妄を体験する家族に対するケアプログラムの開発
家族に対するケアプログラムの内容を検討した。
7)がん患者における意識障害の原因としてのチアミン欠乏症の検討
外来がん患者におけるチアミン欠乏の頻度を検討した。
研究方法
研究毎に示した。
1)終末期がん患者にディグニティ・セラピーを実施した。
2)プログラム実施率を検討した。
3)心理状態、QOLを経時的に評価した。
4)患者に実施するとともに治療者マニュアルを作成した。
5)介入の内容を作成した。
6)遺族に対し質問紙調査を行った。
7)血清チアミン濃度を検討した。
結果と考察
研究毎に示した。
1)ディグニティ・セラピーは、我が国においては実施可能性が低いことが示された。
2)プログラムの実施可能性は高いことが示された。
3)治療状態に応じた対応の必要性が示唆された。
4)問題解決療法プログラムの実施可能性が高いことが示された。
5)リエゾン介入の有用性を検討するための臨床試験を開始した。
6)せん妄を体験する家族の苦痛を軽減するための介入法を明らかにした。
7)血清チアミンレベルが正常範囲下限の患者が存在することが明らかになった。
結論
ディグニティ・セラピーは、我が国において実施可能性が低いことが示唆された。また、問題解決療法プログラムの実施可能性が高いことが示された。
精神症状の早期発見プログラムの実施可能性が明らかになった。
がん患者のせん妄に対する精神医学的介入および家族ケアのための基礎知見が集積され、有用性を検証する臨床研究が開始された。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
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